言ってしまったが、後悔はない。
 気分が高まっているせいからかもしれない。
 詩舟はさっきから驚きで何も言えてない。

「詩舟は?俺のことどう思ってるの?」

 堰が崩れたかのように詩舟の目から涙が流れる。
 ギョッとしたが、詩舟が抱きついてきて、軽くパニック

「オレもスキ、桂がスキ」

 耳元で色気もなくワンワン泣かれたらそれはそれで可愛いのだけれど、パニックはおさまってよかったのだけれど……
 俺は、詩舟の背中に手を回してポンポンと叩いた。
 詩舟が泣き止むまで。

 時刻は10時
 ようやく詩舟は泣き止み、俺の膝の上でおとなしくなった。

「詩舟、今日どうする。泊まってく?帰る?帰るなら送るけど」

 親御さんは心配だろう。
 なんたって10時

「泊まる。お母さんには遅くなるかもって言っといたから。今から電話したら大丈夫だと思うし」

 なるほど、
 詩舟はケータイを取り出して、電話をかけた。
 ここで?俺の膝の上なんだけど、離れたくないみたいな?
 ……今夜大丈夫か?
 話もついたようで、ケータイをしまった詩舟は俺に擦り寄ってきた。
 ……今夜大丈夫か!?

「……桂、チューしないの?」

 今夜はダメですね。
 詩舟のお母さま、息子さんは僕がもらいます。

「してもいいけど、詩舟そんなにしたいの?」

 ちょっと意地悪。
 詩舟は真っ赤になってうつむいた。
 ちょっと快感。
 だが、

「したいの。チューしたい」

 俺、絶対に詩舟に勝てないと思う。
 目うるうるさせる詩舟に今度は俺が真っ赤になった。
 顔暑い。
 ギュッと抱き締めてから詩舟のお望み通り、キスした。
 もっと、とか言ってくるからほんとに止まらない。
 長いやつしたら、酸素不足でくたっとなった詩舟。
 続きは後でな、とか余裕めいたこと言って風呂場に逃げ込んだ俺をヘタレと呼べばいいさ。

 ずっと触れていたかった。
 近づきたかった。
 何も言えなかった。出来なかった。

 叶わぬ恋だと思ってた。

 辛い苦しいときもあった。
 でも、この腕の中に入ってきた幸せがあれば、そんな苦しみも消えてしまう。

 ずっと、触りたかった。触れていたかった。
 近づきたかった。
 言いたかった。

 ずっと押さえてた。
 でも、今ならいいだろ。
 今なら言える。
 苦しみも、辛さも痛さも、消えてしまうほど君が好き。



END
************
やっと終わりました。
ありがとうございます。
こんな話に1年もかけてんじゃねぇよ!!
ってなる皆様が目に浮かぶ。
ア゙ア゙ア゙ア゙ごめ゛ん゛な゛ざい゛ぃぃぃぃ。
この二人は甘酸っぱさがあり結構好きです。
桂くんがヘタレになっていく様をこれから書きたいですね。
書けたら……


<< back


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -