さん

 堅一が前を寛げ、現れたそれは改めて目にするととても大きいしグロテスクだった。色は赤黒いし、血管は浮き出ているし、女子が歓喜しそうなほど亀頭が大きくてカリがめちゃくちゃくびれてて、マンコをよろこばせるための形、って感じがする。おれも、女子ではないけど歓喜してしまった。女性器と化した尻穴がくぱくぱ口を開閉する。
 おもむろに、おとこがそこに先端を押しつけた。
「――ほら、美月。おれのチンコとおまえのマンコが、キスしてる」
「ぁっ、あー……ッ、ちゅっちゅ、やぁ……っ」
 そんなんじゃたりない、と瞳を潤ませて腰を揺らせば。次の瞬間、ずぷうっと勢いよく貫かれていた。
「ひぃーッ! は、ひ、ぁあ、あ、あひ、ァ、あん、き、きちゃ、ちんこ、おっきい……!」
 自然と舌を突き出しつつ、AV女優も顔負けのえろい喘ぎ声をあげる。おれのは演技じゃないけど。まったく名誉でもなんでもない。
 奥の奥をこじあけるように剛直を押し込まれ、痛みを覚えた。なんだかんだ、まだおんな役のセックスは二度目なのだ。女子がいきなりポルチオできもちよくなれないように、いくら才能があるおれにだって慣れが必要だった。
「ぁっ、あ、いた、いたいっ、おく、やらぁ……ッ」
「わ、わるい。だいじょうぶか?」
 動きをぴたりととめながらも腰をひく気はないらしく、心配げな表情をしてはいるものの中の一物はそのままだ。
「あッ、あッ、ぅう……、っ」
 唐突に顔を近づけ舌をじゅっと音がするほどに強く吸われ、じんと脳が痺れる。あやすように乳首や陰茎を弄られ、頭がぼんやりしてきたころに、ゆっくり律動を開始された。おもわず縋りつくように堅一の背中に手を回すと、さらに深く口づけられて息がくるしくなった。
「あ、あ、あふ……っ、や、あぁ、ふか、いぃ、ぁ、あぁん……ッ」
 キスから逃れて大きく呼吸をし、飲み切れなかった涎を垂らす。
 ちょっと前に痛い、とすくなからず感じていたはずなのに、じわじわ快感が湧きあがってきて戸惑った。
 あっあっ、と嬌声が先ほどと同じようにあまく色づいてきたところで、ぐりぐりと最奥を嬲られた。
「ひ、あぁッ、や――っあ……、あん、なにこれ、ッあ、あぁーッ!」
「ポルチオ、感じるようになってきた?」
「あっあ、らめ、こわいっ、そこ、らめ、おれ、おかしく、なっちゃ、やらぁあああ!」
 アナルセックスの才能ありすぎだろ、と自身の体に文句を言ってみても、事態は変わらない。
 足の、手の指先から愉悦に侵食されていく感覚に、恐怖すらいだいた。
「だいじょうぶ。ほら、きもちいいだろ?」
「やぁンッ! あ、あ、らめ、も、しないで、ポルチオ、ぃや、ちんぽ、ごりごりってぇ……!」
「うん、もっとごりごりしてやるから」
 違う違う違ーう! やめろって言ってんの!
 なんて、こんな状況で伝えられるわけがなくて、おれのろれつが回らなくなった口からはひいひい情けない声しか溢れなかった。
 堅一はゆったり、スローペースで腰を前後に打ちつけているだけなのに、そのたびに強烈な快楽に支配され、全身が戦慄く。
 びくん、と足が跳ねた瞬間にちらつく靴下の紺色が、ひどく間抜けだった。
「ぁッ、あひ、は、ぁあ……、おまんこ、おかひく、なぅ……ッ、」
 もう、容量をオーバーしそうだった。注ぎ込まれる悦楽の波を、体が受け入れ切れない。
 訴えることもできないまま限界を迎えて、おれは知らぬ間に射精に至っていた。
「あッ、あ、ぁー……、ひ、ぁあ、ん……ッ、ぁ、あふ、あぁあ……!」
 下腹に散った白濁を塗りひろげられているあいだにも、先端から勢いなく液体が漏れ続けている。
 よくあるエロ本みたいなアへ顔? ってやつにはなっていないとおもうが、とろっとろにとろけてしまっている自信はある。
「激しくしても、いいか?」
「あッあッ、らめ、まら……っ、いっ、いった、ばっか、らからぁ……」
「もっともっと、きもちよくしてやるよ」
 そう宣言するなり、いきなり堅一は抽挿を激しくした。頭が完全においてけぼりにされたような心もとなさを感じ、涙がぼろぼろ零れた。
「らめぇっ! やっ、や、あぁーッ! ひっ、おまんこ、ついちゃ……っ、と、とまんな、いくの、とまんないぃ……ッ!」
 かわいそうなほど襞が震えてペニスに絡みついているというのに、おとこはそれを気にもとめず荒々しく蕾を犯す。内壁をひきずり出されてしまいそうで恐ろしいのに、それをまさる快感がおれを苛んだ。
「ぁ、ひ、おれ、くりひゃん、ぐりぐりされて、ないのにぃ……っ、めすいき、しひゃって、ぁ、あ、ほんとの、おまんこになっひゃぅう……!」
 ほとんど悲鳴のようなそれの内容を正確に聞きとったらしい堅一は、それはそれはうれしそうに笑ってから耳をかじり、囁いてきた。
「美月のアナルを淫乱雌マンコにした責任は、おれがちゃんととるから」
「あッあッ、らめ、らめぇ……!」
 びくん、と。限界まで膨らんで硬くなった、おれをさんざん啼かせていたそれが、脈打つ。
 心臓がばくばくうるさいほどに鳴り出した。
 もうすぐ、出されてしまう。あの、奥にねっとり絡みつく、熱くて大量の、あれが。
「ぁ、あ、い、いくッ? おれのおまんこに……、種つけ、しちゃうの……っ?」
「ん、美月の子宮に、たっぷりやるから。おれの、濃いザーメン、何度でも……」
 子宮なんてあるはずないのに。なのに――、おへそと股間のあいだ辺りがきゅきゅうっと切なくなるほどに疼いて、雄汁を求めて泣いているようだった。
「あっ、あ! あぁあん……ッ! らめ、おかひく、なぅ、やーッ!らしひゃ、らめぇっ、おまんこ、きもひよすぎれ、ひんじゃ、うッ」
 もはや暴力とも呼べそうなほど巨大な愉悦に支配され、まともな思考をすることがかなわない。
「ほら、マンコに出すぞ、ぜんぶ子宮で受けとめろよ、美月――……っ」
「いく、ひっ……くぅ、しきゅう、つかれへ、おまんこいくぅうううう!」
 ごりぃと最奥を亀頭でおもいきり穿たれ、意識が飛んだ。しかし、それは一瞬の出来事だったようで、続けざまに精液が吐き出されたことにすぐ気がついた。
「は、ぁ、ぁ……っ、あ、ぁん……、ぁ、せーえき、どくどく、ってぇ……、おまんこに、いっぱい……ッ」
「ぁ……ッ、く、ふ……」
 ゆるゆると腰を前後に揺らされ、堅一が低く喘ぎながら精子を出し切っているのだとわかっても抵抗ひとつする気になれなかった。中に出されるという、本来ならば屈辱に感じる行為がひどく気分を満たしていた。
 爪先を丸めて絶頂の余韻に恍惚して震え、そうしようとおもったわけではないのに、最後にきゅんと中のものをしめつけていた。
 体が、おんなのようになっていく。そのことに恐怖などの負の感情をいだくのがふつうなのかもしれないが、おれはどうやら「ふつう」ではなかったようだ。
「けんいち……、」
「な、なんだ?」
 なにを言われるのかと恐る恐る顔を覗き込んできたおとこに、告げる。
「おれに、飽きてわかれるとか言ったら、チンコ切ってやるから」
「いっ、言うわけない!」
 青くなるなんてことはなく、ただ赤くなった堅一におれはとても満足していた。
 キスをしてやると調子に乗って二ラウンド目に入ろうとしたので、蹴りを入れた。こっちの腰はもうがくがくだっつーの。
 ――この盛りに盛っている駄犬のしつけはまあ、おいおいしていくことにする。



End.


prev next

bookmark
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -