退屈な日々、ただ生きているだけの俺。




世界は俺を無視するかのようにどんどん進んで行く。



別に俺の周りの環境が足りない分けじゃない。
両親は二人とも優しいし、友達と呼べる奴もいる。




お金にも困ってはいないし、俺自信も何かの持病も持っていない、至って健康な高3の男子だ。



楽しい、楽しくないと聞かれれば、楽しい人生を送っていると言える。





しかし、何か違うんだ。






これ以上の人生を望んで何かいない。
だけど日に日につのる倦怠感と何かに恋い焦がれる心臓。



何かが足りない。




そうは思うものの、俺には何が足りないのかが分からない。




会いたい



会いたい









逢いたい








俺は、誰に会いたいんだ?




先生が黒板にリズムよく数式を刻みながら呪文のような言葉を繰り返している。



変わらない日常。
つまらない日常。
何かが足りない日常。





夢うつつの授業中に途切れかける意識の中。


心の奥底で低く切なく、甘く響く、とても懐かしい声が俺にははっきりと聞こえた。





俺はこの声を知っている?



分からない、分からないんだ。




だけど―…‥





まるで心を引き裂かれるかのような衝動が俺を襲い、俺は学校を飛び出した。

















『 碧…‥ただいま。』














これは始まりじゃない。










これは物語の続き。














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