「なぁ、ナミー!お前、最後に何て言ったんだよー!」 私が音貝に残したメッセージをルフィは最後まで聞かなかったらしく、教えろ教えろとさっきからずっとその話。 「いいじゃない。もう済んだことなんだから。」 「よくねェ!俺が知りたいんだ。」 「いいの。」 「何でだよ!」 「だって、伝わったもの。」 「え?」 「助けに来てくれた。メッセージは届いてなくても、心はちゃんと届いてた。…だから、いいの。」 「そっか。」 ─必ず助けに来て。 そんなこと言わなくてもルフィは助けに来てくれた。 きっと、 私が海の底に連れ去られても、 宇宙の果てに飛ばされても、 必ず助けに来てくれる。 ルフィはそういうヤツ。 「メッセージなんか残す必要なかったわね。」 「そうだぞ!俺じゃ勝てないみたいに言われて頭きたんだからな!」 「だーかーらー、それはシキを誤魔化すため。本当に助けに来て欲しくなかったら、もっと違うこと言ってるわよ。」 「違うことって?」 「え?」 「何言うんだ?」 「…んー、わかんない。あんただったら、何言っても結局迎えに来そう。」 「当たり前だろ?」 ししし、といつものように満足げに笑うルフィ。 私の大好きな笑顔。 「あんたには敵わないわ。」 「おう!」 「これからもよろしくね、キャプテン。」 助けにきてくれて、ありがとう。 そう言ってもルフィは素直に受け取らない気がした。 ルフィにとって、仲間を助けるのは当たり前のことで、お礼を言われるためじゃないって怒られそう。 だから、 「ありがとう」の代わりに、 「これからもよろしくね。」 私の居場所は、やっぱりここしか無いんだ。 「ん。」 「ん?」 突然ルフィが真剣な眼差しで右手を差し出してきたから、改めて握手なんて少し照れるわ、そう思いながらその手を取ったら思いのほか強い力で握り返されて、思わず非難の声を上げる。 「痛っ、ちょっと!バカぢか、」 ら。 次の瞬間には、すっかり彼の腕の中に閉じ込められていた。 「やっと手に入れたんだ。もう二度と離さねェ。」 「ルフィ…。」 どうして、 コイツの体温はこんなにも私を安心させるんだろう。 「何度俺のとこから居なくなったって、何度でも連れ戻してやる。」 「…うん、覚悟してる。」 私だって、あんたから離れるつもりは更々ない。 この腕の中よりも居心地の良い場所なんて、世界中のどこにもない。 だから、何度離ればなれになっても、 何度でも戻って来るわ。 ここが、私の、帰る場所。 |