幼馴染みに首ったけな狡噛は勿論欲情もする
「――さて漣」
「…あ、はい」
「改めて、中学卒業おめでとさん。これでその制服姿も見納めだな」
「ありがとーございます。まぁ持ち上がりだし、あんまりデザイン変わんないみたいだけどねこれ」
「ディナー、って言ってもまぁ、あんまり変わり映えはしないいつもの手作りで済ませちまったが…」
「んーん、いつもの通りに美味しかったし、作ってくれるの嬉しいよ」
「そうか、なら良かった。…で、中学卒業を祝してお前にプレゼントだ」
「…おー、今日はお祝い尽くしだな」
「そりゃあめでたいからな」
「開けてい?」
「勿論。というかお前が開けないなら俺が開ける」
「はーい、それじゃあ遠慮無く」
「…」
「………え。、あーこれ、?」
「流石に高校でそれ付けるってなると、体育だとか服装検査だとかで邪魔だろうからな。今のところは肌身離さず首から提げておいてくれればそれでいい」
「そっかぁ…そっかー、へへ、ありがとう」
「ん。…どれ、付けてやろう」
「あ、お願いしマス」
「…、…んっ」
「(…可愛い声出しやがって)」
「ひゃっこい」
「…よし。よく似合ってるな、良かった」
「んへへ。…慎也君は?これペアリング、ではない?」
「俺のは、…コレ」
「もう付けてたんだ。お揃いだー、嬉しいな」
「そう言ってくれるなら本望だな」
「…これからお風呂入る訳だし、すぐ取るようだねそういえば」
「俺が早くこれを付けてるお前を見たかったんだから、まぁそう言うな」
「ごめんごめん」
「…」
「…ん?」
「…いや。…風呂、一緒に入るか?昔みたいに」
「、」
「なんてな」
「いいよ。一緒に入ろっか、久しぶりに」
「、…お前それ本気か?」
「え、本気だけど…あれ、そっちは冗談だった?ごめん、それなら「待て待て!勝手に話を進めるな!俺だって本気で言ったさ!」…あ、うん」
「よし。…そうと決まれば、入るぞ。風呂だ」
「はーい(何かすごい気合い入ってんな慎也君)」
「………」
「………なに?」
「…いや…」
「…えっち。じろじろ見ないでクダサイ恥ずかしいので」
「――おま、っえ、そういうの今してくるかフツー…」
「慎也君のえっち。すけべ。へんたい」
「ッあ"ーやめろやめろ!煽りやがってこのバカ娘、此処で襲わせるつもりか?!いや俺はそれはそれで燃えるがな、お前はそれでいいのか?!」
「やだよ、初めてはベッドがいい。あと30分くらいも我慢出来ないんですかこのどすけべやろう」
「お前がそういう事を言って煽ってくるのが悪い。あとこれでも十分我慢利かせてる。正直ヤバいくらいだ。今すぐにでも喰っちまいたい」
「…ばぁか。逆上せちまえ」
「よせ…ここで逆上せたら全部パァだ…縁起でもない事言うんじゃない…」
「――漣」
「…、はい」
「今日この時を、…俺が一体どれ程待ち望んでいたか…ハァ、」
「…うん」
「あー、多分、無理、させちまうと思う。勿論出来る限り優しくする、が…いつ抑えが利かなくなってもおかしかない」
「うん」
「痛かったらすぐ言ってくれ。そもそも、女は初めは痛くて当たり前だって言うしな。…お前が痛がってんのに俺だけ気持ちいいのなんざまっぴら御免だ。一緒に気持ちいい方がいいに決まってる」
「ふは、うん、」
「笑うな、俺は大真面目に言ってるんだぞ」
「うん、うん解ってるって、ありがとう慎也君、大好きだよ」
「、…あぁ、俺もだ漣」
「私の初めて、慎也君にあげます。大変お待たせしました。…どうぞお好きに、食べて下さい」
「ッ…!」
「んっ、ぅ」
普段あれだけ飄々としているその人が、これだけ余裕の無い顔をして私を攻め立てているのは、ひどく驚きだけれど、それと同時にとても嬉しい。切羽詰まる掠れた声が、いつも以上に甘く、低く。何度も繰り返し私の名前を零す。熱に浮かされた譫言にさえ聴こえる。私も、身体中が熱かった。触れ合う部分はきっと今にも火傷をするのだ。挿れて、抜いて、穿って、退いて、突き上げて、掻き混ぜて、抉り込んで、また抜いて。薄い膜を1枚だけ隔てた熱くて硬い質量が、私の身体に埋もれては出ていくのは、とても不思議な感覚で。まだ少し痛いし、でも、段々と電流のような快感も、少し。大好きな人から求められるという事の喜びを、幸せを、噛み締めるというのはこれを言うのだろう。ずるりと引き抜かれる度に、寂しさすら感じる。どうせ、間髪置かずにまた分け入ってくるというのに。「し、やくん、」「っ、ん?」でも嫌なものは嫌なのだ。「いっぱい、ぬいちゃやっ、…さみしい、」「、ッ…ん、分かった」色っぽいばっかりの精悍な彼の顔に、何処か少年のようなあどけない可愛さがちょっとだけ戻ってきて、そこにぐずぐずの甘ったるい笑顔を見付けたから、何だか堪らなくなって私も笑った。