幸村のオーラは周りを威圧する。


幸村を避けまくって3日。
未だに感触が消えない…と考えて私は鳥肌がたった。
嫌だ!こんな少女漫画みたいなのは!と叫んで、友達には生暖かい目で励まされた。
私が禿げるほど悩んでいる相手が幸村だと知ったら、多分色んな意味でドン引きするはずだ。

いっそ首を吊るしかない。
全てを無に還すのだ。
お父さん、お母さん、こんな娘でごめんなさい。生まれてきて幸せでした。私がいなくなっても元気に生きてください。さようなら。


「顔色悪いぜ。気分でも悪いのか?」

「………ジャッカル…。」


彼は褐色の癒し系ジャッカル桑原くんだ。
無理はするなよ!と笑うジャッカルに涙が滲む。
幸村と同じテニスプレイヤーとは思えない。
何を隠そう幸村のおかげでテニスプレイヤーにはろくな奴がいないという偏見があったので、ジャッカルと話すようになってから私は少しだけテニスに優しくなった。


「それよりどうしたの?うちのクラスに何か用?幸村?」

「いや、ノートを借りたくてな。できれば幸村じゃなくてお前から借りれると…その、色々と有り難いんだが…。」


このクラスは他のクラスより授業が進んでいる。
なんでも幸村と真田くんと柳くんの間で勝負しているらしい。
大変に迷惑な話であるが、誰も幸村に直談判できない。
幸村が威圧をかけるもんだから、先生も進めるし、みんなも予習復習をする暗黙のルールができた。
もちろん、私はやっていないので、ノートは取っているものの授業は右から左に抜けていく。
幸村は意気揚々と私を鼻で笑っていた。

苦笑いしながら少し照れているようなジャッカルに癒やされて、私は快くノートを差し出した。


「助かったぜ。ありが…いや、その…やっぱりやめとく。」

「え?なんで?」


ジャッカルは謝りながら大急ぎで教室を出ていった。
離れた席からシャーペンを折ったような音が聞こえた。




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