芥川



「神谷サン、よくどっか遠くの方見るよね。…何か有んの?」

「…そう、だね。在ると思いたくて、探すのだけど。…今の私には見付ける事が出来なくて、ね」

「…見付かるとEね、探してるもの」

「あぁ、本当に。…そう言ってくれてありがとう、芥川君」




普段は眠たげであったり、覚醒している時であれば屈託の無い男子は、それでも聡かった。覗き込んできては、彼女が目を遣る方へと同じように視線を向ける。そしてそのまま体を傾けぽすりと頭を少女の膝に落とすのだ。レンはそんな芥川の柔らかな髪を、まるで子供のそれを撫でるかのように。
温かさに包まれて彼はそっと目を閉じる。きっとこの子は――この人は。探し物を見付けたら、自分の前から消えはしなくとも、少しだけ、少しだけ遠ざかってしまうのだろうと、考えながら。





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