×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




2021/10/08 22:51

明治の軸

あれが素敵、これが素敵と心動かされたものはなんでも気軽に褒めるくせに、本人は褒められなれてない。技術を褒められたらもちろんとーぜん!ってドヤっちゃうけど、異性に可愛いとか好きだとか恋愛感情を向けられたことがなくて、ストレートに言われるとドギマギしてうつむいちゃう。かわいい。

デザインから製図から縫製まで一人でやれちゃうから東京でブティックでも開いてればよかったものを、友人と、思わしき娘の噂話を聞いてひとり北海道までやって来た。

なんやかんやアイヌの手仕事に関心が高く魅了されたので、勉強がてらアイヌのコタンで世話になることに。針仕事は繊細で美しいし、愛嬌もあるし素直で良い娘なので評価は上々。女たちはキラウシにテクンペを渡すようにすすめる。
テクンペの作り方を教わって、上等な刺繍のテクンペが出来上がる。キラウシに渡してこいと言われて渡したら、意味がわかってるのか?と問われて困惑する。意味とは??

「なら、これは受け取れない」
「………わかったわ」

あぁ、なにか良くないことをしてしまったのだと直感し、なんだか無性に胸が痛くなって、そっとテクンペをバッグにしまう◯。

キラウシは、ほんとは受け取って彼女にメノコマキリを渡したいけど意味がわかってない娘にフェアじゃないって思ってるといい。

「ほしくないわけじゃない。でも、お前がその意味をわかってなければならない。……それだけだ」

そしてアイヌの風習に馴染んでようやくその意味がわかったとき、頬を染めながら、もう一度キラウシのために全部作り直したテクンペを渡しに行く。模様も祈りもすべて彼のために込めた品。

「知らないで渡すなんて、失礼なことしてごめんなさい。でも今はもうわかってる。あなたに受け取って欲しい」
「本当か!」
「(かわいい)」

実はメノコマキリを彼女のためにつくっていたけど、この風習に馴染みのない彼女に渡しに行くのは大冒険すぎてできなかった。わかった頃に渡そうとも思ってたけど、先にテクンペ渡されちゃった(未遂)ので、テクンペ待ちにシフトチェンジ。ちょっとズルイけど、わかったらもっかいくれって言ったし、最大限彼女の気を引く努力はした。テクンペもらえてめっちゃ喜ぶ。かわいい。

「◯はピリカメノコで、一番の女だ」
「わかんないけどなんか褒められてるのはわかってむずかゆい……」
「きれいな女だって言った。裁縫も上手い」
「そ、んな、はずかしいことを堂々と……!」
「何も恥ずかしいことはない。事実だ」
「…………!(ヴァァァァ………)」

:でもキラウシは出稼ぎに出ちゃうからそんなトントンには行かないのだ。


現代軸学校の先生パロならほのぼのする。

キラウシは体育教諭。
主は家庭科教諭。一般企業経験者。
ついでに門倉は社会科教諭。

「○センセー、ジャージに穴あいたから縫ってくれ」
「今度はジャージ?キラウシ先生」
「スライディングしたら摩擦で溶けた」
「アハハ、しょーもなぁい」

笑いながらも穴を塞いでくれる。門倉先生はキラウシがいつも頼んでるの知ってる。露骨だなーと思うけど若いから応援はしてる。

「キラウシ、いつも○先生に頼んでるだろ」
「○先生が縫うと全く見えない!すごいぞ門倉!」
「(あー……)うわ、ホントに穴あいてたの?すごいね」

○先生が面倒見良すぎてキラウシ先生が少し嫉妬する。凶運故によくコーヒーをこぼしたり、墨とかなんかはねたりする。

「あッつい!!!あちゃー……」
「えっ、門倉先生大丈夫!?火傷してない?あっ!ジャケットに染みちゃう!かしてね!着替えあったら着替えてきて、後でスラックスもかして!」
「………あ、ありがと」

門倉がコーヒー零すとパパパッと布巾もってきて書類も避難させてサッと服の染み抜きもしてくれる。よれてたジャケットもぴしっと形が整えられて帰ってくる。○先生クリーニング屋だったっけ?ってなってる。

「門倉、○先生に迷惑かけるな」
「なんか、すごい色々してくれる………」
「門倉」
「なんかごめん……」

実は染み抜きの動画撮って授業の教材に活用している。本人にはちゃんと報告してるけど、案外抜け目ない。
凶運ゆえ色んなタイプの染みをつくるので種類別の染み抜き教材が作られている。
comment (0)


prev | next


prev# | next