お弁当に納豆

 お久しぶりです。皆様。理です。

 今日はデートです。と言っても、夏休みの宿題をするために学習センターに行って、お勉強するだけなんですが……

 それから、お弁当を作ってきました。
 ユウに頼まれたのです。
 その学習センターには広い芝生がある中庭があります。
 ユウがそこで一緒にお弁当食べようって言ってくれました!!
 なので、お母さんに見守られながらお弁当を作ることになったのです。

 ユウは意外と日本食が好きで、肉よりも魚が好き。
 ちょっぴり変わってる?
 味覚が大人です。
 だから、お弁当には和風のおかずと白いご飯を詰めてきました。
 リイばっかりに頼むのはダメだからと言って、ユウもなにか持ってきてくれるそうです。
 楽しみです。

 さて、今は。
 集合時間の20分前です。
 楽しみすぎてちょっと早く来てしまいましたが、学習センターの前でユウを待っています。
 ずり落ちてくる勉強道具の入ったカバンを肩にかけ直す。

「ねぇ、ねぇ」
「………僕、ですか?」

 知らない人たちだ……
 どうしたんだろう?

「今さぁ、ヒマ?」

 ヒマ……?うーん……
 集合時間まであと10分あるし…

「あ、あの…えっと……」
「俺たちとさぁ、遊びにいかない?」
「リイ!!」
「……あっ!!ユウ」

 僕の周りを囲んでいた人たちにペコリと頭を下げて、ユウの方にいく。

「リイ、大丈夫か?」

 ユウが僕の顔を覗き込んでくる。
 カクカクと首を縦に振るとユウはホッとしたような顔になって、僕に話しかけてきた人たちの方を見た。

「あの人たち、僕を女の子と勘違いしたのかな?」

 今の僕の格好は、シャーベットピンクのTシャツに白のピタッとしたチノパンだから、パッと見女の子に見えなくもない。
 コソコソっとユウに言ったら、呆れた顔をされてため息を吐かれました。
 それから、僕の頭をポンポンと触ると学習センターの入り口の方に行ってしまった。

 あのあとすぐに追い付いたんだけど、ユウはなんだか不機嫌でなんだか話しかけづらかったです。
 もちろん必要最低限の会話はあったけど…
 座った席が運悪く、仲良しさんなカップルがそばにいて、楽しそうにおしゃべりをしています。
 いいな〜なんて思ったり…

 そのおかげとは言いたくないけど、宿題のレポートは終わったし数学も進めることができました。

 12時を知らせるチャイムを聞いて、チラッとユウを見るとユウはお片付けを始めていました。
 僕も片付けて、ユウの後についていきます。
 せめて、お昼ご飯の時ぐらいは機嫌直ってくれないかな。
 お弁当が出しづらいよ……

 会話もなく歩いていたら、すぐに中庭につきました。
 ユウはカバンからレジャーシートを取り出して芝生に引いた。
 結構大きめのそれは僕たちが乗ってお弁当を広げたらちょうどいいぐらい。
 シートに座るユウに倣って僕も座る。

「リイ、」

 ビクッてなったけど、ちゃんと返事を返す。

「ごめんな。俺ちょっと頭に血のぼってた。知らない男たちに囲まれて困ってるリイを見て、なんで俺はもっと早くに来なかったんだろうって……自分に腹がたった」
「そんなことないよ…」
「だからって不機嫌になってリイを困らせるようなことするんじゃなかった。ごめんな」

 僕はブンブンと首を振った。
 その様子が可笑しかったのか、ユウが笑った。
 その事が嬉しくて僕もつられて笑った。

「お弁当食べようぜ!!リイ作ってきてくれたんだろ?」
「うん。自信ないけど……」

 おずおずとお弁当箱を渡す。
 重箱は無理があったから、普通のお弁当箱。
 ユウがパカッと開けた。

「…………えっ?」

「ど、どうかな。お母さんに見られるの恥ずかしかったから、お母さんが見てないときに入れたんだけど………」

 ハート形のニンジンが煮物の上に置いてある。
 ちょっと王道すぎたかな?
 心配になってチラッとユウを見上げる。
 するとユウはいつもの爽やかな笑顔を浮かべて僕と目を合わせてきた。

「すっげー。旨そう…いただきます」
「召し上がれ。口に合うかな?」
「リイの作ったものなら何がなんでも合わせてやるよ」

 ユウはそんなことをいってくれたが、さっきから箸が止まらないので良かったのだろう。
 本当に、頑張ってよかった。

「あっと……これを忘れちゃいけなかった」

 ユウはカバンをがさごそしながらなにかを探してる。
 そして出したのは、納豆!!

「ユウ、それはここで食べちゃいけないと思うよ」
「でもな、納豆食べないと飯食った気にならないんだよな……大丈夫、ニオワ納豆だから」
「あぁ……」

 ユウは構わず納豆を混ぜ始める。
 周りの人たちがこっちを見てくるけど………
 もういいや。堂々としちゃえ。

「ユウ、納豆ついてる」
「ん?取って」

 分かる。僕が出来ないとおもって言ってることが……
 だったら……

「…んっ、はい。取れたよ」

 ちょっとキョロキョロしてもう誰も見ていないことを確認して、キスするみたいに納豆を取ってあげました。
 ちょっと恥ずかしかったけど、ユウを見たら滅多に見ないほど真っ赤になっていました。
 嬉しくって思わず笑うと、ユウも笑ってくれました。

 納豆をお弁当にかけちゃうユウも、どんなユウも、大好き。



END
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リイは料理がそこそこにできるので、料理の常識をちゃんと知ってます。
洗剤で米を洗うような真似はしません。
と願いたい。


お題配布元:しゃくれ貴族

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