なんとなく、カーテンを開けてみたら空はまるで絨毯を敷いたように星たちがきらきらと輝いていて、部屋の電気を消し、わたしは寒いのを承知で窓をがらりと開けた。

「う、わあ…」

窓越しに見るよりもさらにきらきらと輝いている星たちにわたしはこの感動を他の誰かにもわかってほしくて携帯開いて着信履歴を開く。そして、着信履歴の1番新しい、ちょうどさっきまで電話していた幼馴染の番号に電話をかける。

プルルルル…ブッ

「…もしもし?」

「あ、わたし!わたしだけど」

「…詐欺なら間に合ってます」

「詐欺じゃないからね!さっきまで電話してたでしょー!もー、悠太のばあか」

「…………切っていい?」

電話越しでもわかるような盛大なため息とともに頂戴してしまった言葉に「あっ、ダメ!」とすこし大きな声を出したら「うるさいよ、近所迷惑」なんて声が電話越しからもすぐベランダの下からも聞こえて、びっくりしてベランダの下を覗けば少し鼻を赤くした双子の幼馴染の片割れがいた。

「………ゆーた?」

「なあに」

「なんで外にいるの」

「葵が俺に会いたいのかと思って」

「ゆーきは?」

「家で熟睡してますけど」

「…そーですか」

へにゃり、笑って答えれば悠太は「おいで、」と電話越しに喋った。それに「うん」と頷いて私はお気に入りのコートに身を包みこっそりと家から飛び出した。



ヒッパルコスの夜


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