芥川・日吉
「こんにちは、芥川君。日吉君もこんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは!何なに、神谷サンどーしたの?」
「芥川君に、一応報告にと思って。私の探し物がね、無事、見付かったから」
「――…、…!」
「…探し、物?…何の話ですか?」
「そ、っか!良かったね!」
「あぁ、本当に」
「………話が見えません。先輩、探し物って、俺には、教えてくれなかった事ですよね」
「別段、教えるような事でも無かったから。仲間外れにした、だとか、決してそういう訳では無いよ」
「そ!俺が訊いたら教えてくれただけだC!」
「…っ、そう、ですか」
「…ねー日吉」
「………何ですか」
「神谷サン、きっと解ってる。…俺ね、神谷サンが探し物見付けたら、ちょっとだけ遠くに行っちゃうんだろーなって。そんでさっき、一瞬返事すんのに詰まっちった時、俺が何思ったかとか。日吉がすげー拗ねてるのとか。…きっとそういうのぜーんぶ、あの人解ってんだ」
「、」
「解ってっけど、何も言わねーんだ。それが、神谷サンなんだ」
「…っ、知って、ます」
「…あとさ。神谷サンの探し物って、それきっとこないだの男なんじゃねーかなぁ」
「――!」
「だって神谷サン、元々優C人だったけど、今までなんかよりもすげー柔らかかったもん、笑う顔」
「………あの男」
「うん?」
「この前部活の後に、俺と鳳と神谷先輩で喫茶店に行ったんです。隣町の、アーネンエルベって喫茶店。最近有名らしいしって鳳が言ってきて、先輩も快く了承してくれて。…それで、喫茶店行ったら、あの男が居て。あの男、先輩の事ずっと見てるんですよ。余りにも…熱っぽい、から。だからそれを先輩に言ったら、気にするなって」
「…うん」
「それで、次の日にあの男が学校に来た。………そういう、事だったんですか、ね」
「………きっとそういう事なんだろーね」