学パロ
***
バチ…バチッ…。
爆ぜる焼却炉の中にぞんざいに手紙を捨てた。
風介の下駄箱に入っていた手紙。ハートのシールが貼ってある辺り、
ラブレターと見て、間違いない。
風介はまだ目を通していない。
風介が読む前に回収したのだ。
燃えている手紙から目を離して、
焼却炉の蓋をバタンと閉めた。
独占欲は強いほうだろうと自覚している。
風介に告白してくる女子がウザイ。
が、止めることは出来ない。
本当なら、風介は俺のだ、と叫んでしまいたい。
けどここは、男同士の恋愛には否定的だ。
もし叫んだとして、だ。
俺は構わないが、風介が白い目に曝されるのは許せない。
「晴矢、何をしてるんだ。」
振り向くと仁王立ちして腕を組む風介がいた。
「ああ、俺日直で。ゴミ捨てに来たんだよ。」
「残念だね、今日の日直は私だよ。」
イタズラが成功したガキのような顔をする風介。
…しくった。なんて言い訳しようか。
「ああ、ついでにさ、私の下駄箱に入ってた手紙、知らないかい?」
「はぁっ?!」
なんで風介が手紙のことを知ってる?
驚いた顔の俺にくすくすと笑いながら風介は続ける。
「ヒロトがね、私の下駄箱に女子が手紙を入れてたって。」
「マジでか…。あの野郎…。」
余計なことしやがって!
「で?何をしてるの、晴矢?」
恐らく答えに気付いている風介は笑みを深めた。
本当、いい性格してるぜ、風介。
そんな所も好きだけど。
「…手紙、燃やしてました。」
「私への手紙を?…全く。私にプライバシーは無いのかい?」
「何お前、手紙欲しかったのかよ!?」
女子からの手紙を!と続けることは出来なかった。
言ったら負ける気がした。
風介は少し驚いた顔をして、
やっぱり微笑んだ。
「いや?興味無いね。どうせ断るし。」
何でもないようにさらりと答えた。
けどその答えは俺が望んでいた物で。
ああ風介、最高。
「そうかよ…。じゃあ良いだろ?燃やしても。」
「うーん…。人としてはどうかと思うけど。良いんじゃない?断る手間が省けるし。」
「うわ、風介最低だな。」
「君のほうこそ。…それに君が焼餅焼いてるんだって分かったし。」
ちょっと照れくさそうな風介ににやけて、
「ああ。仕方ないだろう?風介は俺だけのだから。」
「きゃあ、独占欲の強いこと!」
「悪いかよ?」
「いいや?私は好きだよ、晴矢のそう言う所。」
「なら良かった。」
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