急に決まった私用、といってもボンゴレ関係の内容だが手短に済ませてから部屋に戻ると出かける前と同じ場所にあいつはいた。オレの帰宅におかえりと微笑んではいるが目の前のテーブルに並べられている大量のスナック菓子やチョコレート類が気になった。

「隼人聞いたよー?せっかく早く帰って来たのにまた出かけちゃうんだってね」
「将来的にも有望なファミリーとの会食が入っちまってな」
「当然そっち優先で私との約束が延期になるのは仕方ないと思ってるよ」
「…わるい」
「平気よ。腹癒せにヤケ食いしてるから」
「…」

完全に怒ってるじゃねぇかよ。しかし、かといって会食を取り止めにすることなどできない。後ろ髪を引かれる思いだったが一旦シャワー室に行って戻るとさっきと同じ光景がオレを迎えた。

「ホントすぐ出かけるんだ。時間に余裕ないねー」
「まぁ今回の会食は急だったからな。それよりお前、さっきから何食ってんだ?」

これ以上機嫌を損ねるわけにはいかないので話題を変えた。彼女は膝に置かれているチョコレートの箱を持ち上げて自慢するように微笑む。

「ツナくんからもらったフランスのお土産だよ。すっごくおいしいの!」
「10代目からの土産か。そりゃ10代目は見る目があるからな」
「さすがフランス〜ってかんじだよ。こんなにおいしいチョコレート初めて食べた」
「そんなにうまいのか?」
「もう何これ信じられない!!ってくらい」
「…どんな表現だ」
「隼人も食べてみる?」
「くれるなら食ってみてぇけど」

オレがシャワー後の着替えをしているため両手はネクタイを結んでるとわかった彼女は「じゃーあげる」とソファから身を乗り出して手を差し出す。わざわざ着替え中にチョコレートの話をしたのは言うまでもなく、こいつがこうするとわかっていたからだ。
口の中に放り込まれたチョコレートは甘く、なるほど言っていたように初めて食べる味だった。

「おいしいでしょ!?」
「あぁ、お前が言ってた通りだな」
「もっとほしい?ふふ、あげないよー。あ、隼人隼人!ちょっと」
「ん?」

近づくように手招きされたので顔を寄せるとネクタイに手をかけられた。曲がっていたのを直してくれたんだと思って礼を言ったのだが違ったようだ。

「あまりにイイ男すぎるからちょっとくらい曲がってた方がちょうどいいよ」
「…土産でも買ってきてやるから機嫌直せよ」
「え?別に機嫌悪くはないけど、隼人お土産買ってきてくれるの!?」
「お前が喜ぶようなもん買ってくる」

それに今日の埋め合わせは必ずすると付け加えてスーツの上着を羽織った。本当に来たばかりだが時間は待ってくれないので行かなければならない。いってらっしゃいの言葉と笑顔に見送られて部屋を出た。



そう仕向けたのは俺でした

企画/ぺろり様提出
120407

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