それは毎月一回行われる抜き打ち実力テストでのペア発表でのことだった。

うちのクラスはペアを作るには一人だけ足りないのでいつも誰かはAクラスの奴と組むのだけれどこんなことは初めてで

「……マジかよ」

黒板に貼り出されたプリントを見ながらそう小さく呟けばレンやトキヤは俺がショックを受けてのマジかよ、と受け取ったらしく「まあ、頑張ってよおチビちゃん」「あまり気を落とさず頑張って下さい」と俺の肩を軽く叩いた。

「あ、おう、お前らも頑張れよな!」

そう答えた俺はにやけてなかっただろうか。まさかこうしてアイツとペアを組めるなんて思わなかったからついつい嬉しくて口元が緩んでしまう。いつもは破天荒な学園長だけれども今回ばかりはナイスな判断だ。とりあえず心のなかで感謝しとく。

そうだ、昼休みにアイツのとこに行こう。多分食堂あたりにいるだろうし。そう考えるだけで昼休みまでの残りの授業も頑張れる気がした。



昼休み、食堂に向かえば思った通りアイツの後ろ姿を見つけて近付いてガシッと腕をつかんだら「ひぎゃあ!」叫ばれた。その声に驚きながら「お俺だよ、俺!」と言えば小鳥遊は振り返る。俺の姿に安心したのかあきらかにほっとした表情をしてから呟いた。

「お、おお驚かさないでよ…!」
「俺も驚いたっつーの!」

心臓止まるかと思ったぜ、なんていいながら息を吐けば小鳥遊は唇を尖らせていて、俺はそれを「まあ、いいか」と流す。

「小鳥遊」
「ん?」
「今暇か?」
「まだご飯食べてな「どうぞ来栖くん、真綾のこと持ってっていいよ」……は!?」

まだご飯食べてないけど、そう言おうとしたんだと思う小鳥遊の言葉を遮って小鳥遊の友達はアイツの背中を押した。そんなふたりの行動に俺は驚いてから「サンキューな!」と笑って小鳥遊の手を掴んで走り出した。

ノンストップシフォンダンサー

走り出した俺にあいつは

「ちょ、来栖くんどこいくのー!」

なんて叫ぶように聞くから

「購買と校庭!俺も昼まだだし食いながら打ち合わせしよーぜ!」

そう言って笑えば「最初っからそう言ってよー!吃驚したんだから!」と言って小鳥遊は走るスピードを速めた。

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