先生が俺を呼ぶ声が聞こえたが俺は構わず走った。



自分でも何処に向かっているか何て分からない。


ただ、頭で考えるより先に足が勝手に動いていくんだ。


まるで何かに引き寄せられるように俺は走って行った。








『碧…‥ただいま。』





あの声が頭から離れない。

身を焦がすかのような甘い声。
心が満たされていくような温かい気持ちになる。
しかし少し、切ない気持ちになるのは何故?




頭に響く声。
この声は誰の声なんだ?







そして何故俺はこんなにもこの声の主に会いたいんだ?






さまざまな疑問や感情を抱きながら、気が付けば俺は山道を登っていった。










****













「ハァッ…‥ッは…ぁ……何やってんだよ俺ッ…‥」



ここ何処だよッッ!!!と未だに山道を…‥いや、獣道を進んで行く俺に言い聞かせるが、俺自信は一行に止まる気配がなく、どんどん山を登っていくだけだった。



しかし学校の裏山に何があるんだ?



俺もこの山なら体育の授業で登ったことはあるが、何にもない普通の山だったぞ?


まぁ俺が登ったのはこんな獣道じゃなく普通の綺麗に整備された道だったけどな。



落ち着いた頭で自分が何処に向かって歩いていくのか不明だったが、ただ一つ分かっていることは



心臓の奥底で聞こえた懐かしい声の主の元に向かって歩いていると言うこと。



最初は何となくそんな感じがしていたのだが、山を登るにつれてその直感が強くなっていき、今では完全に確信へと変わっていった。



「何はともあれ、この声の主に会えば全て分かるだろ。」




そんなことを考えながら俺はこの後、一時間は山を登るはめになった。













さぁ、やっと物語の続きが始まる


長い余興は終わりを告げた


時代が変わり、世界が変わり、



それでも二人は巡りあう




早くこの物語に終演を




でないと君達は―――。










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