新学期、新しいクラスになった。見たことの無い人がほとんどだ。そして、新しいクラスになって初日の今日は自己紹介をしなければならない。あがり症の私はもう既に緊張気味。
「では、一人ずつ自己紹介をお願いします」
先生がそう言うと、出席番号順に自己紹介が始まる。緊張が収まらない。
「紀田正臣でーす。好きなものは女の子で趣味はナンパでーす」
そ、そんな自己紹介ありなの!?
そう思った私は、紀田正臣くんを見る。まぁ、見た目は悪くない。ただピアスはどうかと思うけど。そんなことを考えていると紀田くんがこちらを見る。紀田くんと一瞬目が合った私は咄嗟に目を逸らし、その場をやり過ごした。
その後、何とか自己紹介をやり終え、のんびりとした休み時間を過ごす。
「ねぇ?可愛いね、君!」
突然声をかけられた私は驚くき、振り向いた。
「仲良くしてねー」
「は、はぁ」
話し掛けてきた相手は紀田くんだった。しかし、何で私なんかに話し掛けたのかが分からない。しかも可愛いねって、何なんだ。それを気になった私は紀田くんに何故だか聞いてみることにした。
「な、何で私なんかに話し掛けたの……?」
「え、だってそりゃ……自己紹介で目が合ったから」
「だから!?」
「普通は笑うとこなのに君だけ俺を見てたから、これは仲良くならなきゃって!」
紀田くんはニコッと私に笑いかけた。
ま、一人くらいこんな友達が居ても良いか。
紀田正臣。好きなものは女の子。趣味はナンパの友達第1号。
自己紹介で目が合ったから
(俺に惚れちゃったんだろ?)
(まさか)
▽20110228