「……へ、?」
目の前にいる元不良のバスケ部員はぐっと眉間にシワを寄せて「どうなんだよ」と呟いた。
「どうって…今日タケちゃんの家で勉強会なんでしょ?」
つい先程今にも血管がぷっつりといってしまうんじゃないかというくらいに額にピキピキと青筋を浮かばせている幼馴染に聞いたばかりだ。そう聞けば「あー、まあ、そうなんだけどよ…」歯切れの悪い返事が帰ってくる。
「三井?」
どうしたのかと首をかしげると三井は「赤木も木暮も流川と桜木の見るから人たりねーんだよ」と言った。ああ、なるほど、それでか。さっきの三井の言葉を疑問に思っていたあたしはそれで納得した。
「三井の勉強を見る人がいないからあたしに頼んだんだ?」
確認のためにそう聞いてみると三井は「…おう、」と小さくうなずいた。
「あたしでよければいいよ。あ、でもタケちゃんに言わなきゃだよね」
「ああ、それは赤木も了承済みだぜ」
「あたしに聞く前に許可とっちゃった訳ね…」
あきれたように呟くと三井は「まあ、頼むぜ」と少し水滴のついたイチゴ牛乳のパックをコトリとあたしの机に置いてさっさと席に戻って行った。あたしはイチゴ牛乳のパックをしばらく眺めてから振り返って自分の席に突っ伏している三井に小さく「ありがと」なんて呟いてイチゴ牛乳のパックを手に取った。
「……甘いなあ、」
ストロベリーシュガー