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2018/01/25 12:46

「そこにいるのはただのカラスだ。そうだろう」

今さら言うまでもないことだ、と言うように一刻堂は言い切った。いつの間にか私の後ろに控えていた気配が変化している。
振り返るとそこには、1羽のカラスがいるだけだった。

術をかけられた。そう思ったときには時すでに遅く、私の意識は塗り替えられてしまっていた。そこにいたのはただのカラスなどではないはずのに、さも正しいことのように感じられる。

「……!!違う、」
「違わない」
「違う、ここにいるのは……ただのカラスじゃない」
「では何だというのかね。君にとっては特別だったとでも?ペットにして名前でもつけているとでもいうのか。実に、変わっているね」

ならば名前を、教えてくれないか。不敵な笑みを見せる男に背筋が泡立つ。畳み掛けるように男が言葉を発する度に、心が乱され何もかもが見えなくなる。

違う、違うのだ。そいつはただのカラスではなく、もっと特別な存在なのだ。
焦れば焦るほど一刻堂の言霊にとらわれる。まるで暗闇のなかに一人取り残されたような感覚。絶望を味わうとはこのことか。

ヒュ、と小さく息を吸う。目を閉じて心を落ち着ける。何をしているんだ、私は。震えていられる立場か。
こんなことで、巫女がつとまるものか。妖怪も人間の均衡を保つ役割を果たせるものか。こんな情けない姿を、彼に、彼らに見せられやしない。

「ほらね、こいつは君のカラスじゃない。その証拠に君は名前すら思い出せないじゃ「黒鴉」なに…?」
「彼の名前は黒鴉だ!おい黒鴉、目を覚ませ。いつまで寝ぼけているつもり」

私の一言で言霊の術は解けた。

「ハッ…!わ、私は何を、」
「驚いた。まさか私の術を解くとはね……フム」

なにかを考えるしぐさを見せた一刻堂は、こちらを向いて口を開いた。

「試すような真似をしてすまかったね、君の力が知りたかったのだ。だがこれでよくわかった」

素質があれば鍛えてやろうとも思ったが、やめておこう。磨けば光る能力はあるようだが、君には扱いきれんだろう。

てな感じで一刻堂先生が言うから黒鴉がちょっとおこおこしたり、主人公はそう言われると面白くないけど事実だなと思ったり、軽く試すだけのつもりだったけど小娘に言霊を破られて面白くなかった先生が主人公にちょっと意地悪言ったりという展開がみたいね。



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