「あのさ、」
「うん?」
「なんで隆也がいんの?」
「え、だってあれ渡すから隆也のこと呼んどいてって言ったの元希じゃん」
「え、そうだっけ」
「そうだよ」

もう、と小さくため息をつけば「わりーわりー」と元希は笑うから「謝るならあたしじゃなくて隆也にね」と言って紅茶のはいったカップを置いた。

「隆也も悪ぃな、わざわざ来てもらって」
「別に千紗さんにも用があったんで」
「相変わらず可愛くねーな、お前」
「どーも。で、用って何ですか」

相変わらず昔と変わらない会話のやり取りをする二人に呆れつつミルクたっぷりのミルクティーを飲みながらソファーで雑誌を読んでいれば「…はぁ!?」隆也の大きな声が聞こえた。大きな声に驚いて振り返ってみれば顔を真っ赤にさせた隆也と大笑いする元希がいて、あたしは首をかしげた。

「どうしたの?」

元希に聞いてみれば元希が口を開こうとした瞬間に隆也が「なんでもない!俺は帰るから!」と遮って玄関へと歩いていってしまった。慌てて追いかければ隆也は「これ母さんから!」と手に持っていた紙袋をあたしに押し付けるようにして帰ってしまった。

「ちょっと、元希。隆也になに言ったの」

そう聞いてみれば「内緒」と言ってまた笑うからあたしは「あんまり隆也いじめないでよね」そうため息混じりに言えば「いじめてねーよ」とすぐさま返ってきた。

「つーかその紙袋なに?」
「おばさんからみたいなんだけど…なんだろ?」

もらった紙袋をテーブルの上に置いて開けてみれば中から出てきたのは可愛いベビー服が二、三着

「…なあ、」
「………なに」
「お前のおばさんなんか勘違いしてねえ?」
「かもね…」
「でもまあ、」
「?」
「子供作るのもありかもな」

にやり、と笑った元希にあたしは「ばか!」とおもいっきり頭をひっぱたいた。


妄想癖とハニーピンク



◎阿部隆也くんは従弟
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