いつも通り性的(R17)にお下品な話


 教え子の一人であるルッチくんは実に優秀である。人の隙を突いて、自分のペースに持ち込み、したいことをする。しかも有言実行タイプだ。知っていたのに注意を怠っていた。要するに戦う前からおれの負けだったと言えよう。

 ハロウィンである。だから何だという話だ。別にうちは菓子類を禁止しているわけでもないし、犯罪まがいのことでなければ勝手に楽しむ分には何も言われない。がっつりのコスプレはダメだが、角をつけるだとか尻尾をつけるだとか、それくらいの制服改造なら式典でもないし許されるゆるゆる学校である。成績さえ良ければ文句は言わない、そういうスタイルなのだ。
 ルッチくんあたりはその恩恵をもっとも受ける立場だろう。賢い人間は優遇される。社会のミニ縮図になんとなく嫌な気分になっていたら、何故かおれはルッチくんに手を差し出されていた。


「トリック・オア・トリートですよ、先生」


 困惑しているおれにルッチくんはそう言った。馬鹿にしたような声色はいつものことだ。おれはとりあえず白衣の中に何か入っていないかと探してみたが、当然見つからなかった。にへら、と笑ってごまかそうとしても、どうやらダメなようだった。


「ならイタズラだな」


 狡猾に笑ったルッチくんに口を塞がれ、舌を絡ませられた。不慣れにも感じるその舌使いとともにスラックスの上から直接下半身が刺激されてしまい、ガチガチに硬くなっていった。エロ本みたいなことをしでかしてくるルッチくんを止めようと肩を押せば、案外簡単に離れられ、逆に驚いてしまった。これでイタズラは終わりなのだろう。
 そう思っていたら、いつの間にかベルトが引き抜かれていて、思わずおれは変な声を上げてしまった。当然のようにルッチくんはズボンのチャックを下ろした。遮るものが減ったせいで、おれのものがわかりやすくトランクスを押し上げているのがはっきりわかった。


「キスで勃たせてくれるなんて、先生もずいぶんおれを好きになってくれたみたいですね」


 うっとりとした顔がたまらなくえろくて、おれは思わずごくりと唾を飲み込んでしまった。いや、ダメだ。こんなところでそんなことをしちゃダメだ。思っているのに口はパクパクと動くばかりで言葉にならない。


「大丈夫ですよ、先生。全部飲んであげますから」


 なら、まあ、いいのかな。そう思ってしまったおれの脳はもうとろけてしまっているんだろう。目の前のルッチくんの魅力に逆らえない。外気にさらされていた局部がルッチくんの口で銜えられ、ねっとりとした舌が絡み──そこで目が覚めた。

 目が覚めた、ということは、夢である。起き上がってみると見慣れた自分の部屋の自分のベッドだった。特別清潔感に溢れているわけでも汚らしいわけでもない、一般的な成人男性の生活感のある部屋だ。布団をぺらりとめくってみた。スウェットの、ズボンの中が気持ち悪い。
 意を決してズボンの中を確認すると、動かしただけで何かねちゃねちゃとした感触があった。むわりとした嫌な臭い。見覚えのある白濁とした液体が染みている。


「……やべえ、死にたい」


 いくら色っぽくておれに好意を寄せてくれる教え子だからって、オカズにしていいわけじゃない。ていうか、夢精って……何年ぶりだよ……。一線を越えてしまったような気にさせられて気分は最悪だ。
 それでも今日一日自己嫌悪に襲われそうなことには目を瞑り、予知夢にならないよう、お菓子を忍ばせることにした。

ルッチと化学教師で、ルッチにお菓子くれなきゃイタズラする、と言われてお菓子を持っていない主人公がルッチにイタズラ(えっちな)をされるという夢を見て夢精してこの年にもなってと落ち込むハロウィン当日の朝の主人公の話@ぴろりさん
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