アーチャー
「雑種…貴様、王たる我を前にしてその無礼。よもや無知のままに不貞を働いているという訳でも無かろうな」
「あぁ、勿論だとも、王よ」
「ならば疾く改めよ。して赦しを乞うが良い」
「いいえ、それは聞き入れられぬ事。貴方が王で在るように、私もまた王で在るのだから」
「…愚かな」
「左様、王とは言うも私とて神のように万能には在りません。愚行もまた、私の為す内。そして愚かな私めなどは貴方程の御仁には到底及ばぬ存在…であるからして王よ、貴方はこの矮小な者をただ無いものとしていらっしゃれば良いのです。…嗚呼、いえ、では私は貴方の視界より外れましょう。失礼致した」
「フン、痴れ者めが。その程度の理に我が貴様を看過するを許すとでも思うたか。哀れとさえ思わんわ、貴様の愚昧の程には。そこに居直れよ雑種。その分別も儘ならぬつまらぬ頭、胴と断て離せば幾らかはマシになろうよ…喜ぶが良い、この我直々に正してやるのだからな」
「…おやおや。遠慮、としたいところだが…」
「…雑種、浅ましさも過ぐれば白痴の滑稽としてやろう。…但し2度は無い」
「成る程――"左様なら"、再び遭う事無きよう願うばかりです」