古典の授業中、暇すぎて来年辺りぽっくりいってしまうんじゃないかというくらい年配の先生(噂によればペリーが黒船でやってきた頃からいるとか)の話をBGMにぼんやりと窓の外を眺めていればどこかのクラスが体育をやっていた。

どこのクラスだろうか、そう思ってじっと見ていたらグラウンドと二階という距離にもかかわらず真ん中に集まる生徒の中から飛び抜けてでかい奴がいる。

「(花形のクラスか、)」

6時間目に体育とか羨ましすぎる。あー、俺も早くバスケしてーよ

そういうことを考えながら目を凝らして花形のクラスの中からたったひとつの小さな後ろ姿を探してみる。

「(…あ、いた)」

花形の場所から少し離れた隣に、うちの学校のジャージに身を包んで隣の女子(多分長谷川の彼女)と楽しそうに話している花村さんの姿。ちくしょう、ジャージ姿も可愛すぎる、花形ずりーぞ、クラス変わってくれ切実に。

そんな俺の願い(テレパシー)に気付いたのか花形はふと顔を上げて俺のクラスを見た。効果音でいけばぱちん、くらいの軽い音だろうけど吃驚するくらいばっちりと花形の目と俺の目が合う。すると花形は目線を外して花村さん側の距離をつめて彼女に話し掛けた。

なんだなんだ花形はお前俺が花村さん好きなの知っててやってんのか、自慢か、見せつけか、今日からお前の練習メニューだけキツくしてやるぞいいのか花形!

ぐっと眉間にシワが寄るのを感じながらグラウンド(花形)を睨むように見ていれば花形と話していた花村さんがくるりと振り返る。

「(…あ、)」

ぱちり、花村さんと目が合ったと思ったら彼女はすぐに俺から目線を外した。もしかして花村さんを睨んだように見えたのだろうか、そんな事を考えて少しというかかなりヘコんだ。くそ、やっぱり花形の練習メニュー増やす。

流石にもう見るのをやめようと思って最後に一度、ちらりと見れば花村さんがこっちを向いて手を振っていた。なぜかわからないけど花形も手を振っているから俺だとわかった。…がしかし、花形からの手はいらない。周りにバレないように小さくヒラヒラと手を振り返してから俺はにやけそうになる口元を教科書で隠して前を向いた。


イッツアファンタスチックワールドインマイハンズ


「…藤真くん、授業中に手は振ってはいかんぞ」
「(なぜバレた!)」
「教科書、二行目から読んで」
「はい」


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