脅し、ってか脅迫。あ、一緒か。
「お前さぁ、俺の事好きなの?」
さぁ、帰ろう!!と息込んで斜め掛けのカバンを背に回したとき、隣の席のやつに声をかけられた。こんな感じに……
一瞬固まる。ゆっくりそいつを見る。
そいつはいつもみたいにちょっと皮肉っぽい笑みを口に浮かべてて、それがなんかかっこいいなぁなんて思ってた。
……なんでバレた!?
俺の頭が動き出したときには、俺はあいつの腕の中だった。
――――――――――
俺のことをちゃんとした名前で呼ぶやつはもうほとんどいない。
考えてみただけで、5人?ぐらい……
なんでこんなことになったか。
別に、クラスメートたちからいじめを受けているわけでは……あれ?いじめ?これっていじめになるのか?
……話を戻して、なんでこんなことになったか。
それは、俺が
「新山、」
俺がこいつを
「…新山、」
俺がこいつ――相模――を好きになってしまったから……
「聞いてんのか!?このクソ犬!!」
「ぎゃうっ」
見とれていたら、げんこつが落ちてきた。
「……何ですか?相模様」
「ふざけてんのか?」
俺にげんこつ入れてきたのが、俺の好きな人、相模こと相模様だ。基本俺様な相模様との出会いはちょっと思い出したくないが、この相模様のせいで俺は犬とか、ワンコとか、そういう系統の名前で呼ばれることになった。
「ふざけてないです。すいません…で、どうしたの?相模」
「新山、キスしろ」
「………あ?」
相模ってば、なんてった?俺耳悪くなったかな?
机挟んだ向こう側にいるのに、ノイズが混じったかな?電波悪いんだわ。
「ほら、俺の事好きなんだろ?キスしろって」
「……相模、なんか悪いもの食った?」
「食ってねぇよ。早く」
相模様はガチらしい。
ご自分の美しい唇に人差し指をトントンと当てて俺を促す。
「ムリムリムリムリムリムリ」
「なんでだよ」
「相模様、回りをご覧ください。人で一杯です」
ここをどこだと思ってる。
昼下がりの教室だぞ?
女子も普通にいる。隣のクラスのやつだっている。
今だってチラホラ相模のこと見てる女子がいる。
一部変な目線も感じる。
「そんなの関係あるか」
そんな視線を一蹴して俺のネクタイをグイッと引く。
ひぃ!!ありますよ〜大いに関係ありますよ〜
いくらイケメンな相模様でも相手が俺じゃ引かれますよ。
「……相模様、それって脅し?」
「脅しじゃねえ、脅迫だ……あ、一緒か。お願いだ」
「本心見えたぞ〜」
まぁ、俺が相模に勝てるわけがないので、結局やるって言うか、やらされることになりました。
END
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相模には付属品としてドエスが付いてます。
愛はあります。