「ゾロのバカーっ!」

「あァ!?バカって言うほうがバカなんだ」


只今、私とゾロは喧嘩中。理由はつまらない事だから秘密。


「おれがお前なんかに言うかっ!」

「なんでよ!?いちおう彼女なんだよ!?」

「うるさいわよ、あんた達!!」


ナミが私達を止める。だけど、私の怒りは収まらない。ゾロは「ちっ」と舌打ちをして何処かに行ってしまった。


「あんた達、なに喧嘩してんのよ」

「………言わない」

「言わないんなら、あんた達別れなさい」

「え!?何でそうなるの?」

「うるさいから」


ゾロのことは大好きだ。でも、いつも喧嘩ばかりしてしまう。


「分かった。つまらない事だけど……」

「言って」

「ゾロが私のこと好きって言ってくれないの」

「それだけ?」


ナミはそれを聞くと、呆れたように言った。やっぱりつまらない事なんだ。


「いい、名前?世の中には素直に好きって言えない人もいるの」

「そーなの?」


そっか…。世の中には素直に“好き”と言えない人もいるのか。

すると、突然ゾロが私の所へ来て、無言で紙切れを渡し、また何処かへ行ってしまった。


「え?なにこれ」

「開いてみたら?」


小さく折られた紙切れを開くと、そこには大きく“バカ”と書かれていた。


「はァ!?」


また怒りが込み上げてくる。ゾロのやつ、私をバカにして。


「ゾロの所行ってくる!」


ナミにそう言い、ゾロの所へ行こうとすると待って、とナミに止められる。


「もー、何?」

「よく見てみなさいよ」


そう言われた私は、紙切れを眺めた。するとそこには、大きくバカと書かれた下に、小さく“=好き”と書かれていた。


「不器用ねー」


フフッとナミが笑うのを隣に、私はニヤニヤが止まらなかった。


バカと書いて好きと読む
(ゾロー、バカ!)
(な、なんだよ急に)


▽20110527