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『シカマル君てさー。よくめんどくさがるから、例えば夏休みに出された課題とか、てっきりやらないかと思えば実はきちんと終わらせちゃって、んで学校始まってちゃんと課題出してさ、お前やったのかよ?!裏切り者ー!って友達に指差されちゃうタイプでしょ』

『…、』


返事こそ無かったが、片眉を器用にぴくりと上げ、への字の口を更に形作らせた彼にやっぱりなと笑ったのだった。少しだけ驚いたような顔をしたシカマル君は、何か思い当たる節でも有ったのやもしれない。




ハヤテが吠えているのを聴きながら、御免下さいと声を掛けつつ戸を開けて。出てきた万里子さんに此処へ来た理由を話し、お裾分けの中身であるオクラと枝豆の入った袋を渡して、上がらせてもらう。静かだが、話によれば午後辺りから人が集まってくるそうなので今の内のものだろう。多少は面識も有るため、大所帯になる事を思って1人ひっそりと笑った。
奥の部屋で栄お婆ちゃんと対面する。挨拶と祝いの言葉を口にして、嬉しそうににかりと笑みを零したその人。相も変わらないご様子らしい。最近体調を崩しがちであったようだから心配してもいたのだが、大した事では無いと首を振られて安堵したのも事実。かなりのご老齢、元気なのが1番である。




「ところで、アンタは?漣の彼氏かい」

「残念ながら違います。ちょっとウチに居候してるだけです。今日は荷物持ちです。彼氏じゃないです」

「ふぅん」

「…奈良シカマル、と申します。卒寿との事で、おめでとうございます。お邪魔しております」

「へぇ、中々折り目正しい男じゃないか。背筋も綺麗に伸びた正座だね。随分と若そうだが、幾つなんだい?」

「16です」

「漣、アンタ確か今高校2年生だったね」

「流石お婆ちゃんよく憶えてる」

「とすると年下じゃないか。漣、若いのにこれだけの男はそうそう居たもんじゃない、しっかり捕まえときな」

「いやいやいや…いやいや」




とんでも無い流れに突入している事に焦りつつ、右手を高速で顔の前で振り否定を返す。嗚呼ごめんよシカマル君、栄お婆ちゃん割と強引なんだ…。なんて、後で謝ろうと考えていれば、また名前を呼ばれた。そろそろ暑くなり始めるし、どうせだから昼ご飯を食べていけとの事。想定内である。お祖母ちゃんも、栄さんの事だから食べていけと言ってくるでしょう、と笑っていたものだ。ありがたくご相伴に預からせて頂こう。
用意の手伝いをしようと立ち上がる中で、シカマル君がお婆ちゃんから花札をやらないかと言われた。彼、知っているのだろうか。まぁ否だとしても、どうとでもなるだろうが。ウチでもお祖父ちゃんとよく将棋を打っていたのだし。ちなみに負け知らずだ。やはり頭の回転が速いらしい。羨ましいものだ。


その後、お婆ちゃんと万里子さんと私とシカマル君というメンバーでの昼ご飯。食べたら食後の休憩が入り、皆でのんびりちょっとしたお喋りだ。とは言え女3人ばかりが賑やかにしていた訳だが。面々で唯一の男であるシカマル君はお茶を啜って、たまに向いてくる矛先を受けていた。時々小さく笑っていたし、そう嫌な思いをさせているでも無いとは思えたので良しとする。実際はどうだか分からないにせよ。





あれよあれよという内に、続々と集まってきた親戚ご一同と夕飯までご一緒させて頂く事に。


そこでまたしてもシカマル君イコール彼氏の話を全力で以て否定に入る羽目になったのだが。


(…何か、ごめんほんと)
(いや、別に)
(色々疲れたでしょ、それもごめんね)
(お前が謝る事じゃねぇだろ。…あんな大所帯ん中に入ったのも久しぶりだったしな)
(楽しかった?)
(…それなりに)





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