甘糟から見た須藤とその彼女
俺の隣の席に神谷って女子が居る。割と可愛いっていうか、少なくともクラスん中じゃ1番じゃね?ってくらいにはキレーな顔してると思う。個人的にだけど。
仲はいい方かなー。で、そいつなんだけど、彼氏が居る。俺のめちゃくちゃ知ってる相手。って、噂をすればってやつじゃん。須藤先輩がすぐそこのドアから廊下に見えて、あ、と思ったら中に顔出して神谷を呼ぶ。
「あいあい、何です?」
「やる」
「おーあざまっす」
神谷が受け取ったのはココアの缶で、須藤先輩の手にはお茶のペットボトルが握られてるのがチラッと見えたから、多分それのついでに買ったんだとは思う、んだけど、しっかしわざわざこっちまで渡しに来るとかマジびっくり。勝手に買って取りに来いって言うんならまだ解るけどさぁ。っていうかまず頼まれもしねーのに買う訳無いだろーし、頼まれたって見返り無きゃ買ってこないだろーし。だってあの須藤先輩だもん。自分からとか無い無い。…いや有り得てるんだけどさ。
ん、て言って神谷の頭くしゃって撫でて、まぁ、要するにそんだけ好きっていうか、大切って事なんだろーな。薄ら笑ってるけどいつもみたいな小馬鹿にした感じとか全然無くて、めちゃくちゃ柔らかい感じだし。そりゃ当たり前だろーけどあの人が誰かを名前で呼んでんのなんて男子も女子も関係無くあいつだけだし。
「お前愛されてんなー」
「…んあ?…あぁうん、そうだねぇ」
須藤先輩は帰ってって、神谷は戻ってきて、思わずそう言うと一瞬きょとんとした神谷は嬉しそうにくすくす笑った。