少し大きくなったお腹を抱えながら教会の中へゆっくりと歩みを進める。教会の中は昔みたいに花が咲き乱れている訳ではなく、綺麗な、小さい泉のようになっていて、天井の壊れた場所から差し込む太陽の光に反射してキラキラしていた。
「お花、なくなっちゃったなあ」
これじゃあいつまでもミットガルがお花でいっぱいならないや。そう呟いて小さく笑っていたらカツン、後ろから足音が聞こえた。
少し慌てたような足音は私のすぐ後ろで止まって、振り返ろうとしたら「危ないから一人で出歩かないでくれ」そんな声が聞こえて私は小さく笑って「ごめんね?」と呟く。
「悪いと思うならせめて誰かに言ってくれないか」
心配するだろ、なんて言って眉間にシワを寄せるクラウドにもう一度「ごめんね?」と笑いかけるとクラウドは小さくため息を吐いてから軽く私の頭を撫でた。クラウドには内緒だけど私はこれがすごく好きだったりする。
「帰るぞ」
そう言って差し出された手に自分の手を重ねて頷くとクラウドはふわりと笑って重ねた私の手をぎゅっと握り、ゆっくりと歩き出す。
「…ティファが、」
「ティファ?」
「アオイが帰ってきたら説教する、と言っていた」
「うわあ、ティファのお説教やだな、」
顔をしかめながらそう言えばクラウドは「それだけティファも心配してるんだ」と言って苦笑いをこぼした。
「ねぇ、クラウド」
隣を歩くクラウドの方に目線を向けると彼も「どうした?」と私に目線を向けて立ち止まる。
「今度はこの子が産まれたら一緒に来ようね」
そう言って繋いでいない方の手でお腹をそっと撫でればクラウドも「…そうだな」と呟いてそっと私のお腹に触れた。
体温のあたたかなこと