行きたかった大学に合格して、忙しい大学生活にも慣れて、一人暮らしもだんだんと様になってきた大学2年生の春、あたしの日常はぐるりと豹変した。


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「んー!よく寝たー」

枕元で鳴る目覚まし時計をとめてからベッドから起き上がりぐぐーっと大きく伸びをする。バキポキと骨の鳴る音がしてちょっと苦笑い。さて、学校に行く準備でもしようかな、とベッドから立ち上がろうとして「痛っ」何か踏んだ。え、痛い?昨日は誰も来なかったし、泊まる人がいるわけでもない。まさか、泥棒!?なんて慌てて下を見ればこれまた綺麗なお顔のお兄さん。

「……あの、」
「とりあえず、足、どけてもらってもいいかな?」
「えっ、あ、すみません」

慌てて足を退けてベッドに座ればお兄さんは起き上がって床に座った。

「「…………」」

チクタクチクタク 時計の秒針の音だけが部屋を包む。

いったい何を聞いたらいいのやら、お兄さんは明らかに泥棒ではなさそうだし、ストーカーなんて物騒なものでもなさそうだ。だってこんなにイケメンなんだもん。
どうするべきかと悩んでいたらお兄さんはポケットから携帯を取り出して何かを確認してから「ねえ、」と口を開いた。

「はっ、はい!」
「今って何年?」
「えっ」
「西暦で答えてもらってもいい?」
「2012年、ですけど…」

そう言ったらお兄さんは「困ったな、」小さく呟いた。

「あの、どうかしたんですか?」
「ちょっと、ね」

曖昧に笑うお兄さんにあたしは「力になれるんなら力になりますよ?見ず知らずですけどこうして会ったのも何かの縁ですし」今考えたらすごく冷静な切り返しだと思う。そう言えばお兄さんはふと笑ってから困ったように呟いた。

「どうやら過去に来たみたいなんだ、」
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