覚悟 -03-
「つけられてるわね」
「つけられてますね」
風の国の大名や軍人たちとの会議を終えた大蛇丸と薬師カブトは、互いに目を合わせ、それから僅かに後方へと視線をずらす。
「どちらの忍かしらね?」
「僕的には砂だと思いますよ。木の葉だとここまで来るのに時間がかかりますし、砂隠が行く手を阻むでしょうからね」
「そうね。私もそう思うわ」
会議を終えた大蛇丸は再び自来也と顔を合わせる約束をしていた。火の国と木の葉の現状を把握するためである。風の国の現状は芳しくない。それに風の噂で木の葉に砂隠が奇襲をかけたという話も聞いた。それについての話し合いもある。あまり時間をかけるわけにはいかない。
「今は騒ぐわけにはいかないわ。私は自来也の方にも顔を出さなくちゃいけないから。カブト、あなた適当に撒いてくれる?」
「分かりました。ではまた後ほど」
目礼するカブトに口の端を上げ、二人は別れて駆けだす。
(私についてきたのは一人……。上手く気配を消しているわね。誰かしら)
大蛇丸相手に尾行などそう易々と出来るものではない。当然やろうと思えば相手を罠に嵌めて逆手に取ることも出来るが、戦争が終結してない今、砂隠の忍に手傷を負わせるのは得策ではない。
(一尾の子かしら)
市街地を駆け回る大蛇丸を見失わずについて来られる技量と、現状砂隠でまともに任務につけるであろう人物を思い浮かべては検討する。
手駒の少ない砂隠がそうホイホイと上忍を寄越してくるとは思えない。例え上忍を加えたとしても一人だろう。だが現在怪我人の多い砂隠に任務に参加出来るような上忍は少なかった。
「ま、この辺かしらね」
崩れたベンチが打ち捨てられた、元は公園だった場所で大蛇丸は足を止める。周囲に人はいなかった。
「追いかけごっこはそろそろお終いにしましょう。出てきなさい」
大蛇丸の声に相手の反応はない。だが気にすることなく話を続ける。
「誰だか知らないけど、無駄なことよ。私を殺したところで戦争は終わらないわ」
己を追う人物に話しかける大蛇丸は、口を動かしつつも相手が何処にいるのかを探っていた。
(暴れる気は無いみたいね。機を窺っているのかしら)
草陰一つ動かない、無垢な大地に乾いた砂が舞う。大蛇丸も我愛羅も、互いにその場から動かなかった。
(……隙がない)
大蛇丸を追っていた我愛羅は命令に従い捕える機会を窺っていた。
だが一見棒立ちに見える大蛇丸に隙を見つけることが出来ず、身を隠した建物の陰から大蛇丸を観察するしか出来ずにいる。
大蛇丸の方も未だに我愛羅の居場所を特定出来ているようには見えなかったが、何をしてくるか分からない妙な不気味さがある。
(今の俺では敵う相手ではない、か。だがこのまま何の情報も持って帰らないわけにもいかない)
我愛羅が“砂隠の忍”として里に存在するためには、少しでも役に立たねばならない。利用価値があるうちは命の保証がある。
例え戦場に出されたとしても、我愛羅にとって誰かに“必要とされる”ことは大事なことだった。
「そこにいたのね」
「?!」
背後から聞こえた声に慌てて飛び退けば、そこには様子を窺っていたはずの大蛇丸がしたり顔で立っていた。
「いつからそこに……」
分身の術か、と問えば、大蛇丸は「ご明察」と口の端を上げる。
「やっぱり一尾の子だったわね。我愛羅くん、だったかしら?」
「貴様に名を呼ばれる筋合いはない」
瓢箪の栓を外し、僅かな砂を取り出す我愛羅に大蛇丸は「ちょっと待ちなさい」と腕を掲げる。乾いた砂は未だに二人の足元を舞っていた。
「落ち着きなさい。ここで私とあなたが争っても何の得にもならないわ」
「…………」
砂さえあればある程度大蛇丸を抑えることは出来るだろう。だが殺さずに生け捕ることが出来るかどうかは、正直難しい。
簡単に捕えることが出来るほど大蛇丸から隙は窺えなかった。
「私が火の国のスパイかどうか知りたいんでしょう?」
「…………」
優しい声音で問いかけてくる大蛇丸に、我愛羅は口を噤む。
無闇に言葉を交わすのは得策ではない。だがいつまでも黙っているわけにもいかない。責務を全うしなければ任務を与えてくれた父親に顔向け出来なかった。
「火の国の情報は確かに持ってるわ。木の葉のもね」
「ではやはり、」
眉間に皺を寄せ、腕を掲げる我愛羅に大蛇丸は「まぁ待ちなさいよ」と手を上げる。
「交換条件といきましょう」
「交換条件、だと?」
益々眉間に深い皺を刻む我愛羅に、大蛇丸は「ええ」と頷く。そのどこか楽しげな表情に、我愛羅は何とも言えない薄気味悪さを感じていた。
◇ ◇ ◇
一方その頃。サクラは講習会を終え、その足で病院へと足を運べば「製薬に向かってくれ」と追い払われた。どうやら人手よりも薬の方が足りないらしい。
急いで製薬所がある施設へと足を運べば、案の定サソリがあちこちに指示を飛ばしていた。
「おっせーぞ、小娘!」
「すみません!」
準備を整え、駆けつけたサクラに激が飛ぶ。謝罪しつつも指示を煽げば、先日採ってきた薬草を使って薬を作れとのことだった。
「俺ぁ今から新しい毒薬配合しなきゃなんねえんだ。病院に送るのはお前に任せるぜ」
「分かりました」
幾ら現状に悩んでいたとしてもサクラは医療忍者としてここに身を置いている。進む道が定まっていない今、闇雲に暴れまわるほど短慮ではない。
例え敵方に味方する形であったとしても、それで機が窺えるならマシではないかと思うしかなかった。
(木の葉丸たち、乱暴なことされてないといいけど……)
捕えられた木の葉丸たちとの接触は禁じられていた。幾ら砂隠の忍として登録されたとしても、木の葉の忍との接触は好ましくない。至極当然な処置だと思いながらも内心では酷く落胆していた。
自分や里の皆を助けると、幼い子供たちが言ってのけたのだ。なのにサクラはこうして薬を作ることしか出来ないでいる。そしてどんなに真面目に働いてもサクラの立場は危うく、ちっぽけだ。それを改めて実感する。
「春野さん、それが出来上がりましたらこちらもよろしくお願いします」
「あ、はい。分かりました」
新しく提出された依頼書を受け取る。今は製薬に集中しなければ。
サクラはギュッと眉間に皺を寄せつつも、無心で手を動かし続けた。
◇ ◇ ◇
大蛇丸が我愛羅を連れてきたのは、何と自来也との会合場所であった。
「大蛇丸、お前さんのぉ……」
「あら、いけなかった? ちゃんと話をすれば分かる子だと思って連れてきたんだけど」
「…………」
大蛇丸は我愛羅に己が持っている情報と砂隠の情報を交換しないか、と提案した。我愛羅とてそんな言葉に素直に頷くほど阿呆でもなかったが、何の収穫もなしに帰るわけにもいかない。しかも「これから向かう場所に着いてくれば大方のことが分かる」と言われたのだ。罠の可能性は十分あったが、長考出来るほど時間は残されていない。
結局我愛羅は「いざとなったら片腕を落としてでも里に逃げ帰ればいい」と腹を決め、大蛇丸の提案を飲んだ。そして自来也が待つ場所まで共にやってきたのだった。
「貴様、やはり木の葉の――」
「我愛羅くん。言っておくけど私は“元”よ。今はどこの忍でもないわ」
「では何故我が国にいる」
以前使った茶屋ではなく、また別の茶屋の個室で膝を突き合わす三人の空気は硬かった。
「戦争を止めるためよ。私は自分の研究の為に旅をしているの。でもこんな風に長いこと争われては大事な研究材料も破壊されかねないわ」
「それで風の国に諜報活動として潜り込んでいるのか?」
「諜報活動というより大名や軍人たちの言い分を聞いて、どうにか事態を最小の被害で抑えられないか探っているのよ。自来也と一緒にね」
大蛇丸の話を一から十まで信じるのは危険な気もしたが、伝説の三忍として名を知られている自来也へと視線を向ければ強く頷いている。
どうやら嘘ではないようだと視線を流すと、今度は自来也が「それでのぉ」と困ったように口を開く。
「ワシも火の国に名を偽り顔を出しておるんだがのぉ、お前さんら、先日木の葉に奇襲をかけただろう?」
「ああ」
どうせ今頃木の葉では騒ぎになっているだろう。あれだけ暴れたのだ。特にサソリが。ならば隠すことではないと頷けば、自来也は「参ったのぉ〜」と頭を抱える。
「そのせいで上はカンカンでのぉ。どうにか丸め込むことが出来そうだった者たちも皆憤って、手が付けられなくなってしまった」
「それじゃあ話し合いでの解決は難しそうね。できれば争って欲しくはなかったのだけれど」
頭を抱える自来也と肩を落とす大蛇丸に、我愛羅は「だろうな」と短く返す。持ち帰った資料の詳細は知らないが、恐らく木の葉だけでなく火の国についての情報もあったはずだ。カンクロウもテマリもその辺り手を抜く忍ではない。
「それに、そちらに情報が届いているのかは知らんが、うちには木の葉の忍がいる」
「春野サクラのことか?」
後ろ手を付き問いかけてくる自来也に、我愛羅は「アイツはもううちの忍だ」と返してから話を続ける。
「三代目火影の孫だ」
「何ですって?!」
「木の葉丸を?!」
どうやら二人にはまだ情報が届いていなかったらしい。身を乗り出してくる二人に頷くことで答える。他里の忍に漏らすにしてはあまりにも大きな情報な気もしたが、我愛羅とて戦争は終わらせたかった。
これ以上、無闇に誰かの命を奪うのは嫌だった。
「捕虜をどうするのかまだ決めかねてはいるが、人質として使えるだろうと判断し、今は牢屋に入れている」
「成程。勝っても負けてもある程度の条件と交換できるように捕えているのね」
「かーっ! ますます面倒なことになったのぉ〜! よりにもよって木の葉丸とは……」
額を抑える自来也だが、すぐに「待てよ」と呟き顔を上げる。
「お前さん、木の葉丸が何故捕まったのか知っておるか?」
「いや……。詳しいことは知らんが、向こうから忍び込んできたらしい。気付いた忍が捕えて捕虜となったとしか聞いていない」
木の葉丸の無鉄砲さを知っている自来也は「やはりのぉ〜……」と再度頭を抱え、大蛇丸は「困った子ね」と肩を落とす。
だが二人とは違い、我愛羅は木の葉丸と顔を合わせたことがなかったため二人の反応に顔を顰めることしか出来ず、そのまま無言を貫いた。
「これじゃあ益々戦は避けられないわね」
「そうだのぉ。ある程度までは規模を抑えることは出来たとしても、これでは確実に戦は起きる。軍人共に関係なくとも、木の葉にとっては起爆剤として十分だからのぉ」
「そうねぇ……」
重い空気が漂う中、三人の元に店員が茶と菓子を運んでくる。自来也はちらりと娘の体に視線を這わせ口の端を緩めるが、大蛇丸と我愛羅は一切それを無視して茶を啜った。
「我愛羅くん。出来ればこのこと、あまり口外して欲しくはないのだけれど」
「戦争を大きくしないためにも手を貸してくれんかのぉ。口裏を合わせるだけでいい」
伝説の三忍の内二人に頭を下げられれば我愛羅とて言葉に窮する。幾ら他里の忍とはいえ、三忍の名や功績を知らぬほど馬鹿でもない。それに戦を止めるために二人が陰で動いているのだとすれば、それを公にするのはそれこそ得策ではないように思えた。
「……善処する」
困った末に出した答えに二人は張っていた気を緩め、とにかく今はこれ以上事が大きくならないよう対策することが先決だと話し出す。
「そのためにはまず木の葉丸くんたちね。我愛羅くん、あなた彼と接触できる?」
「それは難しい。捕虜は風影様及び、その他上忍たち以外立ち入り禁止の特別監獄にいる。忍び込めば接触できる可能性はあるが、成功する確率は低い」
「成程な。風影の息子とはいえ、そう簡単に接触はできんか」
腕を組む自来也を尻目に、大蛇丸は「そういえば」と啜っていた湯呑を置く。
「先に木の葉のくノ一が捕虜になっていたわね。その子はどうなの?」
「春野は既に砂隠の忍だ。だが元木の葉の忍だから捕虜との接触は禁じられている。見つかれば監獄行きだ」
「まぁそれが妥当だの。今は砂隠に身を置いているとはいえ、こんな時世だ。サクラを根っから信用はしておらんだろう」
自来也の発言に我愛羅の胸が僅かに痛むが、その理由が分からず眉間に皺を寄せる。
二人は益々ままならない現状に吐息を零すだけで我愛羅の様子には気付いておらず、我愛羅は思わず手にした湯呑を覗いた。
そこにはいつもと変わらない、けれどどこか疲れた顔をした自分が映っていた。
「だが木の葉丸を交換条件の人質として使うならば、風影とて危害を加えることはなかろう」
「あの無鉄砲な木の葉丸くんにはまだ大人しくしてもらなきゃ困るものね」
「そうだのぉ……。あやつも暴れ回らんといいがのぉ……」
眉間に皺を寄せ、天井を見上げる自来也に我愛羅は「それはないだろう」と答える。
「捕虜とはいえ監獄にはチャクラ封じの札や呪が張り巡らされている。子供がそう簡単に脱獄出来るほど柔ではない」
「そう。なら木の葉丸くんたちの身の安全は曲がりなりにも確保されている、というわけね」
「そうなるの。ミナトにはこちらから上手く伝えておこう。あやつも戦争を止めようとワシと共に走り回っておるからの。木の葉丸の安全が分かっただけでも少しは落ち着いて眠れるだろう」
ミナト。
自来也の口から零れた名前に瞬けば、気付いた大蛇丸に「四代目火影よ」と教えられる。我愛羅は火影の名前をまともに覚えたことがない。暗殺の命でも下れば覚えただろうが、現状そんな任務はない。だから記憶のどこにも火影の名前は刻まれていなかった。
だがこの機に覚えておくのも悪くないだろうと、その名を頭の中に刻み付けておく。
「今ワシらに出来ることは憤った大名やそれに乗っかって争おうと画策しているバカ共を抑えることだの」
「そうね。私もまだ暫くは風に潜むわ。こちらもあちこちで暗い影が見え隠れしているから、油断できないのよ」
結局我愛羅が手に入れた情報は風影に伝えるにはあまりにも大きすぎる内容だった。
伝えたところで自分の父親がこの二人や、戦争を止めようとしている火影――ミナトのように動いてくれるかどうかは微妙だったからだ。
何せ砂は国からの資金援助がなければなりたたない里である。風影が国に牙を向くということは、己の首だけでなく里に住まう全ての者の首を括るにも等しいことだ。
ならば今回は収穫なしで帰るしかない。我愛羅は温くなった茶を啜り、そう判断した。
「まぁそうはいっても、だ。そう簡単に攻めることはないだろう。国は未だ先の戦で負った傷が癒えてはおらんし、木の葉も先日の一件でごたごたしている。すぐに動くのは無理だの」
「こちらも同じよ。ただこちらは戦の名残というより、飢饉や物資不足が問題ね。医者も薬も食料も、何もかも足りていないのよ」
「砂忍は動ける者も増えたが、病院が抱える患者はまだ多い。少なくとも春先まではまともに動ける忍はいないだろう」
先の戦だけでなく、長く続いた戦の爪痕は砂隠の随所に残り、響いている。長く病院に通っている患者も多く、これ以上の戦は里の存続のために避けたいところでもあった。
「それに春になれば砂隠や風の国には砂嵐が起きやすくなる」
「攻めに行くのも、攻め込むのも困難、というわけだの」
冬は比較的砂嵐が発生する確率が低く、逆に春や秋などの不安定な時期になると高くなる。特に春は大規模な嵐となることが多い。そのため砂隠に他里の忍が奇襲を掛けることは少なかった。
何故なら砂嵐に会ったが最後。確実に命を落とすからだ。それを知らぬほど他里の人間も馬鹿ではない。
「では次の戦、起こるとすれば梅雨、もしくは夏かの」
「夏ならともかく、梅雨の足場の悪い中軍人がまともに動けるかしらね」
「だが茹だった中、暑さに強い砂や風の軍人相手にけしかけるよりはマシだろう」
「それもそうね」
茶菓子を頬張りながらも言葉を交わす二人に我愛羅が口を挟むことはない。
それでもこの二人が本当に戦争を止めようと動いていることは伝わり、心のどこかで安堵していた。自分だけではない。戦争を厭う人間がいたことが何よりも我愛羅の心を軽くした。
「本当に、戦争を止める気でいるんだな?」
もうこれ以上血を浴びなくてもいい。顔も名前も知らない、本当は争う理由などどこにもない相手を殺さなくてもいい。そんな日が本当に来るのか、確かめたくて我愛羅は問う。
これ以上、血の匂いを嗅ぐのは嫌だった。
「ええ、勿論よ。私の場合は自分のために、っていうのが割合的に多いんだけどね」
「ワシも自由に旅がしたいのぉ〜。執筆も滞っておるし。だからワシも己のためかもしれんが、この戦争を終わらせたいと思っておる。これ以上罪のない血が流れんようにな」
年若い我愛羅の為にあえて柔らかい言葉を挟んだ二人を交互に見つめ、我愛羅は再び湯呑を見つめる。僅かに曇った表情が口を開くより先に、隣に座していた大蛇丸が我愛羅の肩を叩いた。
「戦争、あなたも止めたいのね」
「……ああ」
大蛇丸の問いかけに僅かに間を置いてから頷く。幾ら兵器として存在する以外周りから認めてもらう方法がなくても、それでも我愛羅はこれ以上他人の命を奪いたくはなかった。
染みついた血の匂いが、より一層我愛羅に孤独を味わわせていた。
「共に頑張りましょう。我愛羅くん」
「こちらも出来る限りのことはする。何かあったら大蛇丸に連絡を取ってくれ」
「……分かりました」
大蛇丸と自来也の言葉に我愛羅は頷く。
戦争が終われば、それと同時に自分は監獄に入れられるかもしれない。だがそれでも他人の命を無意味に奪うより遥かにマシだ。
もうあの医者の娘を殺した時のように、胸が張り裂けそうなほどの悲しい気持ちを味わいたくはない。そう思ったのだ。
(終わらせなければ――)
国も里も、里の上役も父親もあてにならない。ならば自分で動くしかない。我愛羅は己の手の平をじっと見つめる。
人を殺すしかできない小さな手は、我愛羅の意思に沿って自由に動く。それが僅かばかり、恐ろしかった。