抜いた指から愛液がつと糸を引いてすぐに床に垂れた。
私は愛液に濡れた手を綺麗に舐めてから、ネクタイを外してシャツを脱いだ。
早鐘のような動悸を落ち着けようと小さく息を吸って吐き、分けていた前髪を無造作にかきあげる。
Aさんの視線に気づいて微笑むと、ベルトを取ってからAさんの上にまた覆い被さった。


「そんなに見ないでください。さすがに照れます。」

「ご、ごめ…はぁ…だって、やっぱりかっこいいなって思…っ」


私はAさんの言葉を聞き終わらないうちに唇を重ねた。
舌を絡ませると拙い舌の動きでAさんも応えてくれた。
Aさんの舌を自分の口内に導きながら、Aさんの膝裏に手を入れて勢いよくずぶりとそれを侵入させた。


「ン…!あっあぁっ、んん…は、柳生っあぁっ!!」

「すみません。加減、できそうにありません…っ。」

「は、あ、あぁっひあ…!あぁ、ん…!あっあぁっ!」


我慢できずに抜き差しを速めた。
奥に叩きつけるような律動にAさんの身体が揺れる。
ぬぷぬぷと抜き差しが速められる結合部からAさんの愛液が垂れていやらしく光っていた。


「あっああっんぁ、あ、あっ…!」

「Aさん…っ!」


耳から身体全体を蝕んでいく甘い声に反応するように、私は勢いよく奥を抉った。
ずるずると愛液が溢れるそこからあつい熱を帯びていく。
突き刺すたびに弓なりになるAさんの身体を支えながら、もっと深く叩きつけた。


「あ、んっあぁあっ!やぎゅっ…んっ、うっ・・・っ!!」

「は…っ!」


Aさんは切なげな声を漏らすとぐっと身体をそらせていった。
きゅうっと膣が私のものを締めつけ私も達した。
避妊具をしていないことを思い出し、慌てて抜くとAさんのお腹の上に吐精した。
どさりとAさんの上に乗り、抱き合いながら二人で荒い呼吸を繰り返していた。


「はあ…は…っ柳生…はぁ…。」

「…なん、ですか?」

「好き…っ。」


Aさんの瞳から急に涙が溢れて、静かに床に流れ落ちた。
私は放り投げていた眼鏡をつけると改めてAさんを見た。


「Aさん…」

「大好き…。」


はらはらと涙が止まらないAさんの髪を優しくすいて、瞼の上に唇を落とした。


「私もです。」


私たちは目を合わせると同時に微笑んだ。
Aさんは涙声で照れたように笑った。

私が恋に落ちた時も、あなたはそうやって笑っていましたね。

あの時と違うのは、あの時以上に満たされたこの幸福感。
私は幸せをかみ締めるように、Aさんをぎゅっと抱き締めた。





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