背徳の恋 | ナノ

6 






 飛鳥が帰ったあと、駆を呼び出した。
怠そうにしながらもきちんとやってきたおとこに、さっきまで飛鳥が座っていたソファーへと座らせる。それから、重い口をひらいた。
「……飛鳥とつきあい始めたって、ほんとうなの」
「あ? あいつ……」
 問いただすように言った未來に、彼は苦虫を噛み潰したような顔をする。なんだか、予想していた展開とは異なるが、まあいい。
「おれは、ふたりのことを祝福する。だからどうか、飛鳥を大切にしてあげてほしい」
 自分がどんな表情をしているかはわからなかった。だが、駆にとって不快なものであったことは確かだろう。眉間のしわが、ぐっと深まる。
「……本気で言ってんのか」
「だって、駆が恋人をつくるっていうことは、『そういうこと』だろう?」
 どうしてそんなことを聞くんだ、とふしぎにおもっていると、駆が大きな舌打ちをする。
「おまえって、まじでたちのわるい人間だよな」
 褒められたわけではないと、さすがの未來もわかった。
「なに――」
「ふざけんな」
 反論しようとした瞬間、立ちあがったおとこに押し倒された。
「わかってないふりをするのはいい。けどな、わかった気になんのはやめろ。おれはおまえとのとりひきを無効になんてしてやらないからな」
「なっ……!」
 頭の中がかっと熱くなる。
 飛鳥というものが、恋人がいながら、まだ自分を抱くつもりなのか。
「駆、いい加減に」
「いい加減にするのはおまえのほうだ、未來。今日だって、おれに抱かれるつもりだったんだろ。外部生にヤられるたび捨てられた猫みてぇな顔しておれんとこ駆け込んできておいて、今さらひとりでへいきだなんて言われても信じるわけねえだろ」
「……っ」
 図星を突かれ、頬に赤みがさす。その後も、駆は容赦なく未來を追いつめてくる。
「どうせ、尻だってきれいにしてあんだろ?」
「ひっ! ぁ、や、やめろばか!」
 きれいにしてあるのは高弥としたあとだからだ――なんて言い訳は、通用しないだろう。
 呆気なく下を脱がされ、濡れてもいない後孔に指が一本挿し込まれる。先ほどまで太いものを咥えていたそこは痛みを知らせることなく、それを受け入れた。
「やめ、ほんとに、駆……っ!」
「は、やわらか」
「ん、ん、ぁ、だめ、や、あっ、あッ」
 前立腺にあっという間に到達し、快感をひき出そうと動く細いそれに、吸いつくように絡みつく内壁。
 はしたない。鎮まれ。
 そう自身を窘めてみても、結果は変わらなかった。
「……ッ、ひ、ぁ、あぁ……、や、ぁん、っ」
 蕾は呆気なく綻び、もっとほしいと言わんばかりにいやらしく収縮する。それでも、潤滑剤なしに繋がれば双方に痛みをもたらすとわかっているからか、駆はごそごそとポケットを探り、ハンドクリームをとり出した。
 そんなものを使うより寝室までつれていってローションを使ったほうがいいだろ、と憤慨しつつも、それを声にしてしまえばこの行為を受け入れているも同然となってしまうため、未來は口を噤むしかない。
 一度外に出て無臭のクリームをまとってからふたたび侵入してきた指は、アナルがたやすくひろがることを確認すると、容赦なく三本に増やされ性感帯を的確に責めてきた。
「あ、あっ! やだぁ……っ」
「うそつけ。きもちいいくせに」
「っひ、ぁ、あっ、あ、」
「ぼぐれたらすぐ挿れるぞ」
「や、いれな、で……!」
 拒絶しているはずなのに、洩れる声はあまく濡れている。嬌声はとまることを知らず、思考とは裏腹に体ははやく駆を受け入れたがっているようだった。
「ぁ、ぁ、まっ、や、ゃあぁッ」
 ずん、と下半身が重くなるような感覚と息がつまる衝撃に、挿入されたことを悟る。
 ひどい、と非難したいのに口からは満足げな声音の啼き声が切れ切れに溢れるばかりだった。
「あッ、あッ、あッ、あぁ、だめ、だめっ、いや、ぁっ」
 初めから中を肉棒で容赦なく掻き混ぜられ、脳がとろとろととろけていく。
 だめなのに。ここできもちよくなることは飛鳥と高弥へ対する裏切りだと理解しているのに、快楽に勝てない。
 しつこく前立腺をこすられれば、あっという間に愚息が勃起し、先端から淫らな蜜を零した。
「あぁあ……! ぁ、ひ、それ、だめ、あぁ、だめ、やぁ……っ、あッ、かけ、るっ」
「おまえ、ここで何度もイかされるの、好きだもんなあ?」
「やー……っ、すきじゃ、な、ぁ、っひ! あっ、あ、やめっ……」
 駆のいじわるな台詞を否定すれば、いっそう激しくそこをいじめられる。じんじんと熱くなって、熱がどんどん全身へと伝播していって。胸の飾りをひっぱられた瞬間、両目からぶわりと涙が溢れた。
「ぁっ、ひ、だめ、も、やめて、かける、おねがい、もう、ゆるして、」
「……おれの質問に、正直に答えられたらやめてやるよ」
 藁にも縋る想いで目の前のおとこを見つめると、その人物はとんでもないことを問いかけてきた。
「おれのペニスとあいつのペニス、どっちがきもちいい?」
「な……」
「おら、はやく答えろ」
「っあ、あ! まっ、とま、って、あぁあ、あ……!」
 回答を聞く気など端からないのではないかと疑いたくなるほど、激しく腰を打ちつけられる。そのたびに体がばかみたいに跳ねて、下の口がきゅうっと駆の剛直をしめつけた。
「ひっ、うっ、や、あッ、あんッ、あ、あー……っ、やだ、や、いく、いくからぁ……っ」
「あいつとするときもこんなはやいのか」
「ちが、や、も、やめ、いや、やぁッ、いく、いっちゃ、」
 溺れる。愉悦の海に、未來の体を駆が沈めようとしている。
 すぐにでも、言うべきだった。けれど、まともな言葉を紡ぐことができる状態ではないのも確かで。
「とま、とまって、ぁ、あ、――ッ! ふ、ぅ、ぁ、かける……っ」
 軽く極まってしまい、涙声で懇願するも彼はやはりゆるしてはくれなかった。むしろ、さらに小刻みに雁首で前立腺をこすられ、悶絶しそうになる。
「っ、ゃ、う……っ、あぁ、あ、いって、いってる、からぁっ」
「知ってる。中、すっげぇうねってるし」
「やめ、へん、なの、くる、っ」
「そうさせてんだよ」
 いつもは尻の快感だけで絶頂させようとしてくるのに、今日は違う。執拗に亀頭を責めてくる。吐精はすでにした。なのに、掌が離れていかない。



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