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暴力的な表現あり。





















「てめえが宇佐美ちゃん?」

 先輩の一人が話しかけてきた。
 後ろにいる他の人たちは何がおかしいのかクスクスと笑っている。
 どう答えれば良いかわからず、前平を見る。
 前平は宇佐美を見て答えた。

「そうですよ。今日も朝から坂井とラブラブだったもんなぁ」

「ち、違っ!!」

「へぇ、じゃああの張り紙の事はほんとの事だったんだ。キモッ」

 笑い声が大きくなった。
 前原も笑っている。

「えっじゃあ、髪長いのも女っぽく見せるため?無理だろ。その身長じゃ」

 宇佐美は身長が180センチ近かった。
 それは宇佐美にとってはどうしようもないコンプレックスなのだが、相手の言葉は恐ろしいほど確実に傷をつけてくる。
 その発言に反応した別も男が乗ってくる。

「ウケる。逆に健気じゃね?」

「健気とか無いわ。だって重くね?マジ勘弁だし」

 宇佐美は何も言えず黙って聞いていることしかできなかった。
 そんな宇佐美の姿に拍車がかかり、さらにあることないこと言っては暴言を吐いた。

 それでも宇佐美には反論も反応もできなかった。
 彼らはそんな宇佐美の姿にだんだんと苛立ちを感じ始めていた。

「ねぇ、宇佐美ちゃん、なんか言えよ。そのお口はなんのためのお口ですか?」

「……………」

「ほら言ってみろってオカマ」

 宇佐美はジリジリと壁に追い込まれてしまった。
 ダンッ!!と顔の横に手を突かれ、ビクッと体が跳ねる。
 突然、正面に立っていた男が舌打ちをしたかと思うといきなり殴ってきた。

「うぐっ……」

「なんかさぁ、イラつくんですけど。マジで」

 殴られて地面へと倒れた宇佐美の髪の毛を引っ張る。
 痛みで涙が出てきたがグッとこらえる。

「ちょっと、顔はやめよーぜ。教師にバレるだろ」

「ってか朝のあれでもうバレてんだろ」

「えっじゃあ、公認なの?じゃあ顔オーケーじゃん」

 最後に言った男がニタリと笑ってこっちを見た。
 ゾクッと背筋に恐怖が走った。

「っ離して!!」

「おっと、待てよ」

「いやだ、やめっ!!」

「大人しくしてろって……」

 髪の毛を掴んでいた手を振り払い立ち上がろうとしたそのとき、横からお腹にかけて鋭い蹴りが入れられる。
 宇佐美の体はそのまま横に飛んだ。
 痛みで体が動かない。

 震えながら顔を上げると、また足が飛んできた。
 それを皮切りに次々と攻撃に繰り出される。
 宇佐美は避けきることもできず。
 ただ、受け流すことしかできなかった。

 ぐったりとした宇佐美を見てやっと苛立ちから解放されたのか、攻撃をやめ、最初宇佐美の髪の毛を掴んでいた男がニタリと笑って宇佐美の顔を狙い思いっきり蹴りあげようとした瞬間、

「貴様ら何やってんだ!!」

 宇佐美の意識はそこで途切れた。


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