ナマエという子はちょっと変だ。


知り合ったのは一ヶ月くらい前、ナマエがダブルトレインで20勝してぼくの所まで来たとき。
カワイイとキレイを合わせ持ったような顔立ちで、ぱっちりとした大きな目でキョロキョロ車両内とぼくを見てて、そしてあんまり表情が変わらないから話し掛けづらかったのを覚えてる。
でも挑戦者は挑戦者、いつも通りの台詞で話し掛けてバトルが始まる。
いい勝負で、結果はぼくの負け。
いつも通りにスーパーダブルトレインの乗車チケットを渡そうとしたら、今日初めて目が合った。
怒っても笑ってもない目で、ぼくがいうのもなんだけど、ちょっと怖い。


「な、ナニ?」

「・・・受けか攻めかで言ったら、・・・攻めね」

「え?」

「攻めで、後ろかな」


ふふっ、とキレイに笑うナマエ。
何のことかよくわからなかったけど、ぼくはこの時ナマエに一目惚れをして同時に恐怖も覚えた。



それから一ヶ月間ナマエと話をしていてわかったことが2つ。

1つめは、ナマエはすっごく人見知りで、とってもガードが高いこと。
最初はぼくと目が合っても話し掛けてくれなかったり、自分のことはあまり教えてくれなかったり、とにかく反応が冷たかった。
だけど一ヶ月間ずっと話し掛けていたら、やっとナマエから話し掛けてくれるようになった。
その時のぼくの笑顔は蕩けきっていたらしい(ノボリ談)。

2つめは、ナマエがすっごく変態思考だってこと。
たまたまコートを脱いでいた時にナマエに合ったら、ナマエはぼくのお尻をじっと見つめて「・・・わしづかみしたい」なんて呟いてた。
ゾッとして両手でお尻を隠せば、いつものキレイな笑顔で「どうかしました?」なんて言うから、また怖いと思うと同時にキュンとする。
ぼく、ナマエの笑顔に弱いから。
それからも「ロズレイドの鞭で縛り上げたい」とか「かなしばりって、人間にも有効ですかね?」なんてぼくに聞いてくるから、心臓は2つの意味でドキドキしっぱなしだった。

このことをノボリに相談してみれば、「それは恋ではありませんか?それとクダリ、貴方ドMなのですか?」と言われてしまった。
ぼくはMじゃない。


今日もダブルトレインにナマエが来た。
もうスーパーダブルのチケットは持っているのに、何故か一度も挑戦していないらしい。
いつも通りロズレイドとウインディを出すナマエ。
ぼくもいつも通りにアイアントとダストダスを出して、バトルが始まる。


「ウインディ、ニトロチャージ。ロズレイドはじんつうりき」


「アイアントはいわなだれ!ダストダスはウインディにどくどく!」


ナマエのポケモンはみんな素早いから、気を抜いてるとあっという間にこっちがやられちゃう。いくらスーパートレインではないからといって、手を抜きすぎるわけにもいかない。


「あっ、クダリさんって腰細いんだ。抱きしめて折っちゃいたい」

「えっ!?」

「ウインディ、アイアントにだいもんじ!」

「あああ!待った!!」

「ふふっ、待ったがきくと思います?ロズレイド、じんつうりきでヤっちゃって!」


彼女と同じように余裕たっぷりの笑みを浮かべたロズレイドは、ぼくのもう弱り切ってるダストダスに華麗なフリつきで攻撃してきた。
その後も自分のペースを取り戻すことができなくて、またナマエに負けちゃった。




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