小説2
- ナノ -






部屋に戻ってきたサクラは裏庭に面した格子窓に手をかける。
普通の部屋とは違い、この部屋にのみ施された仕掛けを弄れば柵が外れるようにできている。
それを先代から教わっていたサクラは慣れた手つきで柵を外すと、丁度部屋へとたどり着いた我愛羅を手招きする。

先程まで世界を照らしていた月は今は雲に隠れ、確かにこれは天に味方されていると思いつつ窓からそっと身を引けば、あまり大きいとは言えない窓から我愛羅がするりと体を滑り込ませてくる。
その姿は先程も思ったが本当に猫そっくりで、見た目は狸なのになぁと頬を緩めれば狸顔の男がことりと首を傾ける。
その際サクラの背後に敷かれた布団に気付き、我愛羅はまったく、と肩を竦める。

「先代の掌の上で転がされてる気分だ…」
「でもこうして手伝ってくれてるから私たち逢えるのよ」

呆れる姿に手を伸ばせば、それはそうなんだがな、と疲れたような声と共に口付が落とされる。

「ん…ま、って…窓、閉めなきゃ」
「もう少し」

ちゅっ、ちゅと音を立てながら唇に吸い付き舌を重ね合わせ、溢れる唾液を飲み込めばぐっと背を抱かれ髪を梳かれる。

「んん…ちょっと待ってて」

唇を離し、するりと色づいた唇を撫でてから開けたままの格子窓を元に戻す。
柵が一つ一つ立てられる度に足元には鳥籠のような影ができる。
確かに自分は捕らわれてしまったのかもしれない。この男に。
最後の柵を立て窓を完全に閉めた途端、その男から手を引かれ抱きすくめられる。

「ん…ねぇ、今日何か焦ってる?」

膝の間に座らされながら尋ねれば、うなじに口付ていた我愛羅がまぁなと答える。
もしや明日も仕事があるのかと振り返れば、案の定早朝には出なければならないと返され少しばかり寂しくなる。
だが今は我慢の時だと与えられる愛撫の心地よさに目を閉じ感じ入れば、それにと遅れて言葉が続いてくる。

「前に会った時は何もできなかったからな。そろそろ我慢の限界なんだ」

最後に会ったのは季節が変わる前。
いの達と共に医療忍者育成の授業のために訪れていたため、多忙な我愛羅とは仕事の話ししかできずに別れてしまった。
確かにアレは切なかったと思い出していると、だから今日は余裕がないんだと熱い吐息が耳元を掠めていく。

「お前が足りない」

肌蹴られていく衣服の隙間から、伸ばされた腕が火照る肌を撫でていく。
余裕がないと言う割には味わうようなもどかしい指先に喉を鳴らせば、開いた衣服の隙間から唇を落とされ強く吸い上げられる。

「あっ!ん、」

後ろからゆっくりと体重を掛けられ、寝そべった布団の上。冷たいシーツを掴めば脱がされた上着がするりと落とされる音がする。
いつかのように下着だけになった背中に何度も熱い唇が落とされ、肉厚な舌がゆっくりと上下に横断していく。

「あっ…もう、」

途中、ブラのホックで遊ぶように指先で引っ掻く我愛羅の体を叩けばホック越しに唇を落とされ舐められる。

「サクラの匂いがする」
「当たり前でしょ」

ふんふんと匂いを嗅ぐ姿が益々猫みたいだと思いながら視線を向ければ、気付いた我愛羅は慣れた動作でホックを外し、緩んだカップの隙間から掌を滑り込ませ慎ましい胸を包み込む。

「ぁっ」

熱く硬い掌に優しく包まれ愛撫され、僅かに跳ねた体に口付が落とされると乳房を揉みしだいていた掌が離れ指先だけで愛撫し始める。
そのもどかしい刺激に性悪めと睨んでみるも、我愛羅は楽しげに目を細めるだけで指先の動きを変える気は無いらしい。
ならばその気にさせるまでと手首を掴みねぇと強請ってみるも、我愛羅は聞こえていないフリをし耳元に唇を寄せてくる。

「ん…やだ、ねぇ…もっとちゃんと触って」

一瞬の隙を突き、うつ伏せていた体を翻し男を見上げれば、その台詞はそそられるなと笑う唇が落ちてくる。
けれど感想通りその言葉が気に入ったのか、今度はしっかりと掌全体で乳房を包み込み尖った乳首がきゅっと抓まれる。

「あっ!」

焦らされた故に与えられる刺激は大きく、切ない声を上げながら背を浮かせれば厭らしいなと揶揄される。

「ん…だって、」

カリカリと指先が尖った乳首を引っ掻き、膨れる乳輪を指の腹で撫でていく。
自分の意志とは関係なしに跳ねる体を楽しむように施される愛撫は執拗で、もっともっとと腰を浮かせればぐりっと太ももに確かな熱が当たりはっと目を開く。

「あっ…」

故意に触れたわけではない、けれど確かに主張する男の下腹に視線を落とせばふっと笑うような吐息が落とされ口付られる。

「自分から触ってくるなんて…厭らしいな」
「ち、ちがっ…!今のは、」

続く言葉は口の中に飲み込まれ、嬲る舌先にんんっと声を上げれば伸ばされた片腕がゆっくりと濡れはじめた花弁をショーツの上から撫で上げる。

「あっ…!」

スパッツを履いていないスカートの間、潜り込んだ指先がそっと開き始めた花弁をなぞりだす。
幾らショーツの上からとはいえ、走り出した体は既に花開く準備を整えており、奥の方からじわじわと蜜が溢れだしてくる。
擦られる度に香ってくる女の匂いは強くなり、指先が割れ目を押し上げる度に秘所の奥で息づくもう一つの心臓が動き出す。

「ああ…だめっ…もっとぉ…」

恥ずかしいと思いながらも大きく開いた足の間では、ひくつく花弁がショーツの中から我愛羅を誘う。
そのあまりにも淫猥な光景と香りに、我愛羅は知らず浅い呼吸を繰り返し乾いた喉に無理やり唾液を流し込む。

「凄いな…もうこんなに濡れて…相変わらず厭らしいな、サクラは」
「あうっ…!」

ぐいっ、と濡れたショーツを掴み花弁に食い込ませれば、茂みまで濡らしていた蜜がぐちゃりと音を立てる。
恥じ入るサクラの羞恥に濡れた顔と、それに背反して広げられた足の間で欲望に濡れる花弁とのギャップに頭がやられる。
花の蜜に吸い寄せられる虫のようだと思いながらも、我愛羅は耐えに耐えた己に褒美を与えるようにその花園に顔を近づけ口付る。

「はうっ!」

びくりと震える白く柔らかな太ももにも唇を落としつつ、我愛羅は横にずらしたショーツの中から見える紅色の花弁に喉を鳴らす。
美味そうだ。
思ったのか口にしたのか定かではないが、我愛羅は一度舌なめずりした後欲しがる花弁に向かって舌を潜り込ませ、溢れる愛液を音を立てて啜りだす。

「あああっ!」

跳ねる腰に鼻先を打ちそうになりながらも、予想はしていたため特に驚くことなく我愛羅はそこに唇を寄せる。
指とは違う、別の生き物のように蠢く我愛羅の舌先に溢れる愛液ごと花弁を愛されサクラの体が弓なりに反る。

「はあぁ…だめ、だめぇ…!!それ、いやあぁ!」

逃げる腰を強く掴まれ引き戻され、渇いたのどを潤すように何度も愛液を啜られ膨れた突起を嬲られて、サクラは何度も嫌々と首を横に振りながらシーツの海を泳いでいく。

「やああ!だめ、やだ!きちゃう、きちゃうからぁあ…!!」

広げた舌全体で、時には尖らせた舌先で、敏感な突起を嬲られ転がされ、挙句の果てには唇で食まれ吸われてしまい、サクラはなりふり構わず泣き叫び大きく体を跳ねさせ高みに上り詰める。

「ああっ…!あっ…あぁ…」

余韻に震える体から、体を離した我愛羅は濡れた口元を満足げに拭う。
全身にしっとりとした汗をかき、上気した頬に髪を張り付け切なげに眉根を寄せる女の痴態に下腹に熱が籠る。

「サクラ」

愛しい名を呼ぶ声の優しさに揺すぶられるように、余韻の淵から目を覚ましたサクラはぼんやりと滲む視界で我愛羅を見上げる。

「気持ちよかったか?」
「うん…」

とろりと溶けた眼差しに偽りはなく、我愛羅は男としての矜持が満たされ背を震わせる。

「お前は本当に可愛いな」

落とされる言葉にきゅうと胸が締め付けられ、恥ずかしさのあまり視線を逸らすサクラに我愛羅はくつりと笑う。
そんな余裕めいた姿が恨めしいと、力なくシーツの上に投げ出していた両腕を伸ばし我愛羅に抱き着く。

「我愛羅くんばっかりずるいわ」
「何がだ?」

至近距離で睨みつつ、それでも愛しい眼差しに抱かれ唇を寄せれば抵抗することなく受け入れられる。
溢れる愛液ですっかり使い物にならなくなったショーツに手をかければ、再度我愛羅に組み敷かれ、その隙にするりと脱がされる。

「酷い有様だな」
「うるさい!」

濡れて重くなったショーツを手に笑う我愛羅に頬を染め諌めれば、持って帰ってやろうか?と返され変態と詰る。

「変態とは失礼な。洗ってやろうと言ってるんだ」
「嫌よ!自分でやりますっ!」

ふざける我愛羅に唇を尖らせつつも、サクラはせっせと我愛羅の衣服の留め具を外し肌蹴させていく。

「お前こそ積極的だな」
「私だけ裸なのが許せないのよ」

むすったれるサクラではあるが、剥ぎとった衣服の下から現れる肌にこくりと喉を鳴らし浮き出た鎖骨に唇を寄せ、伸ばした舌を窪みに這わせる。
ちろちろと舌先で嬲る肌からは我愛羅の体臭だけでなく、仕事終わりにそのまま来たのだろう。汗の匂いが混ざりその男らしい香りにきゅんと目覚めた子宮が疼きだす。

心だけでなく体まで、この男のことを求めている。
己を虜にする少しばかり憎らしい男の浮き出た腹筋を撫で、胸や肩に唇を寄せては舌を這わし、少しばかり逸らされた喉元に浮き出た喉仏に口付け舌先でくすぐれば背を抱かれ唇に噛みつかれる。

「んっ…んふぅ…んん」

深く、ねっとりと絡み合う舌の動きにサクラの背にぞくぞくとした痺れが走る。
じんと指先まで震えるその刺激に、汗ばんでいく掌で我愛羅の体を愛撫してやればその手を掴まれ下腹に宛がわれる。

「触るならコッチにしてくれ」
「んふ、いいわよ」

ズボンの留め具を外し、前を寛げた途端苦しそうな男根がぐんと顔を出してくる。
自分の体でこんなに興奮してくれたのかと思うと、サクラは愛しさのあまりつい笑みを広げ可愛いと揶揄する。
それに対し我愛羅は不服そうに目を細めると、失礼なことを言うなと下唇に噛みついてくる。

「んふふー、だってこんなになってるんだもん」
「お前だって人のこと言えないだろうが」

むくれる我愛羅に笑い返し、でもあなたも随分よと僅かに湿った下着を見下ろせば視線が逸らされる。
反論できないらしい。

完璧なように見せてこういうところで抜けている。
そんなところが愛しいのだと思いつつ、口付けながら下着に手をかけずり降ろせば、裸の欲望が現れ無意識に喉が鳴る。
赤黒く、力強くそそり立った欲望をつうと指先で撫でれば、くっと我愛羅が唸る。
己も濡れた性器を晒しながら我愛羅の欲望を愛撫していれば、そろりと伸びてきた指先がひくつく花弁を押し上げくすぐってくる。

「んんっ!」

震えるように跳ねる腰にタイミングを合わせるように潜り込んできた指が、膣の中の弱いところを目指し圧迫する膣肉を押し広げていく。

「ああ…!だめっ、」

視界を滲ませながら、それでも我愛羅の欲望を撫で続ければ深く入り込んだ指がぐうるりと緩慢な動作で円を描き始める。

「さて、お前が弱いところはどこだったかな」

分かっているくせにわざと的外れな所を叩く我愛羅につい腰を揺らしそうになる。
だがそんなことをすれば相手の思う壺だと、欲望を愛撫することに集中していれば、ぐっと弱い部分を押し上げられ体が強く跳ねる。

「ああ!そこぉ…!!」

ぶるぶると太ももが震え、与えられた刺激に子宮が疼きだす。
思わず欲望から手を離し、無意識で後ろ手に腰を突きだせばここぞとばかりに弱いところを押し上げられガクガクと腰が震えだす。

「んんんっ!!だめだめだめっ!あぁああっ…!!」

ぎゅうとシーツを強く握りしめ、鳴り響く水音と零れる嬌声に部屋中が満たされる。
それすらも刺激となり、子宮から這い上がってくる津波のような大きな快楽に我慢できず高く啼き声をあげ布団に倒れこむ。

「あっ…はあぁっ…」

長引く余韻に体をびくつかせ、張りつめた体が徐々に弛緩していく。
力なく広がった足の間では、飛び散った愛液で腹を汚した我愛羅がじっとサクラを眺めており思わず顔を覆う。

「おい」
「やだぁ…みないでよばかぁ…」

強すぎる快感にうまく呂律が回らないでいると、今のは凄かったなと感想を述べてくるので思わず枕を投げつける。

「それだけ気持ちよかったということだろう?」
「もう!うるさい!」

度重なる絶頂で潤む眼球で睨んでみるが、我愛羅はそんな顔じゃ逆効果だぞと笑い口付てくる。
重なる舌の熱さと心地よさに吐息を零せば、唇を舐められ鼻先に口付られる。
閉じていた瞼をゆっくりと開けば、再び唇を塞がれ頬を撫でられる。

「んっ…」

いつしか落ち着いた呼吸も、再び熱い指先が秘所に当てられヒクリと喉が震える。
口付けを繰り返していた我愛羅も再び花開いた花弁に顔を寄せると、ふうと一度冷たい吐息を送ってから震える花弁に舌を這わせる。

「はうぅ…!」

じっくりと舐められくすぐられ、シーツを掴み身悶えれば、膣内に潜り込んだ指先が再びイイ所を押し上げる。

「ああっ!だめぇえ!!」

ビリビリと全身に走る刺激に背を反らせ、逃げようともがくが腰を掴まれ引き戻される。
挙句そのまま膨れた突起を舌で舐めまわされ、唇で甘噛みされつつ同時に弱い所を断続的に刺激され目の前で火花が散って行く。

「ああああ!だめだめだめっイくっ…!イちゃっ、ふっ、ぁあああ!!」

臍の下が引きつるような感覚と共に腹筋が収縮し全身に力が入る。
呆気なく登り詰めた体は熱く溶け、自分の体とは思えないほどにビクつき愛液をしとどに溢れさせていく。

「もうだめぇ…しんじゃう…」

熱い吐息が花弁に当たることでさえも刺激になり、思わずぶるりと太ももが震える。
我愛羅はその白い肌が淡く色づく姿に、先程の月夜に照らされ舞い散る花弁を思い出し無意識に口付け吸い上げる。

「はっ…うっ…」

何度も吸い上げた先に散らばる紅い華は美しく、男としての征服欲が満たされる心地に目を細める。
他の誰にも、桜の木にだって渡したくない。この女は自分のものだと所有の証を何度もつければ、サクラがもう、と唇を尖らせる。

「痕つけすぎだってば…」
「そうか?」

足りないぐらいだが、と零す男におバカと額を突けば、ふっと口元を緩めた後軽く口付られ髪を梳かれる。
そして我愛羅は上体を起こすと、一体どこから取り出したのか避妊具を口にくわえ袋を破り、慣れた動作でソレを付けていく。
何となしにその器用な指先を眺めていれば、視線に気づいた我愛羅にそんなに欲しいのか?と揶揄され反射的にバカ!と叫び頬を朱に染める。

「ただ指が綺麗だな、って思っただけよ」

唇を尖らせ反論すれば、軽く笑いながらそうかと頷いた我愛羅に手を握られシーツの上に縫い付けられる。
啄むように重なる口付けの合間、熱い欲望が花弁を撫でては愛液を掻き混ぜ、広がる淫猥な水音に嫌でも体が反応してしまう。

「ぁ…」

早く。
視線で訴えてみるも我愛羅は意地悪く口の端を上げるだけで、浅く腰を引いては花弁を撫で挿入れてくる気配はない。
ああもうじれったい、と腕を伸ばし抱き着けば、どうした?と楽しそうな声音で尋ねられ下唇に噛みついてやる。

「焦らさないでよ」
「そんなつもりはないんだがな」

ひたりと花弁に宛がわれた熱に気づき腰を浮かせれば、ぐっと張った先端が沈み込む。
そのまま奥まで来て、と腰を押し付ければ、硬い掌に腰を掴まれ一気に奥まで貫かれる。

「ああっ!」

ようやく与えられた熱量をぎゅうと締め付けしゃぶりつけば、耳元で熱い吐息が零され荒く口付られる。

「ん、んんっ!あっ、はぅ…ああっ!」

絡まる舌の合間、口付に集中する間もなくゆっくりと腰を揺すられ掻き乱される。
逃げ場のない快楽に喉を反らし必死に背にしがみ付けば、浮いた背に腕を回され抱き起される。

「あっ!」

自重で欲望が深いところを抉り、耐えれず首の裏に手を回ししな垂れかかれば、宥めるように頭を撫でられ髪を梳かれる。

「あ…んん…」

暫く向かい合う格好のままぎゅうとしがみついていれば、耳元や頬、首筋、肩にと絶えず唇が落とされ僅かに体を離せば深く唇が合わさり愛撫される。

「ん…あっ…んむっ」

潤む視界の中、うっすらと瞼を開けば濃い隈に縁取られた瞼が閉じられているのが見える。
何だかそれだけできゅんと子宮が疼き、自分から腰を揺らせば揺れる乳房に舌が這う。
そのまま硬くなった乳首に何度も吸い付かれ舌先で転がされ、指先まで痺れるような感覚に襲われながらも腰を動かす。

「ああ…だめぇっ、気持ちいい…!」

自分から弱いところに押し当てグリグリと腰を動かし刺激すれば、突如腰を掴まれ突き上げられる。

「ああっ!」

予期せぬ刺激に背を反らし、仰け反れば何度も突き上げられ絶え間ない快楽の波に全身が攫われる。
荒い呼吸の間、無意識に名を呼び目の前の体にしがみつき、触れ合う肌の心地よさにこのまま溶けてしまってもいいかもしれないと思う。
そうして何度も登り詰めた体はいともたやすく次なる頂へと登り詰め、強く抱きしめられる充足感の中頭の中が真っ白になるほどの快楽に辿り着き霧散していく。

「あ…はぁ…ぁ…」

びくびくと下腹が痙攣する中、未だ硬いままの我愛羅の欲望を締め付ければ一層強くナカの欲望が脈打つ。
けれどそのまま果てることはなく、背や髪に宥めるような愛撫が施され、重ねた体を甘えるように擦りつければしかと抱き返される。
重なる心音の心地好さに喉を鳴らせば、啄むだけの口付が何度も落とされ瞬いた瞬間雫がほろりと落ちていく。
流れる雫はすぐさま払われ、覗く翡翠の瞳は獣のように爛々と光りサクラを射抜く。
食べられてしまいそう。
逞しい肩に手を当て、ぐっと押せば我愛羅は逆らうことなく布団の上に横になる。

「ねぇ…気持ちいい?」
「ああ…気持ちいいぞ」

跨った腹の上、未だ入ったままの欲望の熱を感じつつ腰を揺らしていけば僅かに我愛羅の眉間に皺が寄る。
胸についた手を離し、そのまま我愛羅の視覚を刺激するよう自の手で胸や股の間の膨れた突起を撫でていれば、締め付ける膣の刺激と合わさってぐんと欲望が大きく膨れ上がる。

「ぐっ…お前、そんなのどこで覚えたんだ…」
「あ!だ、って…!」

疼いた体をいつも我愛羅が慰めてくれるわけではない。
切なければ切なくなるほど、この手を思い出しながら自らの手で慰めるしかない。
伸びてきた手が乳房を覆い、揺する腰の動きに合わせ揉み扱かれ溢れる声が大きくなっていく。

「ああっ!…やだ、だめぇっ…腰、とまんないっ…!」

久方ぶりの行為に火がついた躰は想像以上に貪欲で、何度も登り詰めたはずなのにまだ足りないと男を欲しがる。
溢れる愛液が互いの茂みを濡らし厭らしい音を奏でていく。
それでも尚止まらず男の欲望を飲み込む花弁を大きく晒しながら腰を動かしていれば、胸を触っていた掌が強く腰を掴み下から突き上げてくる。

「あーっ!!だめぇ奥!ああっ、気持ちいいっ…!!」
「サクラ、サクラっ…!」

いつもより掠れた、熱っぽい声音で名を呼ばれれば疼く子宮がきゅうと欲望を締め付け食らいつく。
その刺激に耐えれず呻くような声を上げ果てた我愛羅の、脈打つ欲望と飛び散る飛沫の感触を避妊具越しに感じながらサクラも頂に上り詰める。

「あ…はぁ…」

ぐったりと荒い呼吸のまま我愛羅の上に覆いかぶされば、暫し無言で互いに呼吸を整える。
火照る体からは汗が噴きだし、隙間なく重なる肌は密着し互いの鼓動を伝え合う。

「サクラ…」

先に回復した我愛羅に名を呼ばれ、緩慢な動作で顔を上げれば触れるだけの口付が贈られる。
それだけで小さな胸は切なさと幸福とでいっぱいになり、滲む視界を閉じてただ甘えたくなる。

「まったく…お前も先代も、俺を翻弄するのが好きなようで困るな…」

零される悪態に思わず吹き出し、何それと顔を上げれば事実だろうと存外楽しげな瞳が悪戯に光る。
その無邪気な瞳にバカねと返し、ようやく体を離し横に寝そべれば、伸ばされる腕に背を抱かれ顔中に口付けの雨が落とされる。
慈しみの雨にも似たその柔らかさにうっとりと目を閉じ甘受していれば、裸の足が絡まり肌を撫でていく。

「ねぇ…私が寝るまで傍にいてね」

早朝には帰ると言っていた。
つまりはサクラが寝ている間にこの宿を出るということだ。
一人で目覚める朝の寂しさには未だ慣れないが、それでも微笑み強請ってみれば勿論だと返され抱きしめられる。

「ようやく逢えたんだ。そう容易く帰ってたまるか」

珍しくストレートな本音を漏らす我愛羅に吐息で笑い、しょうがない人ねとからかってから口付けあった。
月が沈むにはまだ早い。
鳥籠のような部屋の中、落ちる光は月光色。
月光りが導く世界は翡翠の海と混ざり合い、白く水面を輝かせサクラを蠱惑の海へと誘っていく。

ああ、今日はこのまま幸せな夢が見れそうだ。

馴染む体温に目を閉じて、絡まる指先から伝わる愛しさに頬を緩めた。
夜はまだ、明けぬ海の上にある。



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