私は今すっごい不機嫌だ。どれくらいかと言うと、深夜アニメを予約しておいたのに野球中継の延長で10分くらいしかアニメが録れていないのを起きて初めて知った朝くらい不機嫌だ。つまりイライラは最上級である。


「ねえオマワリさん、聞いてる?」
「…………」
「オマワリさんったらー」

年下の男しかいない飲み会で二日酔いの翌朝に一番見たくない現実が今ここにある。新宿の情報屋、折原臨也(しかも年下)と気だるい検問職務中に顔を合わせてしまったのだ。


「死ねば良いのに」
「ちょっ…仮にも公務員が一市民にそんなこと言って良いわけ!?」
「え…!!貴方って市民だったの?っていうより人間だったの…!知らなかった…!!」
「君って本当に年上以外に冷たいよね!」

折原の言葉を軽くスルーし、私は大きく欠伸する。警棒を振ると次の車がこちらに近づいて来た。

「この検問…何かあったんですか?」
「…!!」


その瞬間、私の天使が目前に現れた。

「四木さあああああああん!!!!!」
「おおっと」

真っ黒の車の後部座席から顔を出した四木さんに猛スピードで抱きつく。やだもうインテリヤクザたまんない…!

「これから暇ですか良かったらデートしましょう!」
「…ヤクザのオッサンをナンパですか」
「ヤクザのオッサンじゃなければナンパしません!」

暇じゃないのは分かってるけど素敵な年上男子を見ればデートのお誘いをしないのは失礼だと思う。

「ねーオマワリさんそれじゃまるでイタリア人男性だよ」
「折原は黙ってろ!」

とりあえず折原を追い払って私は四木さんに泣く泣く別れを告げた。やっぱり四木さんはお忙しいらしい。…そんな風に甲斐甲斐しく働く姿も素敵なのだけれど。

「それじゃ、失礼します」
「…はい…!またお待ちしてますね!!」

素敵な笑顔を浮かべて四木さんは行ってしまった。残された私(と折原)。

「さあーてお仕事お仕事楽しいなー」
「ちょっ…オマワリさん!」
「まだいたの?さっさと家帰ってワイフといちゃついて来いよリア充」
「ワイフって誰!波江さんのことか!」

良いよな折原は…こんな風にちゃらんぽらんしてても帰れば料理作って待っててくれる人が居て…。
妬いてるの?とかわけの分からない事を言い出す折原を放って職務に戻った。ちゃんと仕事しよっと。


オマワリさんと
情報屋







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