7.5
クダリさんに「うん、普通!」と評価されたシチューを食べ終え、私とクダリさんはポケモンのドキュメンタリー番組を、ノボリさんは読者とそれぞれ自由に過ごしていた。
シャンデラたちはお互いに仲良くなったらしく、部屋の中で追いかけっこして遊んでる。
微笑ましいけど、テレビをみている私たちにとっては若干ジャマである。
「…あ、そうだ。ノボリさんってバチュル持ってるんですね」
「…バチュル?」
「わたくし、バチュルは持っていませんが…」
ノボリさんは不思議そうに首を傾げ、読んでいた本を閉じる。
じゃあ、今日コンセントのプラグにへばりついていたあの子はいったい。
「ばちゅ」
「あ、この子です」
「!?」
「?!?!?」
「ばちゅー!」
どうやらバチュルが顔を出した場所がいけなかったらしく、二人に同じ顔で驚かれた。
そんなことも気にせず、バチュルはまた私の服の中へと潜って行く。
「ナマエ、胸元からバチュル出すなんてやるね!セクシー!」
「うふ、褒めても何もでませんよ」
「褒めるほどおっぱいないよ?」
「……」
自分でもわかってる。
笑顔で毒を吐くクダリさんとは対照的に、ノボリさんは顔を真っ赤にしたまま耳を塞いで目をつぶっていた。
なんとまあ、対照的な双子である。