其処にいたお前はボロボロで消えかけていて、それでも必死に死ぬなと叫んだっけな…
それなのに、お前といったらどうしたか覚えてるか?


笑いながら
「やっと解放される…自由だ」なんてことを言ったんだよ


ほんと…お前は変わらないな
何を考えているか最後の最期まで分からなかった

お前が言う自由って何?

私には分からないよ…

だって、死んだら何もかもがお終いじゃないか
いつもみたいに、お互いに喧嘩することも出来ないじゃないか…!



だけど、笑ったお前は幸せそうで何も言えない
ただ、泣くしか出来ない私の頭を撫でてくれた時、初めて涙の理由が分かった気がした


けど、気付くのが遅すぎた…


それを最期にお前は消えた
あまりにも不似合いな言葉を残して…





その日からどれだけの時間がたっただろう…

お前が居なくなった城は、静かで暗く寂しいところだよ
周りの仲間はそうでもないみたいだけどな…



私自身、戦いにも身が入らず、こうして此処にきてはお前がいた日々を思い出して…
居ない筈なのに、此処にいると側に居る気がするんだ



だけど、そんな日々も今日で終わりかな?


私があまりにも何もせずにいるから、魔王様が怒って私を始末する事にしたらしい…

一番の原因は、勇者にとどめを刺せなかった事だろうけどな…


怒るだろうけど、一瞬だけお前に見えてしまったんだ



ま、結局のところ…魔王様は使えなくなった私を捨てるみたいだ…
あぁ…お前の言うとおりだったのかもな


そろそろ追っ手も来る頃だけど、この傷じゃ逃げ切れないだろう…

だからせめて、最期に抗ってみることにするよ



―魔王様のためでもない、自分のために戦う―



これがお前の問いへの私の答えだ




それと…
あの時言えなかった事も伝えとくよ







お前が好きだった…否、好きなんだと
(“ありがとう”はこっちの台詞だ)








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