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いつもより甘い二人
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帰って来て、リビングのソファに腰掛けた。歩いたので少々疲れ、ふぅーっと息を吐く。自分の服のポッケに手を突っ込むと、一個、ミルキーが出てきた
あーそういえば歩いてる最中にビラ配りの人から広告付きで貰ったんだ
広告は特に目も通さずに捨ててしまったが、食べ物をゴミ箱に入れるのは気が引けて、持ち帰ることにしたんだった
甘党の風介はミルキーが好きだし、居ればやろうと思ってたんだが…居ねぇな
ぺろりと舌を出し笑う少女の包みを取ると、乳白色の飴…ミルキーって飴って分類か?わかんねぇけど、それが手に乗る。ぱくんと口に放り込んで舐める
「…甘ぇ…」
別に甘いもんに苦手意識なかったけど、俺甘い菓子駄目だったんだな、と自覚する
いつも甘い菓子をたらふく頬張る風介を見て、自分も食べた気になってたけど、そういや俺そんなに甘いもん食ったことねぇな…
甘すぎた乳白色を捨てるのもなんだかなぁ、と思って舐め続けるが舌が動かず、塊が溶けだす様子はない。やっぱ捨てるかぁと思っていると、
後ろの扉が開いて風介が入ってきた
「お、おかえり」
「ただいま…。ん?晴矢ミルキー食べてるの?…いいね、頂戴。」
帰ってきた風介はソファの背もたれに寄りかかって、匂いでわかったのか、ミルキーを強請ってきた
「んー。なら隣来いよ」
ソファの隣をぽんぽんと叩くと、風介は素直に隣に座った。ミルキーそんなに欲しいのかよ、とちょっと乳白色に嫉妬しながら、風介の腕をぐいっと引いた
「え!?」
風介の口に自分の口を当てて、舌で強引に風介の口を開けさせた
ころんとミルキーを口移しした後も、風介の舌に舌を絡めたり、歯並びをなぞったりして風介の口内を楽しむ。頬はほんのり上気し、ぎゅっと目をつぶってる風介
その顔は反則だろ…
と思いながら続行すると、苦しくなったのか、風介が俺の胸をどんどんと叩いた。唇を離すと、風介は怨めしそうに俺を見る
「一個しか持ってなかったんだよ。食えたからいいだろ?」
ししっと笑うと風介ははぁーと溜息を吐いた。
「なら別にいらなかったのに…」
「俺がキスしたかったんだよ。嫌かよ?」
真剣な眼で見つめると、やっぱり風介は溜息を吐いて、顔を俺の胸にうずめた
「わかってる癖に…」
耳が赤くなってる風介がキスが嫌じゃないことくらいわかってる。ちょっと苛めすぎたなー。ぎゅうっと抱き締めた。
「はいはい、悪かったって」
「誠意が感じられないよ…。…本当、君の愛は甘ったるいね」
「ミルキーくらい?」
風介は少し思案顔になって悩む
「うーん…そうだね、ミルキーくらい」
「おー、それは甘いな」
ふふ、と笑って風介は目を煌めかす
「私の愛はサッカリン1gくらいの甘さだよ」
「は?」
予想外の表現に固まる。い、意味わかんねぇ…
「晴矢は家庭科苦手だもんね。わからなくていいんだよ」
ふふ、とまた笑って、風介にとっては反撃だったのだろう、満足したのかソファから立ち上がってリビングを去ってしまった
「え、どういう意味だよ…?」
意味がわからなかった俺は、検索エンジンを使ってサッカリンが何かを知って、
「俺、愛されてるー」
とにやけてしまうのだった。お前の愛も相当甘ったるいぜ
でも風介からの愛なら、余すこと無く、受け止めてやろう
『サッカリン1gの甘さ=砂糖400gの甘さ』
110424
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