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2021/04/27 00:08

最初は霊力あるとか自覚ないし、田舎だし、神社継ごうとかまったく思っていなかったけど、祖父に鬼太郎さんをはじめとした妖怪たちと引き合わされてから人生の方向が急展開。妖怪的トラブルが舞い込んでくるようになる。
霊力があっても別に戦えるわけじゃないから少し困ってる。

巻き込まれると高確率で黒鴉が助けてくれるから、吊り橋効果と自覚しながらも好意を抱いてしまう女子高生。
でもそんなの天狗信仰の神社で、妖怪の安寧の地である山を管理する人間がいなくなると妖怪側も困るからだってわかっている。
命を悪い妖怪から守るから土地を人間から守れっていうWin―Winな持ちつ持たれつな関係でしかないって理解してるから苦しい。
いちいち助けられるのもどうなのよ、と自分なりに戦い方を学ぶ。足手まといにならない決意。

自分の身は自分でなんとかできる、もう守られなくたっていいくらいになったから必要ないと断るのに助けにきてくれるのでずっと胸が苦しい。おまえのやさしさで息ができない。
優先順位を間違えるな。やるべきことを優先しろって常日頃言っておいたのに、何らかの強力な敵が現れて、主人公がピンチに。敵の制圧と主人公の身の安全、はかりにかけて結局主人公を選んでしまう黒鴉と、それがこの上なく苦しいのに、嬉しくなってしまう主人公。

失恋確定の初恋。吉とでるか凶とでるか。そんな話がよみたいんじゃ……。

ぐらつく心につけこまれそうになるのもおいしい。
恋してる最中はねこ娘と黒鴉の関係にモヤモヤしてるといい。

さんざん苦しんで、そして見返りを求めない愛の形に気づいて憑き物が落ちたようになってほしい。恋は相手に求めるもの、愛は相手に与えるもの。
結ばれぬとわかっていても、黒鴉のためにできることを考えて動く。
可能な限り近い世界を見ていられるから、神社と山の管理を引き継ぐことを決意。
目まぐるしく変化する人間社会のなかに、いつまでも変わらずに心休められる場所を彼のために残したいと思った。

「私の一生など、妖怪のあなたたちにとってはほんの瞬きの間でしかないでしょうね。だけど、そんな一瞬の間だけでも、安らげる地を残せたらと思ったの」

黒鴉にはたった十数年しか生きていない人間の娘の心の深さに敬服してほしいし、これによって主人公爆発的に強くなってほしい。

きっと人でなくなれば、黒鴉と結ばれる可能性は高まるんだろうと思うけど、人の世に失われていく妖怪の居場所を思って、人でなくてはできないことを人としてする。
自分だけの幸福ではなくて、黒鴉と彼を取り巻く世界が少しでも過ごしやすくあってほしいと願っている。これが彼女の愛じゃよ。

数十年の主人公の人生は黒鴉にとってはほんのわずかな間かもしれないけど、彼の長い時のなかでひときわ強く輝いていてほしい。

「あなたのそばにいられてしあわせでした」

置いていくもの、いかれる者。
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