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ナマエをお昼ご飯に誘ってみたら、ニッコリ笑顔で「ありがとうございます」とオーケーしてくれた。
嬉しくなっちゃってウッカリ勤務中に抜け出したら、ノボリからお叱りの電話がいくつも入っていた。
せっかくの初デートなので、無視しておく。
浮かれちゃってついぼくの好きなラーメン屋さんに連れて来ちゃっていた。
初デートがラーメン屋さんなんてナマエヒいたりしないかな、って今更不安になったけど、嫌な顔ひとつせずに麺を啜っていたので安心した。
それからしばらくは他愛のない会話をしながらラーメンを食べていたのだが、ナマエは箸を置いてぽつりと話しはじめた。
「特別なプレイとか、痛いこてとか、そういうのはしたくないんですよ。ただお尻を触らせて欲しいだけで、あわよくば開発したいなって」
「・・・」
「ふふっ、冗談ですよ」
ナマエは悪戯っ子みたいに笑ってまたラーメンを食べはじめる。
言われてすぐはぼくのお尻にきゅって力が入ったけど、よくよく考えてみれば、ナマエとそういう行為ができるということになる。
いくら運動しないぼくでも力でナマエに負けるわけない。
だから油断さえしなければ、ナマエにあんなことやこんなこ
「クダリさん?」
「ぴゃあ!」
「ぼーっとしてましたが、大丈夫ですか?」
「だだだいじょうぶ!ラーメン美味しいね!」
脳内のいけない妄想を急いで消して、ナマエに気付かれないようにラーメンを啜った。
帰ってきてすぐ、ノボリにこってりしぼられた。
正座までさせられてノボリのお説教を聞いていたけど、説教は案外すぐ終わって「デートはどうでしたか」って急に聞いてきた。
だから今日あったこととか会話の内容を全部ノボリに伝えれば、また呆れた顔をした。
「・・・あなた、立派にマゾヒストになってきていますね。クダリ」
「違う!」
「・・・しかし、ナマエ様はわたくしには全くそのような話はしませんよ。カタチはどうであれ、クダリが好きなのでは?」
「えっ、そうなの?」
「ええ」
てっきりナマエは誰にでも「お尻触らせて」って言ってると思っていた。
けれどぼくにしか言っていないなら、それはぼくが特別ってことなんだろうか。
そう考えるとなんだか幸せな気分になってきちゃって午後の仕事は全く手につかなかった。
もちろんノボリに怒られた。
その夜、ぼくは夢を見た。
夢の中で、ぼくはナマエと一緒にソファーに座っていて楽しくお喋りしていた。
けれどなんだかイイ雰囲気になってきて、ぼくがナマエの頬にキスをするとナマエは唇にキスし返して来てくれる。
それが楽しくてずっとキスしてじゃれていたら、いつの間にかぼくはソファーに押し倒されていた。
「ナマエ?」と名前を呼べば、ナマエはとても綺麗な笑顔で「クダリさんの童貞、いただきますね」ってベルトに手をかける。
うわあああなんでぼくが童貞って知ってるの!?って焦ったところで目が覚めた。
寝汗でパジャマが気持ち悪い。