「…った。に、仁王!大丈夫!?」
「くっ…大丈夫じゃ。」
「大丈夫って・・・本棚が…!」
私を庇うように仁王が私の上に四つん這いになって跨っており、仁王の上は本棚が乗っかっていて、私はオロオロとうろたえた。
倒れた場所が悪かったのだ。
私の頭の上に壁がなければ、仁王の下から抜けて本棚を動かせたのに。
私は書庫の狭さを恨んだ。
不幸中の幸いは、本が少ししか入っていない本棚だったことだ。
「…う、」
「仁王っ!どうしよう…どうしたら…、仁王、私にできることは!?その無駄にいい頭で早く何か考えて!!」
「無駄にて…。」
「なんでもするから…っ。」
「なんでも?」
「するから早く、んッ!?」
いきなり唇を塞がれ、こんな非常時に何をするんだと頭が一時停止をはかる。
柔らかい唇を押しつけるだけのキスから一転して、唇を堪能するかのように仁王は角度を変えて舐めてついばむキスをした。
私は慌てて仁王の肩を叩いて抗議した。
「ちょ…!」
「なんでもする、ねぇ…いい心がけじゃのう。Aチャン?」
仁王がにやりと笑った瞬間、やられたと思った。
本棚を倒したのも、だから本の少ない本棚を選んだのも、私が抜け出せない位置に倒れたことも、仁王の計算の内だったんだ。
仁王は片手で軽々と本棚を壁際へ押し返すと、周りに散らばった本を適当に後ろや横へ放り投げた。
仁王が私の上にに腰を降ろしたので私は相変わらずもがくことしかできなかった。
「騙したわね!?」
「それが本業じゃけぇの。」
お前さんを手に入れるのは一苦労じゃ、と仁王は色っぽく笑い、私のネクタイをシュッとはずした。
「、なに…!」
シャツのボタンをプチプチとはずす仁王の手を掴んで私はそれを制した。
「Aはさっき何て言ったんだったかのう。…なんでもする?」
「あの場合はでしょ!?」
「もう遅い。」
仁王を睨みつけると、仁王は私にもう一度キスをした。
「顔真っ赤じゃ。」
「う、うるさいなっ!」
「他に言うことは?」
「仁王なんか嫌い!」
「そりゃ残念じゃ。」
仁王はサラッと私の言葉を流すと乱暴に私のシャツを脱がせた。
(なにそれ。なによ、その言い方は!)
私は必死に抵抗したが、仁王はそんな抵抗をものともせず私の制服を脱がしていった。
「いっ…!」
仁王は私の首筋に唇をよせ、強く吸い上げた。
白い肌に赤く、恋情を表す印がつく。
「あ、…っそんなところにつけたら見える…!」
「すまんのう。まぁそう怒りなさんな。Aがあまりに可愛い反応するもんじゃけぇ。」
「はあ!?」
この三年間、傍で一緒に悪巧みを考えてきて、仁王はそんな甘い台詞なんか今まで一度も言わなかった。
それが今日はどうだろう。
一芝居うって私を押し倒して、なんでそんなに嬉しそうなの。
なんで急にそんな風に変わるの。
(ぜっったいおかしい!)
私は眉間に皺をよせた。
「どうしちゃったの仁王。あ、もしかしてさっきの本棚で頭ぶつけたんじゃ…。」
仁王は突然表情を変えた。
いつものへらへらと人を馬鹿にするような笑顔を消して、私の両手を掴むとぐっと床に強く縫いつけた。
「…っつ!」
「今のはちと口が過ぎるぜよ。」
マズい。
私は自分のこの性格を悔やんだ。
自分がどういう状況にいるのか、まだよく理解できていなかったのだ。
(煽ってどうすんのよ!私のばか!)
私がとっさに謝ろうと口を開けた瞬間、唇を塞がれてその隙間から舌が入りこんできた。
乱暴に咥内を蹂躙する舌に、息も吸わせてもらえない。
「ン……!」
仁王はその間に片手で胸を揉み、もう片方の手を足の間に伸ばすと下着の上から割れ目をなぞった。
「ん、あ…!あ、ぁっ!」
じわじわと湿り気を帯びてくる下着。
仁王が胸の飾りをくにくにと転がし、割れ目の上の方にある突起を下着の上から爪で刺激した。
「や…あ、ぁ…っあ…」
「感じとるんか?」
「…っやめてよ!」
「嫌じゃ。」
仁王は私の下着を取ると、愛液が溢れるそこへ指を二本挿入した。
ズクズクと内壁を擦る指。
仁王は親指で上にある突起も刺激した。
「あ…っ、ん、んんっ!」
「声、自分から出すのと強引に出させられるのと、Aはどっちがいい?」
「どっち、も…いや…!」
「我が儘じゃのう。」
仁王は中に入れた指を抜き差しし始めた。
上の壁を押し上げるような愛撫にびくびくと身体が刺激を受ける。
「っうぅ、っ、あっぁ!」
仁王は私の足の間に顔を埋めると、抜き差しする指はそのままで茂みの上にある敏感な突起をキュウッと吸い上げた。
「やっあっあぁぁあっ!」
私は耐えきれずに声をあげた。
仁王は突起を舐めたり吸ったりして、そのたびに私は腰を浮かせて逃れようとした。
中で暴れる仁王の指が三本に増やされぐりっと奥を刺激した。
仁王が突起を甘噛みすると、私は身体をビクッとそらせてイッた。
「ふっあぁんっ!!」
仁王は口の周りについた唾液と混ざった愛液をぺろりと舌で舐めた。
「声、我慢するんじゃなかったんか?」
「はぁ…っこのサド!大嫌い…!」
「その言葉後悔するぜよ?」
仁王は自分もシャツを脱ぐとベルトを外し固く限界まで反り返ったそれを取り出した。
「や、やめて…!」
「往生際が悪いのう。」
「あぁっあ!」
仁王は愛液が溢れるそこへずぶりと突き刺した。
奥を突き上げるような律動を繰り返す。
ぬぷっぬぷっと内壁とそれが擦れる感触にぞくぞくぞくっと鳥肌がたって涙が溢れた。
「んっあ、あぁっ!あぁぁっ!あ…っ!」
「A…っ。」
「やっあぁっあっだめっイ、くっ!」
身体をそらした瞬間、仁王が律動を止めた。
止められた刺激に引いていく快楽の絶頂。
中途半端に止められて、苦しさに涙が伝った。
「っ、は、…はぁ、ぁ…っ」
眉根を寄せて見上げると仁王は嫌な笑い方をすると、再び激しい律動を開始した。
がくんがくんと身体が揺れ、ぐちゃぐちゃに中をかき回される。
「ひ、あぁ、ぁあっああっ!」
先ほどイキそうになったからか私はすぐに押し上げられた。
「んんー…っ!」
しかしまたイキそうになったところで、仁王は愛撫を止めてしまった。
「に、お…っ!」
余裕のない私を見て仁王はくつくつと笑った。
結合部の周りを指でなぞると茂み上の突起を指で弾いた。
ビクッと反応した私を仁王は口元を歪めたまま見つめている。
睨むようなすがるような目線を仁王に向けると、仁王はまた抜き差しを始めた。
「やっ、う、あぁ…ぁ、ん…あ!!」
「A、イキたい?」
「っ、き、たい…あっあぁんっんっ!」
「そう言えば、Aは俺のこと嫌いやったのぉ。嫌いな男にイカされるのも、かわいそうじゃからな…。」
「あっあぁっ、っ、…!」
「ククッ…どうしたもんか…。」
私は力の入らない腕をあげて仁王の首に回した。
ぐっと仁王の顔が近くなる。
私はキッと睨みつけた。
「…A、」
「好き、よ…。な、んで…、気づかないのよ…!…ん!!」
「っ、よくできました…。」
仁王は満足げに私の唇を一舐めすると、私の足を抱えてより激しく抜き差しした。
仁王のそれが奥に当たって内壁を突き上げる。
私は仁王の頭を引き寄せると必死にキスをした。
「んっあぁっ!!あっあ、あ、ぁっ、っ、あぁぁんっ!!」
ぎゅうっと仁王を抱き締めて、私はようやくいかせてもらえた。
ピンと足先にまで力が入り、ふるふると身体が震える。
仁王も私を抱き締め、奥に熱い欲望を放った。
「…はぁ、は、」
「大丈夫か?」
「ん…、」
「色っぽいのう。」
仁王は私の頬に頬をすりよせると、綺麗な笑顔を浮かべた。
「俺の女になってくれんか。」
「順番が…違うんですけど。」
「細かいことは気にしなさんな。」
仁王が優しく私の髪を撫でれば、なんだかすごくふわふわした気持ちになって自然と笑顔が溢れた。
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