ギルガメッシュ



ことり、と、それは一見不思議そうにとでも言えるように。うら若い年頃の娘という見て呉れの、ひどく遠い昔の存在である彼女が首を傾げた。




「…ふむ。何か思い違いをしているようだから訂正をしておくが、アレは猛犬なのであって、仮に猟犬であるのだとしても、ただただ飼い殺された愛らしい犬とは決して違うよ。故に、好きに噛み付くし唸り立てる」




そうして、くすりと微かに笑む。何処か嬉しげに、何処か楽しげに。




「それにアレは何も私だけの狗では無い…であるからして、たとえアレが粗相をしようが事をしくじろうが、私には何の責任も無いし、尻拭いや施しを必ずしなければならないという事も無い。関わるものと言えば、愛情と同情と温情といったところさ」




スカアハのほんの少し斜め後ろで和実は僅かに息を吐いた。とか何とか言っちゃって可愛すぎてすーぐに手助けしちゃうのが貴女様じゃないっすかー、なんて。心中でのみ零す。以前までの関係性であればこの呟きも繋がりを通じて知られていた事だろうが、今は違うので遠慮も無い。
しかし果たしてこれは、話題に上っている彼も承知しての、か。まぁでっしょうな、とも和実は頷く。自問自答、完結。


正面の男はつまらなさげに鼻を鳴らした。紅い目が、興味を失くして逸れて。しかししばらくもしたならまた彼は彼女へと注意を向けるだろう。その事を、意味を、2人の女は理解していた。





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