小説2
- ナノ -





帰ってきたばかりだというのに、我愛羅は大きく足音を立てながら廊下を横断した。

「落ち着けよ我愛羅、気持ちは分かるけど…」
「これが落ち着いていられるか!」

サクラや他の親族、友人らと共に仲間たちの弔いをし、少しばかりサクラの家でお茶をして帰ってきたと思ったら突然目の前に大量の写真が置かれた。
しかもそのどれもがお見合い写真だ。我愛羅は常々家族には結婚なんかしないと話していたにも関わらず、母や姉は見合い写真を取ってきたようだった。

「例えお前が次男だとしても結婚を望むお嬢さん方は多いじゃん」
「たんに爵位が欲しいだけだろう。結婚なら既にカンクロウ、長男であるお前がした。跡継ぎもいる。俺が結婚する理由がどこにある?」
「跡継ぎの問題だけじゃないじゃん。それぐらい分かるだろ?」

我愛羅は自身を説得しようと試みている兄を振り返り、父親とよく似た顔の前に指を立てた。

「これ以上俺にこの話を振るな。さもなくばその顎打ち砕くぞ」
「…分かったよ。でももっと冷静に考えろ。色々とな」

兄の諦めたような声音を聞きつつも、返事をすることなく自室の扉を勢いよく閉める。
当然軍人である我愛羅の腕力は強いため、廊下どころか屋敷中に響き渡るような音がした。けれどそれに対し失礼、と言うことも思うこともなく、我愛羅は乱暴に首元を緩めると窓際の椅子に腰かけた。

(結婚だと?爵位が欲しいだけの雌共とか?金と宝石の勘定しか出来ない女共に何の価値がある)

窓の外では重たい雲からポツポツと雨が降り始めていた。
雲の様子から見るとサクラの家では既に大降りになっているだろう。そのうち屋敷にも強い雨が降り注ぐに違いない。
けれど我愛羅は静かな雨音を聞いても落ち着けるはずがなく、次第に鳴りはじめた雷鳴の如くどこかに怒りをぶちまけたかった。

我愛羅には姉兄がいる。そして一人ずついる姉も兄も共に結婚を済ませており、子供も産まれている。
そのため次男である我愛羅が急いで子を作らずとも跡継ぎはいるわけだ。姉は実質嫁いだ先の跡継ぎを産んだわけだが、あそこは二人目が産まれたばかりだ。
一人目も二人目も男児が産まれたのだから、最悪次男をこちらの跡継ぎとして迎え入れることは出来る。
それに兄の所にも男児と女児がそれぞれいる。だからこそ自分は結婚せず、仕事に生きていけると思っていたのだ。

「…俺は結婚なんかしない…絶対にだ…」

我愛羅にとって結婚は、家同士でするものではなく愛し合った男女でするのが至高だと思っている。
だのに親や姉兄、ひいては親戚一同も皆家柄で相手を選ぼうとする。見てくれだけを飾った女たちに何の魅力がある。
それなら故郷が戦地になり、貧困に喘ぎながらも逞しく生きる現地の女性を嫁に迎える方が遥かにマシだった。
それに我愛羅は自身が結婚するならば、相手の女性はこの世に一人しかいないと思っている。

「…サクラ…」

我愛羅にとってサクラは初恋の相手であり、十年以上片思いを捧げている相手でもある。
その気持ちにようやく終止符を打てるのかと思ったのに、彼女の婚約相手は己の目の前で死に、彼女は一人になった。

「最悪だ…ああ、本当に。何故お前は死んだんだ、悲しむ彼女を残して。本当にお前はろくでなしで…嫌な奴だ」

死した友人に悪態をつかなければ荒れ狂う気持ちを誤魔化せなかった。
そんな自身の醜さに呻き声を上げそうになるが、それでも我愛羅は確かに思ったのだ。

これで自分にもチャンスがあると。

死んだ友人から彼女を奪う−
果たしてこれが道徳的に許されるのか。道徳的に考えれば限りなくグレーゾーンだ。何せ彼女は婚約はしていても結婚はしていない。だから親族のように喪に服す必要がなくなる。
それに聞いた話によると彼女は友人の家族からはあまり歓迎されていなかったようだ。

それもそのはず。
貴族は貴族同士の結婚を望む。それも自身の爵位より上のものを。だからただの農家出身の少女に喜ぶわけがないのだ。
上流貴族の結婚の合言葉は『くびれた足首より持参金』だ。そんな所にオレンジ畑しか捧げられない少女が嫁いで何になる。誰も得をしない。
だから彼女は受け入れられなかったのだ、相手の家族に。

だが自分は違う。
跡取りなど残さなくてもいい。軍での成績と爵位は関係ない。軍で築いた名誉は我愛羅自身のもので、爵位によるものではない。
だから最悪爵位など捨ててもいいのだ。実際我愛羅は爵位によって請け負う職務にあまり首を突っ込んでいない。全て故郷に住まう兄に任せている。
それに今更欲しいものなどない。金も、地位も、宝石も、名誉も、勲章も、彼女を前にすればすべてが石ころのように思えた。
それほどまでに彼女を欲している。貴族の女たちが地位を欲しがるように、あるいはそれ以上に、我愛羅はサクラという女性を欲していた。

「………だが、奪うことは出来ない…彼女は………アイツの、アイツを、愛していたんだ。俺じゃない…」

どれだけ我愛羅がサクラを欲していても、彼女が選んだのは己の隣に立っていた男だった。
自分は選ばれなかったのだ。愛する女性にとって我愛羅は、単なる隣人であり友人でしかなかった。それが酷く悲しく、悔しい。

こう見えて我愛羅は上流階級の間ではかなり評判のいい男である。
寡黙ではあるがスキャンダルはないし、軍人という立派な職種に就いている。加えて爵位は侯爵だ。願ってもない相手である。
それに見た目も申し分ない。知的なコバルトグリーンの瞳はいつもクールで爽やかだ。服の上からでも分かる鍛えられた肉体は男らしくセクシーだし、好んでつけているジャスミンの香りは女性にも人気が高い。
社交の場でも女性に恥をかかせぬようスマートな振る舞いを徹底するし、移動する時は軍人らしくキビキビと、力強くも鮮麗された動きをとる。
そんな彼に熱い視線を送るレディ達は非常に多い。
だが我愛羅は宝石で飾られた首元から香る香水の甘ったるい匂いより、サクラの髪や全身から香るオレンジのさっぱりとした匂いが好きだ。
簡素な髪留めでストレートの髪を纏めているのも洒落っ気が無くていい。我愛羅はあまり派手な女が好きではない。ベッドの上では大胆でも構わないが、普段は素朴な空気を感じさせる女性の方が好みであった。

だからこそ我愛羅にとってサクラ以上の女性はいない。

この数年、我愛羅は彼女と笑いあう日々を夢見てはそれを打ち消し、後悔しては苦悩し、そのうち気晴らしに別の女性を探した。
けれど探せど探せど余計に彼女が恋しくなるばかり。沢山の香水の匂いを嗅ぐうちにオレンジの匂いが恋しくなり、遂に恋愛を諦めた。

自分は生涯独身を貫こう。そして彼女への気持ちも、このまま墓場へ持って行こう。

軍に入ったのはそれを決意してすぐの事だった。
このまま貴族としてダラダラ生きるより、軍人として華々しく、そして潔く抱えた想いと共に散って逝こうと思ったのだ。
だがしかし現実はどうだ。我愛羅は今でもこうして生きている。体に増えた傷と名誉は増えても、抱えた想いが減ることはない。
むしろ自分のものにならないのだと気づけば気づく程、募る気持ちは大きく重なっていき、遂には自身さえ喰ってしまいそうな程に強大になってしまった。

捨てることは出来ないと何年も前から気づいていた。
だから想いを抱えたまま死ぬことを望んだのに、神はいつだって我愛羅に地獄への道を標してはくれなかった。

「いや…確かにここは地獄だな。叶うことのない初恋をいつまでも抱え続けている…果てのない地獄だ」

痛む胸からは見えない血が流れ続けている。これ以上刻まれる場所などないはずなのに、どこかが傷つき痛みを伝えてくる。
恋とは何故こうも厄介なのか。
分かっているのに止められない。加速するだけの、募っていくだけの気持ちを止める術があるなら教えて欲しい。
薬があるなら与えて欲しい。どんな大金でも払ってやる。この恋が消えるのであれば、我愛羅は喜んでその薬を口にした。
だが現実にそんな薬は存在しない。募る気持ちは募るまま、我愛羅の心を酷く縛りつけ痛めていく。

「ああ…最悪だ…」

友人と結婚をすれば、サクラへの気持ちも仕舞い込めると思っていたのに。
抑えきれないほど大きくなったこの気持ちは遂に枷を失ってしまった。友人という名の頑丈な檻がなくなったことにより自由になってしまった。
これ以上は抑えられない。自身の理性だけでは。
けれど自分本意に進めてしまえば、きっと彼女は拒むだろう。やはり男とは恐ろしく、信用できないものなんだと身構えてしまうだろう。
そんなことになるくらいならこのまま死んだ方がいい。腰に下げた短剣で喉元を掻き切ろうか。それとも心臓に突き刺そうか。
しかし考えた所で実行には移せない。何故ならどれほど悩み、苦悩したところで、我愛羅の心にある一抹の想いは決して消えはしないのだから。

「…死ぬことすら出来ない。俺はとんだ臆病者だな…」

これはチャンスだと、囁いた自身の声が忘れられそうになかった。




サクラは我愛羅が出て行った後、玄関の扉をぼんやりと眺めていた。
しかし次第にポツポツと聞こえ始めた雨の音にハッと我に返り、慌てて踵を返す。

「ダメよ…今は…何考えてるの、サクラ…」

自身と我愛羅が飲み干したティーカップをシンクに下げながら、それでもサクラは胸中で渦巻く様々な気持ちに呻いた。

(ダメ…ダメよ。私決めたじゃない。アノ人と結婚するって、そう決めたじゃない。なのに、何で…)

久しぶりに目にした我愛羅はギプスで片腕を固めてはいたが、昔から変わらぬ鮮やかな緋色の髪は目を引き、理知的なコバルトグリーンの瞳は優しくサクラを包み込んだ。
それに落ち着いているが意思を感じさせる低く甘い声が、薄い唇から零れる度サクラの全身を心地よくうった。
加えて軍人らしく鍛えられた肉体。コートを脱ぐ時に触れた肩は逞しく、首筋や背中からは素朴で優しいジャスミンの香りがした。
ダメだと理解ってはいるのに、サクラは我愛羅を思い出すのを止められなかった。
墓地の前で泣いていたサクラをエスコートし歩き出した時も、連日の雨でぬかるんだ道を進む時も、サクラに触れていた掌はあたたかく、大きかった。
あの手に触れられている時どれほどサクラが緊張し、同時に喜びを覚えたか。きっと我愛羅は知らないだろう。
いや、知られてはいけないのだ。何せ自分は既に別の男性と婚約を交わしていたのだから。例えそれが叶わぬことになったとはいえ、それが別の男性に気持ちが移る理由にはならない。

(…違う…初めから私の気持ちは“彼”に向いていたわ…アノ人じゃなくて)

シンクの縁をグッと強く握りしめるサクラは、自身の心の奥底に仕舞っていたはずの気持ちを思いだしていた。
決して忘れることは出来ない、だからこそ深い所に記憶を仕舞った“彼”との出会い。
このオレンジ畑の土地権を所有している侯爵であり、幼馴染であり、婚約相手の親友であった“彼”。サクラにとって“彼”は本当に特別な存在であった。

(…我愛羅くん…)

サクラが“彼”と出逢ったのは子供の頃。まだオレンジ畑で迷子になるほど小さな時だった。
母親から買って貰ったお気に入りの人形を抱えながら、サクラはオレンジ畑を抜けた広大な土地で首を巡らせていた。

『…どこだろう…ここ…』

サクラの家であり農地であるオレンジ畑の向こう側は別の農家の畑であった。
しかし幼いサクラはそれがよく理解できておらず、普段見ているオレンジの畑とは別の畑に夢中になっていた。
子供の好奇心とは恐ろしいもので、そのまま暫く一人で駆けていた。けれど幼いサクラは家の方向が次第に分からなくなり、遂には迷子になってしまった。
当然心細くなったサクラは泣き出した。しかし広大な土地では子供の泣き声は風に飛ばされ消えてしまう。
そのうち日も暮れはじめ、泣くのも疲れ始めて蹲っていた時、サクラは蹄の音を聞いた。
瞬間サクラは枯れかけた声で助けてー!と叫んだ。何度も助けて、誰かきて!と叫び続けた。
しかし待てど暮らせど返事がない。やはり聞こえなかったのかと再び泣きそうになっていたところで、見つけた!と声が聞こえた。

『こんな所で何してるんだ?!もうこんなに遅いのに!』

近付いてきたのは自分よし少し背の高い少年だった。しかし身に纏っている服は自身とは違い随分と高価な質で出来ており、サクラは一瞬口籠った。
けれど間近で見た少年は泥や土、草木等で汚れており、幼心に随分と自分を探してくれたのだということが理解できた。

『おうち…わかんなくなっちゃって…』

少しばかり汚れた人形を抱きしめ、ボソボソと答えるサクラに少年は頷いた。

『そういうことか…おいで。僕の馬に乗せてあげる』

少年はサクラの手を取ると、軽く微笑んでから繋いでいた馬の元に導く。

『馬に乗ったことはある?』

尋ねられ首を横に振れば、少年は驚いた様子を見せることなくサクラを先に馬に乗せ、その後ろに跨った。

『大丈夫。怖がらないで。このヒモをしっかり握っておくんだよ』
『う、うん…』

その馬は子馬だったがサクラたちからしてみれば十分大きかった。
そして馬上から見た景色は素晴らしく、サクラは心細かった気持ちもどこかに吹き飛んで行った。

『おそら、キレイ…』

日が暮れていたせいもあり、空は茜と紫の美しいグラデーションを描いていた。
そして所々では星が瞬き、大地の果てでは月が昇り始めていた。
何て綺麗なんだろう。
幼心に感動するサクラに対し少年は同意しつつ、軽く馬の腹を蹴り走らせ始めた。

『ところで、キミの家はあのオレンジ畑?』
『え?どうしてわかったの?!』

子馬が力強く大地を駆けるのを全身で感じながら尋ねれば、少年は軽く笑ってからサクラの髪に鼻先をあてた。

『キミの髪からオレンジの匂いがしたんだ。とてもいい匂いだ』
『あ…ありがとう…』

少年の柔らかな声とあたたかな体を瞬間的に意識してしまい、サクラは思わず頬を染めた。けれど辺りは暗くなっていたため少年は気付かなかったようで、サクラはほっとした。
そして子馬の足であっという間に辿り着いた畑の先では両親が青い顔をしてサクラを探しており、少年と共に現れたサクラに安堵の声を上げた。

そこで両親が少年を『我愛羅坊ちゃま』と呼び、初めて彼がこの土地を有する侯爵家の子供なのだと知った。
だが少年は侯爵の家の出であるにも関わらず、サクラや両親を気遣う言葉を投げ、そのまま馬に乗って去って行った。
幼いサクラにとって“彼”はまさに白馬の王子様であり、恋に落ちるには十分な相手であった。

けれど自分はただの農家の娘。対する我愛羅は侯爵家の次男坊だ。
この気持ちを告げるにはあまりにも身分が違いすぎる。早いうちに諦めなければ。
そう決心したサクラではあるが、恋とはそう一筋縄に諦めてはくれない。
“少年”が成長するにつれ“彼”は徐々に男らしく、また魅力的になっていった。

昔から高かった背もぐんぐん高くなり、サクラを馬上に乗せる度に繋がれた手も、大きく頼もしくなっていった。

子供の頃“彼”は少しばかり冒険好きで、サクラの知らない土地の話を沢山聞かせてくれた。
その土地での話を思い出す度に“彼”の瞳は星のように輝き、目元は優しく細められた。
どれだけ好きになるのを拒もうと思っても、拒むことは出来なかった。何故なら“彼”は、自分の意思に従えぬほどに魅力的だったのだから。

だがそう思うのはサクラだけではなかった。
“彼”が社交の場に出れば途端に“彼”の名は周囲に、貴族の間に広まった。
その時初めてサクラは自分以外にも“彼”を好いている女性がいるのだと身を以て知ってしまった。

“彼”は女性たちの間で噂の的だった。

愛馬の背に跨っている姿や、美術館で絵画を鑑賞する姿、書斎で本を読む姿、兄や貴族仲間たちと剣を交える姿、沢山の目撃情報や話が世間に溢れていた。
サクラは絶望した。自分と“彼”との間にある壁がこんなにも大きく、溝が深いものだとは思っていなかったのだ。
何せサクラたち平民の間でもカリスマ的存在であった、とある令嬢でさえ“彼”に片思いをしていたのだから。

自分と彼女じゃ月とすっぽんだ。むしろ比べることすらおこがましい。

サクラはそう自身を戒め“彼”への気持ちを封じようとした。
なのに“彼”は度々サクラの元を訪れ、渋るサクラの手を取りオレンジ畑の中を駆け回った。

そうしてサクラがある程度年齢を重ねた頃、“彼”はサクラにワルツを教えた。

『い、いいわよ別に、だって私、貴族じゃないし…』
『貴族だろうと何だろうと関係ない。ただ俺がお前と踊りたいだけなんだ。付き合ってくれるだろう?』

重ねられた掌と、抱き寄せられた体。
胸と胸が重なるほどに引き寄せられ、至近距離で見つめられれば全身が心臓になったかのようにときめいた。

『う、うまくできないもん…』
『足を踏んでくれてもいい。これでも我慢強い方なんだ。安心してくれ』

渋るサクラは言葉とは裏腹に、心はどこまでも舞い上がり、飛び跳ねた。
力強い腕に腰を抱えられたまま、スカートの裾を翻しつつオレンジの木の下でくるくると回った。
周囲から香ってくるオレンジの匂いと、彼自身から香るジャスミンの匂いが堪らないほどに胸を締め付けた。
サクラが下手くそなステップを踏んでも“彼”は怒ったりせず、ただ笑って彼女をリードし、瞳を重ね合わせた。

あんなにも楽しく、キラキラと輝いた時間を過ごしたのはあの時だけだ。
サクラの短い人生の中で、あれ以上の喜びを感じる時はきっともう訪れないだろう。
色褪せることのない大切な記憶。
叶うことの無かった初恋の、けれど一番幸せだった時の記憶。

サクラは胸がキュウと音を立てて締め付けられるような気持ちを味わいながらも、思考を現実に戻し、蛇口を捻り冷たい水に腕をつけた。

「…忘れるのよ、全部…忘れるの」

“彼”との優しい想いでは全部、思い出してはいけないの。
音を立てて食器を洗いながら、サクラは再び流れてきた雫を乱暴に拭った。



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