召喚された五次槍
「――で?アンタは聖杯に一体何を願うつもりだ?」
「いえ、別に何も」
「は?…じゃ何で俺を喚んだんだよ」
「あー、や、貴方を喚びたくて喚んだ訳でもないんですけどね。――私がサーヴァントに望んだ事は、ある程度好戦的で、ある程度忠義を心得ていて、ある程度多くの事をこなせてある程度生き延びる術を持っている、この4つ。そしてそういうように望むような、私。それら全てに最も適した英霊が、貴方だったって事でしょう」
「…それはまぁ解った。だが論点ズレてんぞ」
「おっと、失敬。えぇと、聖杯に願うものについて、か。…それを話す前に取り敢えず貴方、これに着替えてもらえますか」
「ンだそりゃ」
「ピッチピチの青タイツとかちょっと御免だわーって事です」
「あァン?!」
「紹介します。こちら、小さい頃から私の付き人をしてくれている根岸敦盛という者です」
「は、初めまして、よろしくお願いしますソルジャーさん」
「おう、よろしくな」
「何か不便が有れば私か敦盛へ」
「あいよ」
「――さて、敦盛。人払いは抜かり無いね?」
「はい、お嬢様」
「よし。…では真面目なお話に入るとしましょっか」