「柳生。」
「すみません。遅くなってしまって。」
放課後、私がいつものように図書室に行くと、Aさんは何冊もの本を抱えて図書室の奥にある書庫から出てきた。
「…柳生、無理しなくていいんだよ?書庫整理は図書委員の仕事だし、柳生は部活が…。」
「今日は部活は休みなんです。仁王くんが倒れたとかでとてもじゃありませんが、部活ができる状態ではありません。」
「倒れた、て、柳生行かなくていいの?」
「…いいんです。私の見舞いはいらないと言われてしまいましたから。」
私が気まずそうにそう言うと、Aさんは笑った。
「喧嘩した?」
「そんなところです。」
私はAさんの腕から重たそうな本の束を取った。
「ごめん。それはそこに置いといて。今日は書庫内のジャンルの仕分けだから。」
「はい。」
私は指定された場所へ本を置くと、Aさんの後を追って書庫へと入っていった。
書庫の中は薄暗かったが、想像したよりは埃っぽくなかった。
私たちは本の仕分けを黙々とこなしていった。
1時間ほど経ったところでAさんを見ると、沢山の本に埋もれるようにして一冊の本を読みふけっていた。
私は苦笑して、Aさんに声をかけた。
「ご、ごめん!つい…!」
「いえ。気にしないでください。」
私はAさんに少し休憩を取るよう促して、書庫を出るため扉を開けようとした。
「おや…おかしいですね。」
「え?」
「開きません。」
「ええっ!?」
Aさんはガチャガチャとドアノブを回したけれど扉は開かなかった。
「見回りの先生に閉められてしまったのでしょうか。」
「私たち静かだったしね…。」
「Aさん鍵をお持ちではないですか?」
「カウンターの上…。」
私たちは顔を見合わせた。
「しかたありません。人が来るのを待ちましょう。」
私がそう言うと、Aさんは頷いた。
Aさんは作業の場所に戻り膝に本を乗せたところで突然くすりと笑った。
「どうかなさいましたか?」
「こういう時仁王くんなら助けに来てくれそうだなって思って。」
「え…?」
「柳生の危機を察知してくれそう!」
Aさんはふふ…と笑った。
そういう意味か、と少しほっとしてしまったが幾分複雑だった。
「そういえば、柳生ってところてんが好きなんでしょ?」
「そうですが、それをどこで…。」
「この前、仁王くんが図書室に来てたから話してたの。」
「仁王くんが?」
どくんと心臓が鳴った。
仁王くんが?どうして?
仁王くんが図書室に来るなんてあまり考えられないことだ。
「仁王くんって今まであんまり話したことなかったけど、面白い人だね。」
動揺する心を隠して平静を保とうとするが上手く笑えない。
「それにみんながかっこいいって騒ぐのもわかる気がする。なんていうか、目線の流し方とかすごく惹かれちゃう感じで。あ、でも私は―――…」
バサッと本が数冊Aさんの膝の上から落ちた。
私はAさんを引っ張って床に倒し、片手をAさんの顔の横についてもう片方でAさんの顎を掴んだ。
「や…ぎゅ…」
「そんな可愛い顔をして他の男性の話をするあなたなんて見たくありません。」
「な…」
眼鏡を外してAさんに顔を近づけると、Aさんは言葉を飲んだ。
「Aさん…私は…」
私は微かに震えるAさんの頬に愛おしそうに手を寄せた。
女性を困らせるなんて最低な男ですね。
それでも。
それでもAさんを他の男に取られてしまうくらいなら、いくら嫉妬にまみれた醜い人間になろうと私はそれをいとわない。
紳士である前に、私はあなたを。
「あなたを愛しています。」
耳元で切なく呟くと、Aさんはカアッと赤くなった。
「や、柳生…っ!」
そのままゆっくり唇を重ねると、唇の柔らかさに理性がぷっつり切れてしまいそうになる。
するするとわき腹から腰にかけてなぞれば、小さく声をあげて身じろぐAさんに愛おしさを感じてさらに深い口づけを求めた。
手際よくシャツのボタンを外して胸に触れるとAさんは微かに手を動かしたが、力は込めずに私のシャツを握った。
唇を離すと、Aさんは僅かに息が上がっていた。
私のシャツを握るAさんの手に私は自分の手を重ねた。
「抵抗しないのですか?」
「は…。」
「勘違いしてしまいますよ。」
Aさん、と呟けばシャツを握る彼女の手に優しく力が入った。
Aさんの手を通して伝わる熱が上がった気がして、私はフッとほころんだように笑った。
「どうなっても知りませんよ。」
「んっ、ふ…、」
やわやわと胸を揉み、突起をきゅっと摘んだ。
手の甲を口に押しつけ声を抑えているAさんの手を取って同じところにキスを落としながらAさんを見る。
上気した頬と潤んだ瞳が私の目を捕らえた。
急かすようにAさんの制服や下着を全て取り払い、二度目の口づけをより甘く交わした。
「ん…あ…ぅ、ん!」
茂みに手を伸ばすとそこは想像したよりも濡れていた。
指を少し動かすだけでAさんは敏感に反応する。
それが嬉しくて、胸の突起に舌を這わせながら蜜が溢れるその場所をゆるゆると撫でAさんの反応をうかがった。
「あ、ぁあ…!っん・・・!」
指を中にズブズブと埋めると、ぴくんとAさんが反応した。
温かく柔らかい中はぬるぬると愛液で溢れていて、ぐっと指を曲げるとAさんはビクッと身体をそらせた。
さらに奥に進み、指に力を入れて内壁を押し上げるように愛撫を繰り返す。
「う、あ、あぁっあっ!っやぎゅ…あっ。」
指を中で動かすと、Aさんは私の胸を押し返そうとした。
あまり力が入らない状況なのに、本能的に身体が反応してだろうと思うとそれすら愛おしく。
その手を取って指を舐めるとAさんはびっくりして閉じていた目を開いたが、指の動きを早めると再びぎゅっと閉じた。
「んん…!はぁっあ、あ…ぁ…っ!」
ぬるりと指を舐めると微かに甘い気がする。
手を離して、さっきからびくびくと力が入るたびに浮き出る鎖骨に舌を這わせた。
内壁を舐めていた指がある一点を刺激するとAさんはビクッと震えた。
「あっあぁっ!やっ、あぁっん…!」
「ここがいいみたいですね。」
私は指を増やすとそのいい所ばかりを攻めた。
ぐちゅぐちゅという音に合わせるようにAさんがびくびくと身体を震わせて、きゅうと締まる膣内から蜜がとろとろと溢れ出した。
「やっんっやあぁぁっ!…っあ!はぁっは…」
がくんと身体に力が抜けてAさんがイッたことを確認すると、私はずるりと指を抜いた。
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