長編U
- ナノ -

円 -07-



 執務室から飛び出し、最下層にある地下監獄まで駆け降りたテマリとカンクロウは、そこに拘束されている我愛羅を見て息を呑んだ。

「――我愛羅が、」
「寝てる……?」

 我愛羅の事だ。自分たちが来れば驚くに違いない。だから看守たちを殴り飛ばしながらもどう説得するかを考えていたのだが、当の本人は瞼を閉じ、身じろぎ一つしなかった。

「お、おい、嘘だろ?」
「おい我愛羅! 起きてんだろ?! 返事ぐらいしろよ!」

 音を立てて檻を叩くカンクロウだが、相変わらず我愛羅からの反応はなく、二人して顔から血の気が引いていく。
 このままでは守鶴が目覚めてしまう――。
 例え我愛羅のことを恐れなくなったとしても、守鶴は別だ。アイツは化物だ。我愛羅とは違う。本物の“化物”なのだ。人の手でどうこう出来る相手ではない。
 完全に肝が冷えた二人ではあったが、可笑しなことに守鶴が現れる様子はない。

「ど、どうするんだ? テマリ」
「どうするって……。ああ、もう! 迷ってる暇はない! さっさと我愛羅をここから出すよ!」

 不安げに尋ねてくるカンクロウに慌てて頭を振り、強気に返答したテマリが奪い取った鍵を持って近付く。しかしその手はブルブルと恐怖と緊張で震え、鍵穴に上手く差し込めずにいた。

「な、なあ」
「何だい、今集中してる所なんだよ!」
「も、もしもだけどよぉ、ここで、その、守鶴の野郎が出てきたら……。俺たち、どうなると思う?」
「な……! バカなこと言うんじゃないよ! というか、縁起でもないこと言うな!」
「ちょ、おい! バカ! デカい声出すなよ! 守鶴が起きたらどうするじゃん!」

 テマリの口を慌てて塞ぐカンクロウに、テマリは「うーっ」と唸りつつも視線を鍵穴に戻す。だがある程度叫んだことで落ち着いたのか、震えが治まった手でゆっくりと鍵を奥まで差し込む。

「ほ、本当に開けんのか?」

 守鶴が恐ろしいのだろう。緊張で強張る弟の顔を見ながら、テマリは渇いた喉を潤すように唾を飲み込み――頷いた。

「せーの、で行くよ」
「せ、せーの、だな? それより早く開けんなよ?」
「ああもう、煩い奴だね! いくぞ! せーのっ!」

 ――ガチャン。と音を立てて鍵が回り、重厚な檻がゆっくりと開いていく。
 途端に敷き詰められていた砂が崩れ、隙間から一気に雪崩込んでくる。逃げ場がない狭苦しい監獄にとってそれは津波のような勢いで襲い掛かり、二人の体は出てきた我愛羅の体と共に押し流された。

「うわあああ!!」
「我愛羅! カンクロウ!」

 テマリは必死に流れてきた我愛羅の体を抱きとめ、もがくカンクロウの手首をどうにか掴んで砂の海に体を沈める。

「…………ぶはっ!」
「ぐぇっ、げほっげほげほげほっ! 服どころか口の中にまで砂が入ったじゃん……、うえっ」

 涙目のカンクロウを余所に、テマリは抱きとめた我愛羅の顔を覗く。砂に押し出されたというのに我愛羅は未だ起きる気配がない。
 どうしたものかと視線を合わせる二人であったが、これ以上此処にいてもしょうがない。とにかく国に急ごうと、手枷を外した我愛羅をカンクロウが背負う。

「今我愛羅がどうなってるかはよく分かんねえけど、」
「このクーデターが上手くいけばサクラは木の葉に帰れる。その願いだけでも叶えてやらなくちゃな」

 二人は頷き合うと、再び倒れる看守の間を駆け抜け地上に出る。しかし道中国に向かって駆けて行く忍達を見つけ、二人は別のルートを駆け出す。

「“我愛羅が目覚めなかったらどうしよう”とは聞かないんだな」
「もう此処まで来たら腹括るじゃん……」

 本当は二人の心には底知れない不安が渦巻いている。だがそれに負けてしまえば今までの自分たちと何も変わらない。
 折角木の葉にまで赴いたのだ。我愛羅が決めたように、自分たちも進むべき道は自分の力で進まねばならない。
 そう決意した二人はひたすら駆け慣れた渇いた大地を踏しめ、走り続けた。


 ◇ ◇ ◇


 サクラが大名の治療を始めて二日目。既に目覚めていた木の葉丸たちはサクラと女医を手助けするように走り回っていた。

「サクラ姉ちゃん、水確保してきたぞ! コレ!」
「タオルも乾いてました!」
「この絵と薬草、一緒だと思うんだけど……」
「皆、ありがとう」

 集まってきた子供たちからそれぞれ物を受け取り、サクラは幾分か顔色のよくなった大名を見下ろす。

「まともな食事はまだ無理だけど、水に少し薬を混ぜてみましょう」
「はい。サクラさん、本当にありがとうございます」

 礼を述べる女医に対し、サクラはゆるく首を振る。

「私がしたことは大したことじゃありません。凄いのはこの患者さんです。生きようとする力が強いから、ここまで回復出来たんです」
「……このお方は、私たちの希望ですから」

 女医の言葉は優しく、柔らかい。育ちの良さが窺える彼女にサクラは思わず自身と比べてしまい、慌てて頭を振って邪念を振り払った。

(ダメダメ、何比べてんのよ。彼女は彼女、私は私よ。そりゃあ確かに彼女は忍じゃないからタコなんて出来てないし、言葉遣いも柔らかいけど……。女の魅力はそれぞれよ。うん!)

 自己完結しつつ調薬するサクラの後ろで、大名の様子を見ていた木の葉丸が突然「あっ!」と声を上げる。

「医者のねーちゃんの首飾り、すげえ綺麗だぞ、コレ!」
「え? あ、本当だ! お星さまをいっぱい詰め込んだみたい! すっごい綺麗!」
「わ〜……。すごい。小さい星空だね」
「星空……?」

 聞こえてきた単語に思わず振り返れば、サクラの目に丸い形をしたラピスラズリの首飾りが飛び込んでくる。
 それは我愛羅に渡された物とよく似ているが、女医の持つ方が少しばかり色が淡かった。

「フフ。これはね、“ラピスラズリ”っていう名前の宝石なの。とっても力の強い石なのよ」
「力が強い石? 宝石って、ただの綺麗な石じゃないのか? コレ」
「えーと、おまじない……とか、ですか?」

 首を傾ける木の葉丸とモエギに、彼女は「ええ」と優しく頷く。

「この石には沢山の意味があるの。でもその多くは『持ち主に幸運を運んでくれる』というものなのよ」
「へぇ〜! 素敵ですね!」

 やはり女の子だからだろう。目を輝かせるモエギに対し、木の葉丸は「ふーん」と返すだけだった。

「綺麗だけど、本当に石にそんな力あるのか? コレ」
「きっとあるわ。私はそう信じてるの」

 美しいラピスラズリの首飾り。サクラは薬を混ぜた水を手に持つと、女医たちに近付いて行く。

「持ち主に幸運を運んでくるって言いますけど、こんな状況で『幸せ』って、見つけられますか?」

 意地の悪い質問だとは思う。
 事実そんなサクラが珍しいのだろう。子供たちから驚いたような視線が向けられるが、サクラは患者に薬を与えることでその視線から逃れる。
 だがそんなサクラに彼女は怒ることなく、そっと石に触れながら呟くように言葉を重ねていく。

「そう、ですね。戦争が続いている今、何を『幸福』と呼ぶか……。とても難しい問題だと思います」

 サクラの問いに女医は真剣に悩みだす。意地悪をしたかったわけではないが、そう真剣に悩まれても困る。すぐさま謝罪し、なかったことにしようとしたが、女医はすぐさま強い意志が宿った眼差しをサクラへ向けた。

「ラピスラズリは決して目に見えて分かる幸福を運んでくるわけではありません。時には試練を呼びます。でもそれは、持ち主にとって超えるべき事柄なのです」
「超えるべき、事柄」
「はい。この宝石をくれた父は私に言いました。『この石は幸運のお守り石。いつかお前に本当の愛と幸福を呼び込むものだから、肌身離さず持っているんだよ』と」

 ――本当の愛と幸福。そのために乗り越えるべき試練を、この石は呼び込むのだと彼女は答える。

「ラピスラズリは決して身代わりの石などではありません。持ち主と共に生き、共に育つ神聖な石なのです。例え今が苦しくとも、それを乗り越えた先にあるものが“幸福”なのだと、私は思います」

 心美しい時であれば石は澄み渡り、美しく輝く。だが心が深く濁っていれば石もまた濁り、力を失っていく。

「ですがラピスラズリは他の石と違い、衰えることはありません。いつまでも気高く美しくあるのです。持ち主の心が汚れぬように」

 こんな時世でありながら、何故彼女がここまで凛とし美しくあれたのか。その理由が何となく分かった気がする。
 サクラは無意識にポケットに手を入れ、彼女の持つ宝石と対のような形をしたラピスラズリを取り出した。

「あら。それは……」
「え?! サクラ姉ちゃんも同じ物持ってたのか?! コレ!」
「わぁ〜! サクラさんのも綺麗〜!」
「でも、首飾りじゃないんだね」

 我愛羅にこの宝石を貰ったことを話すかどうか悩んでいると、女医が「拝見してもよろしいですか?」と問いかけてくる。
 その瞳はどこか困惑もしているが、何かを確信しているようなものでもある。迷ったのは一瞬だ。すぐに頷いて宝石を渡す。

「……サクラさん、この宝石を一体どこで?」

 その問いに一瞬口籠る。木の葉丸たちがいる前で話していいものかどうか分からなかったのだ。
 何せあの日の我愛羅は血の匂いをさせていた。子供達の前で我愛羅が人を殺してきた話などしていいのか。
 迷った挙句、苦肉の策として木の葉丸たちに「ちょっとお使い言ってきて」と頼むことにする。

「ええー?! 今帰ってきたばっかりだぞ、コレ!」
「そうですよ! 私たちもお話聞きたいです〜!」
「除け者なんてひどいですよ〜!」
「ごめんね! お願いだからカブトさん呼んできて! ね?」

 両手を合わせ懇願するサクラに、三人は文句を述べつつも素直に部屋を出ていく。そうして二人きりになってから、サクラは我愛羅が何らかの任務に赴き、その石を持って帰ってきたことを端的に告げた。

「そうですか……。では妹の言っていた“忍さん”は、きっとその人の事だったんですね」
「妹? 忍さん?」

 要領の得ない、独り言のような呟きに思わず眉根を寄せる。そんなサクラに、彼女は立ち並ぶ書籍の中から一つのアルバムを取り出した。

「数ヶ月前、何者かによって殺された妹から届いていた手紙です。亡くなったという報せを受け取る三日前に届いたものです」

 どうぞ。と渡されはしたが、本当に読んでもいいものなのか。迷ったものの、結局は差し出されたソレに目を通した。
 そこには彼女の妹だという女性の少しばかり歪んだ文字が、必死に日記のような内容を綴っていた。

『〇月×日。今日も無口な忍さんとお喋りをしました。彼の手には大きな火傷があって、それはそれは痛そうで、お薬をぬってあげました』
『〇月△日。今日はお姉ちゃんに手紙を出すために忍さんに郵便局までついて来てもらいました。忍さんはとっても無口で笑わない人だけど、私の話をいつも聞いてくれる優しい人です』

 他にも彼女が綴る“忍さん”との交流はどこかあたたかく、優しさに溢れている。それだけでどれほど彼女が“忍さん”を大切に思っていたか、親しみを覚えていたかが分かる。
 同時に、そんな彼女を殺めなければならなかった我愛羅を思うと酷く胸が痛む。

「妹は、たった数日間でしたけど、“忍さん”に会えて幸せだったのだと思います」

 彼女の手紙の中に“忍さん”に宝石を渡したと綴られている。そしてその翌日の日記は、こうだった。

『〇月■日。昨日は忍さんにお父様から貰ったペンダントをあげました。忍さんは渋っていたけれど、受け取ってくれました。忍さんはとても辛く、寂しい世界に住んでいます。だからその気持ちが少しでも軽くなるように、忍さんの未来が明るいものになるように、おまじないをかけました。どうか忍さんに幸福な毎日が訪れますように』

 ――持ち主の純粋な気持ちが込められた宝石にサクラは何を願ったか。
 我愛羅の幸福などではない。サクラは自身の願いを、我愛羅を裏切ってでも里に帰りたいと願った。
 痛む心に耐えられず、遂にサクラは手紙に顔を伏せてしまう。

「……ごめんなさい」

 自分は何と身勝手な女のだろう。伏せるサクラに、彼女はそっと手を伸ばした。

「あなたが謝ることは何もありません。妹は“忍さん”に出逢い、病に侵されながらも小さな幸福を見つけました。誰かと話すこと。誰かと一緒に食事を摂ること。誰かと一緒に出掛けること。妹は、そんな些細な毎日が幸せなのだと、それこそが“本当の幸せ”なのではないかと、私に教えてくれました」

 サクラは不治の病に侵されたことなどない。毎日“今日は死ぬかもしれない”“今日はダメかもしれない”そんな思いを抱えながら床に臥せたことはない。
 自分より幼いであろうこの手紙の主は――心も体も辛かっただろうに――自らの力で“幸福”を見つけ出したのだ。

「妹さんは、本当にお強い方なんですね」
「ええ。自慢の妹です」

 サクラは手紙の主のような女にはなれない。自分は忍だ。清らかな少女のままではいられない。だがそれでも――彼女のように、心から誰かの幸せを願えるような女になりたいと思った。

「この宝石を“忍さん”が持たなかったのは、きっと本当に持つべき相手があなたなのだと宝石に教えられたのでしょう」
「それは……どういう意味、ですか?」

 我愛羅の幸福を願っているならばこの石は我愛羅と共にあらねばならないはずだ。それなのに何故自分が持つべきなのかと問いかければ、彼女は悪戯っ子のように頬を緩め、サクラの手を握る。

「だって宝石の持ち主――“忍さん”にとって“幸福の女神”は、きっとあなただから」
「え?」
「だからあなたをお守りするようにと、この宝石を渡されたんだわ」

 そう言って微笑む彼女の言葉にサクラは赤面し、固まる。
 サクラは別段我愛羅のことを“そういう意味”で意識したことはなかった。だが実際、ここ最近の自分を振り返るとサスケに恋をしていた事を忘れるぐらい、我愛羅の事しか考えていなかったことに気付く。
 途端に顔どころか耳や首まで赤く染めていくサクラに彼女は可笑しそうに笑ったが、すぐさまその空気は打ち消された。

「サクラさん! 大変です!」
「ひゃい?!」

 咄嗟のことで舌を噛んでしまったが、珍しく焦燥の色を浮かべたカブトの表情を見て自然と背筋が伸びた。

「予定より早く反乱が始まったんですが、どうやら戦況は思わしくないようで……」
「何ですって?」

 驚くサクラの耳に届いた報せ。それは反乱軍が苦戦しているという悪報だった。

「僕は此処を守るよう命令されています。すぐに部下を中心地に送りますが、サクラさんたちは此処に残って――」

 大人しくしてください。と続けようとしたカブトではあったが、それはサクラによって阻まれた。

「連れて行ってください」
「え?」

 キョトンとするカブトにサクラはもう一度、一言一句、聞き逃されないようハッキリとした声で「連れて行ってください」と繰り返す。

「だ、だけど君には患者の世話が、」
「あら、カブトさん。私も立派な医者ですよ。サクラさんから治療法は教わりました。私では役不足ですか?」

 女医による後方からの援護射撃に、カブトの頬が思わず引きつる。加えて足元では木の葉丸たちが「今度こそは活躍するぞー!」と意気揚々と腕を回しており、思わず「これだから木の葉は……」と項垂れる。

「えー……、木の葉丸くん?」
「ん? どうしたんだぞ、コレ?」

 カブトに呼ばれ、顔を上げた木の葉丸にカブトは指を立てる。

「君たちはお留守番です」
「ええーーーーっ?! 何でだ?! 俺たちだって役に立つぞ、コレ!」
「ダメです! 君たちはまだ子供なんですから、ココで大人しく待っていてください」
「俺たちは子供じゃないぞ、コレ! 忍だぞ、コレ!」
「忍は忍でもまだ卵でしょう! とにかくダメったらダメです!」

 まるでエビスがもう一人いるようだ。丸眼鏡も似てるしなぁ、なんてことを考えていたサクラではあったが、これ以上時間をロスするわけにはいかない。咆える木の葉丸の口元に手を当て、少し痩せた頬を掴んで自身の方へと向けさせる。

「お願い、木の葉丸。これ以上誰も傷つくところなんて見たくないの」
「だから俺が活躍して――!」
「うん。だから、此処にいる人たちを守って」
「――えっ?」

 サクラの願いに、木の葉丸の丸い瞳が更に丸くなる。だがサクラの背後には寝たきりなままの大名と、忍ではない一般市民である女医がいる。
 そして他にも、この地には非力な子供や老人たちが多く残っている。

「もし此処まで戦火が飛んできたら、この地で戦える人はあなたたち以外にいなくなるの」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
「もう戦争なんて関係ないわ。此処にいる人たちは私たちの大切な仲間よ。だから、お願い。木の葉丸にしか託せないの」

 いつもは気丈なサクラが自分を頼っている。それがどれほどの事か――。
 感覚的に理解した木の葉丸は、サクラと女医、それからベッドの上の大名とカブトを見てから頷いた。

「分かったぞ、コレ! 絶対に此処を、医者のねーちゃんや店のじーちゃんやばーちゃんたちも守ってみせるぞ、コレ!」
「私たちも頑張ります!」
「僕も! 木の葉丸くんみたいに守るよ!」

 先程以上にやる気を見せる子供たちに目を細めると、もう一度「お願いね」と告げてから立ち上がる。そして此処に残り大名を診ると告げた女医へと視線を移し、「後はお願いします」と頭を下げる。

「行ってらっしゃい、サクラさん」
「はい。行ってきます」

 医療忍者として、砂隠の忍として、“元”木の葉の忍として――。サクラは解けかかっていた額当てを強く結び直す。

「行きましょう! カブトさん」

 やる気に溢れたサクラに『此処に留まれ』と言ったところで聞かないだろう。むしろ単身で駆けつけてくる可能性すらある。
 そう判断したカブトは後で大蛇丸に説教を喰らう覚悟を決め、ため息交じり「分かりました」と頷いた。

「出来る限りあなたのことは守りますよ」
「ありがとうございます」

 軽く言葉を交わしつつも二人はクーデターが起きている中心地に向かって走り出す。
 もしそこに我愛羅がいるのだとしたら――。いや。例えいなくても自分に出来ることは全うすべきだ。サクラは改めて確固たる決意を胸にし、先導するカブトに続いた。