小説2
- ナノ -






「まったくもう…皆我愛羅くんに飲ませすぎなのよ。カカシ先生も止めないし、ナルトは飲み比べだーってダルイさんたちまで巻きこんじゃうし…本当覚えてないさいよ、あのバカっ」

前を歩く彼女の声が聞こえる。けれど何を言っているのか正しく理解できず聞き返そうとしたが、何だかどうでもいい内容な気もしたのでそのまま口を噤んでいた。
風を切る彼女の髪が揺れ、その風が俺の頬をくすぐる。
酒の匂いに交じって花の匂いがする。飛び交う花弁に交ざって、彼女の髪が揺れて、乱れる。

「我愛羅くん、靴脱いで」

辿り着いた宿の入り口すらいつ潜ったのか分からない。
促されるまま靴を脱ぎ、裸足の足裏に磨かれた床の冷たい感触が伝わりぼやけた頭が一瞬冴える。
だけどやはり俺はフラフラと、酔っぱらった足で彼女に引かれるままついて行く。

「我愛羅くんがいつもと同じ宿を取ってくれて助かったわ。部屋も同じでしょ?」
「ああ…」

彼女の言っていることは半分ほど理解できなかったが、それでも何となくあっている気がして頷けば彼女は笑った。
鈴を鳴らしたような、耳に残る柔らかな声だった。

「あ、よかった。布団敷かれてるわ。ほら我愛羅くん、もう寝ちゃいなさいよ」

部屋の襖を開け、隣の間へと進んだサクラが俺を促す。
サクラの肩越しに見える白い布団と、俺の肩に彼女の手が伸びる。
握られた白い指先が、視界に写った。

「えっ、ちょ、があらくっ…」

離れていこうとする白い指先を追った。
蝶々のようなその白い指先を、掴んだ瞬間彼女の目が丸くなって瞬いた。
その時初めて彼女の瞳が濡れていると気づいた。綺麗だと思った。

「ひゃっ?!」

どんな味がするのだろう。
そう思った時には既に遅く、俺は舌を伸ばして彼女の目玉を舐めていた。

「な、なななな何するのよっ?!」
「…?何が?」

不思議な味だった。しょっからいような、何の味もしないような。よく分からない。
けれど片目を抑える彼女の唇に目が行くと、ああ、あそこの味も知りたいなと思った。

「え、ちょっ、やだっ」

逃げようとする彼女の腰を抱く。
細い。
視界の端で薄紅の髪が揺れる。
ああ、やはり。あの風に乗って香ってきたのは彼女の匂いだったのだ。
良い匂いがする。

「サクラ…」

三文字の名前。花と同じ、美しい名前。
薄紅の髪によく似合う、麗しい名前。俺の好きな人の名前。

「んうっ?!」

触れた唇は柔らかかった。
ふにゃりと柔らかく俺の唇を受け入れ、しっとりと濡れた唇が重なった俺の唇を押し返してくる。
弾力のあるその唇に、俺は角度を変えて再び口付た。

「んーっ!」

彼女の手が俺の肩に触れる。押し返すように込められた力に、けれど俺はそれを押し返す如くグイグイと体を押して彼女を布団の上に転がした。

「やっ、ちょっと我愛羅くん?!」

白い布団の上に薄紅が広がる。無造作に、流れるように、水に乗ったように、一本一本が煌びやかに光りながら、広がる。

「サクラ…」

彼女の首筋に鼻先を寄せる。白い肌に目を焼かれながら、それでも匂いを胸いっぱいに吸い込めば頭がくらくらするほどの官能を覚えた。
酒の匂いよりも遥かに芳醇な、俺を酔わせる匂い。下半身が、熱く疼く。

「や、やだ、ちょっと…」

彼女の体を撫でる。
腰、腹、下腹、臍。それから浮いた肋骨、ブラジャーの金具。僅かに感じる膨らみの間、ジッパーの硬さ、鎖骨の下、その窪み。思うままにただ掌を這わせる。
衣服の隙間から覗く彼女の肌が、しっとりと俺の掌に吸い付く。気持ちがいい。

「ああ…きれいだ…」

口から自然と熱い吐息が漏れた。
窪んだ鎖骨と少し逸らした首筋が堪らないほどセクシーだった。女の体がこんなにも美しく艶やかだとは思わなかった。
今まで抱いたどの女とも違う、俺を酔わす色香に唯々参った。

「サクラ…きれいだ…」
「やっ、あの、ちょっと…!我愛羅くんお願いだから目ぇ覚まして!」

彼女の手が俺の顎を押し返す。汗ばんだ掌を押し返された顎と僅かに指先が触れた首筋から察する。
ということは彼女の掌は今汗をかいているということだ。どんな味がするのだろう。俺の汗と同じ味がするのだろうか?
思わずその手を取って舐めてみた。

「ぎゃあ!?」
「ん…甘いな…何でだ?」

汗はしょっぱいはずなのに何故か彼女の汗は甘く感じた。しかし俺は甘いものが苦手なはずだ。なのに俺は再びそこに舌を這わせ、むずがる彼女の指の間にも舌を差し込んだ。

「いやっ…!」

彼女の指先がキュッと曲がり丸くなる。
逃げようと手首を強く振る彼女の硬い骨の感触を感じながらもその手を逃さず舌を伸ばす。
甘い。
掌の皺の一本一本を、曲がる関節の筋を、柔らかく膨らんだ指の腹を、舌の先でゆっくりと撫で、味わう。
ごくりと彼女の汗を含んだ唾液を飲み下せば、彼女の匂いが腹の底に収まるようで気持ちがよかった。

「ぁ…っ」

布団の上に組み敷いた彼女の肩が竦む。ぎゅっと閉じた瞼の下、できた睫毛の影が美しい。
形のいい眉が困ったように下がり、眉間に皺が寄っている。少し広い額の、髪の生え際にジワリと玉のような汗が浮かんでいる。
綺麗だし、美味そうだ。

「ひゃっ?!」

案の定彼女の額に浮かぶ汗は甘かった。口の中であっさりと消えてしまった飴玉のような汗を舌の上で転がせば、唾液と共に喉を通っていく。

「が、我愛羅くん…」

彼女の先程まで赤かった唇が僅かに色を失っている。怖がらせてしまっただろうか。それは困る。俺は彼女を困らせたいんじゃない。彼女を知りたいだけなのだ。
どんな味がして、どんな匂いがして、どんな柔らかさを持っているのか。彼女の隠された場所がどんな形をしてどんな色をしてどんな味をしているのか、それが知りたいだけなのだ。
だから怖がられるのは不本意だった。

「サクラ、怖がらないでくれ」

彼女の白い頬に指を伸ばした。
ゆっくりと撫でれば、彼女の肩が跳ね眉間に皺が寄る。瞼は閉じられ翡翠の瞳が見えなくなった。
それでも俺はその頬を撫でた。柔らかい。つきたての餅のような肌だ。

「サクラ」

彼女の名を呼んだ。
何度も何度も、耳元で、全身に振りかけるように体の上から、何度も彼女の名を呼んだ。
その度に脅えるように体を縮こませた彼女の体がピクリと跳ね、おずおずと降りた瞼が上がっていった。

「サクラ」

彼女の潤んだ瞳が数度瞬く。
俺をまっすぐと捕える、けれど戸惑ったような眼差しが綺麗だった。

「よ、酔ってるんでしょ…?」
「ああ…酔ってる」

サクラの匂いに、名前に、指に、吐息に、声に、眼差しに、髪に、唇に、余すことなく彼女を作り上げてるすべてに、俺は酔っている。

「サクラ、キスしたい」

指先で触れていた頬に唇を落とす。やはり柔らかい。産毛まで、そう思う。
震える彼女の肩に力が入る。けれど俺を押し返そうとする手にはもう、力が入っていないように思えた。

「し、したじゃない…もう…」
「まだ足りない。もっとしたい。サクラ、キスしたい」

ちゅっちゅっと音を立てて彼女の目尻に、眉に、額に、髪の付け根に、眉間に、鼻先に、口付る。
でもまだ触れたい。

「サクラ、」

唇に、触れそうで触れない、そんな場所で吐息を吹きかけつつ名前を呼んだ。
ぎゅっと瞼を閉じた彼女の濡れた唇が震えていた。堪らなく可憐で、憐憫で、愛おしかった。
食べてしまいたいと、そう思った。
食んで、舐めて、味わって、転がして。この唇の味を何度も味わいたいと思った。

「…んっ…」

彼女の唇から吐息が漏れる。
酒の匂いが僅かに交ざった、濡れた吐息。僅かに唇を離せば視界に入る、染まった唇を舌で撫でる。

「だ、だめ…」

彼女の唇が動く。
けれど俺はその言葉の意味を理解する暇なく再度唇を重ねた。柔らかい、一度味わっただけでは足りないその唇に舌を這わせ、舐め、味わった。

「んぅっ…!」

彼女の閉じられた唇を何度も舌で愛撫する。
柔らかい。その感触が気持ちよく、閉ざされた唇の下。隠れている歯の硬い感触も知りたかった。

「口開けて…」
「ゃ…」

ぎゅっと目を閉じて顔を逸らす彼女の頬に、唇に、舌を馳せ舐める。
硬く尖らせた舌先を閉じた唇の境に差し込めば、彼女の唇がハッと開いた。

「あうっ、んんっ!」

呼吸をするためだろう。一瞬の隙をついて開いた口の中に舌を差し込めば彼女の体が強張り、固まる。
けれどこれ以上は怖がらせないよう、舌の力を抜き、ゆっくりと彼女の逃げる舌を追い、撫でる。

「んっ、んぅ…ーっ」

彼女の匂いが存分に香る髪を撫でながら、伸ばした舌で彼女の固まる舌を絡め取る。
ざらついた舌同士を擦り合わせ、柔らかな側面をくすぐれば閉じ込めた体がビクリと跳ねて白い指先が服を掴む。

「んぁ、はっ、ぅんっ、」

閉じ込めた体を抱きしめながら、柔らかな髪の毛を指に絡ませ撫でながら、彼女の口内を堪能する。
舌も、つるりとした歯も、唇も、しっかりと味わってから啜った唾液を嚥下する。酒と彼女の匂いがするそれは、極上の酒のように喉を潤した。

「はぁ…はぁ…」

先程までは頑なに閉じていた唇も、今度ではすっかり惜しげもなく開き呼吸を繰り返す。
閉じた目尻は淡く染まり、俺の唾液で濡れた唇が妖しく濡れ光る。堪らず再度そこを塞げば、彼女の指先がギュッと丸くなった。

「んんっ…ん、…ふ、ぅ…」

何度も何度も、彼女の舌を愛撫しては唾液を啜り飲み込む。
その度に彼女の体は強張り、唇を離せば弛緩し熱い吐息を零す。それを何度も繰り返し行っていれば、彼女の逃げる舌がいつしか自分から絡まってくるより、声に甘さが増してくる。

「んぁっ」

ちゅぱっ、と音を立てて唇を離せば、彼女の蕩けた視線が薄く開いた瞼の合間から覗く。
飴玉のような瞳がトロトロと溶けていく。

「サクラ…」
「ぁっ…!」

彼女の耳元で名前を呼び、吐息を吹きかけながら舌を這わす。
震える彼女の指が服を強く掴み体を硬くするが、構わず耳の形を確かめるように舌を這わし、耳たぶを舌先で転がし吸い付く。

「んんっ!」

ぎゅうと彼女がしがみついてくるのを堪らない思いで感じながら、彼女の耳に舌を差し込み舐めまわす。
硬い場所を食めばコリコリとした感触が伝わってくる。その都度彼女は小さく体を跳ねさせ、子猫のような甘い声を出す。
そうして存分に彼女の形のいい耳を味わった後、舌をそのまま下して首筋に唇を落とす。
白くなめらかな肌は俺の舌と唇の動きに戦慄き、震える。思わず吸い付けばそこには赤い華が散り、彼女の名前を体に刻んだようで美しかった。

「ぁっ…だめっ…」

彼女の服の合間から見える、窪んだ鎖骨に向かって舌を這わす。
ずっと髪と頭を撫でていた片方の腕を下し反対の鎖骨を撫でれば、彼女の体がピクリと跳ねた。

「はぁ…サクラ、すごく綺麗だ…興奮する」
「ぃやっ…!」

サクラの肌に手を這わす。
男とは違った丸い肩を撫で、下着の紐を辿るように胸元に手を差し込めば彼女が身を捩る。
けれど気にすることなくその縁へと辿り着き、形をなぞるようにそっと指先を這わせれば、震える吐息が赤い口唇から零れていく。

「や、やだっ…も、やめよ?」
「いやだ」

彼女の震える声は庇護欲と同時に加虐心をくすぐってくる。
どちらの声に耳を傾けようか迷う暇なく、俺は彼女の懇願を一蹴しジッパーに歯をかけた。

「あ、!」

彼女の潤んだ瞳が丸くなる頃には俺の歯がしかとジッパーを銜え、それを臍の下まで下していた。
途端に左右に肌蹴た薄っぺらい衣服の間から覗く、ヴィーナスのような肌に俺の脳みそはくらくらした。

「だめっ、見ないで!」

彼女の手が左右に開いた衣服へと伸びる。けれどそれを手首を掴むことで阻止し、ヴィーナスの肌をじっくりと眺め、堪能する。

「いやっ…!」

彼女の強く閉じた瞼の間からじわりと涙が滲んでいく。
きっと俺の頭が正常ならすぐさまこの手を離して土下座でもしただろうが、今の箍が外れた俺にはそれさえも魅力的にしか映らなかった。
誰も侵したことのない、不可侵の女神の裸体を俺は見下ろしている。
それがどうにも納まりきらない興奮を更に悪化させ、渇いた唇を無意識で舐めた。

「ああ…綺麗だ、綺麗だぞ、サクラ…本当に、綺麗だ…」

俺の乾いた唇から無意識に言葉が落ちていく。
舐めても舐めても乾いていく、熱い唇を再度舌で潤してからその肌に口付る。甘い匂いのする、蜜の匂いに誘われる羽虫のようにそこへと口付る。

「んぅ!」

鎖骨の下。それから僅かに隆起した柔らかな乳房の上方。それから少し下で浮く肋骨、その窪み。脇腹。臍。下腹。順に唇を落としていく。
唇が触れる度に小さく跳ねる肌を存分に唇で味わう。彼女の肌を撫でているだけだというのに俺の下腹は既に強く脈打ち、のっぴきならない状態になっている。

「ぁ…はぁ、はうっ、うんんっ…」

口付る度に彼女の柔らかな腹が跳ね、背筋が反る。
ブラジャーに守られた二つの丘がその度に揺れ、目を楽しませる。俺は彼女の腹から唇を離し、彼女の抵抗しようともがく手首を一纏めにしてから片手で鎖骨を撫で擦った。

「ぁっ、ぅっ…ぅんんっ」

唇を噛みしめる彼女の声が小さく漏れてくる。
散々口付て舐めまわした鎖骨に再度舌を這わせ、舐めしゃぶって吸い上げれば彼女の腰がぐっと反った。

「んっー!だ、めっ、だめぇ…」

ぱさぱさと彼女が首を横に振るたび髪が音を立てて揺れる。
その渇いた音でさえ俺の欲を刺激し、震える彼女の肩に口付けブラジャーの紐に噛みつく。
口に含んだそこに唾液をしみこませ、音を立てて吸い上げればやはり彼女の汗の匂いと味がした。
どんな腕利きの料理人が作るものより彼女の美しい裸身の方が俺の欲望を刺激する。堪らない味に下腹が更に熱くなる。

「はぁ…はぁ…」

彼女の荒くなる吐息に合わせて揺れるささやかな胸部に向かってゆっくりと唇を落としていく。
肌を味わいながら、それでもゆっくりと、彼女にそこに触れるぞと暗に教えながら肌を撫で、口付る。

「ぁっ…」

彼女の唇から、期待するような甘い声が漏れる。
瞬間すぐにでもこの無粋な下着を剥ぎとってヴィーナスの裸体を存分に堪能したい気持ちに駆られたが、それをぐっと堪えて俺はゆっくりと周囲に手を這わせた。

「んっ…ふっ、」

彼女のきっと敏感であろう乳房の先端には触れないよう、まずは周囲からゆっくりと責めていく。
ブラジャーの形を辿るように指を馳せ、その縁を撫でまわす。そうして時折悪戯に、その丸いカップの間に指を差し込み乳房に触れた。
柔らかな弾力を指の腹で感じれば、彼女は途端にあうっ、と可愛い声を漏らして身悶える。

「はっ…ん、ぅんん」

いつ触られるのか、それとも触る気がないのか。
そんな彼女の声が聞こえてくるかのようなくぐもった声を聞きながら、俺はゆっくりとブラジャーの上に唇を落とし、谷間に鼻先を寄せた。
途端に彼女の体は強張り、濡れた視線が落ちてくる。その視線を真正面から受け止め見つめ返せば、彼女がぎゅっと瞼を閉じて顔を逸らした。

「サクラ」

体を起こして耳元で名前を呼ぶ。
彼女の匂いを肺一杯に吸い込みつつ耳の裏に口付て、そっと背中に手を差し込めば彼女の背が浮いた。

「や、やだ…」

小さく抵抗の意を示す彼女ではあったが、それでももう彼女の手は俺を押し返したりはしなかった。
ギュッと丸まった指先は、縋るように俺の服を掴んでいた。
それがただ、愛しかった。

「あ、あんまり見ないで…」

彼女の背中に指を馳せ、無粋な下着のホックを取り去った。
そうして緩んだ隙間から零れていく、ささやかな乳房が露わになった途端後頭部を殴りつけられたような衝撃を受けた。
ああやはり、俺のヴィーナスはどこまでも美しかった。

自分に自信がないからと、恥ずかしそうに瞼を伏せる赤らんだ頬。
下着と共に取り去った、上半身だけとはいえ露わになった白く輝く滑らかな肌。
けれどその女神のような裸体のあちこちに、俺がつけた花弁が舞っている。
堪らなく美しく、堪らないほどに興奮した。

「綺麗だ…本当に…誰よりも、綺麗だ、サクラ…」
「んっ…」

彼女の恥ずかしがる目尻にそっと唇を落とし、震える睫毛にも口付た。
そうして恐る恐る瞼を開いた彼女の濡れた瞳を見つめながら、俺は彼女の頬を撫でて髪を撫でた。
何と愛しい存在だろうか。俺の手の中で震える小鳥のような彼女が、ただただ愛しかった。
女神のような肌を持つくせに、彼女は少女にも似た清らかさを持っている。その倒錯的ともいえる美に俺の脳髄は甘く溶け、下腹からは強い欲望が波打った。

「んあっ!」

震える彼女をもっと見つめていたい。
そうは思ったが俺の下腹から発せられる本能に俺は屈し、彼女の乳房に指を馳せた。
たわわに実っているわけではないが、それでもそこは確かに柔らかく俺の指先を受け入れ、形を変えた。
そしてその中心では触ってもいないのに赤く色づいた小さな種がツンと上を向き、俺の指の間から存在を主張している。

「ぁ…ぁあっ…!」

彼女の恥ずかしそうに寄せられた眉と、濡れた唇から発せられる悩ましげな声にゾクゾクする。
正直言えば彼女にはまだ気付かれていないであろう滾った欲望を、この滑らかな肌に擦りつけ精を吐きだしたかった。
けれどそれはあまりにも無粋でもったいない。
初めて目にした女神の体だ。それを堪能せずに欲望を満たすのはあまりにも稚拙で、節操のないことだ。
俺はまだこの肌を、声を、堪能したい。溺れていたい。いっそこの女神になら殺されてもいいと思えるほどに、俺の神経は全て彼女に向かって注がれている。

「んあ!」

丸みを帯びた乳房の中心、膨らみ硬くなりつつあった乳輪を指の腹で押しつぶし、撫でながら主張する乳首をキュッと指の間で挟む。
途端に彼女の白い腹が跳ね、悩ましい声が高くなる。下腹にダイレクトに衝撃を与えるその歌声にも似た嬌声に腰が震える。

「あっ!ダメっ、やだ、ぁっ…!」

キュッキュッとラジオの摘みを弄るように、小さく尖った乳首を指で挟んで捏ねくり回す。
途端に彼女の体は跳ね上がり、身悶える白い裸体が薄紅に染まっていく。

「気持ちいいか?サクラ」
「あっ…!」

指の腹で両方の乳首を抓みあげれば、彼女の唇から聞いたことのないような甘えた声が漏れる。
途端に彼女は恥ずかしそうに口元を両手で覆うが、すぐさま俺はその手を外させ舌を伸ばす。

「いやあっ!」

彼女の跳ねた体に歯を立てぬよう、最大限に注意しながら口の中に彼女の小さな乳首を招き入れる。
力を抜いた舌の腹で乳房から乳輪から乳首から、一色線に舐め上げれば彼女の腰が強く反る。
浮いた腰に手を差し込み、悶える彼女を抑え付けながら舌で愛撫し舐めまわす。

「はうううっ、いやっ、ぁっ!だ、めぇえ…!」

ツンと上向きに立ち上がった乳首を、硬く尖らせた舌先でグリグリと押し込む。途端に細い腰が厭らしく蠢き、彼女の手が俺の頭を押し返そうとする。
けれど気にすることなく今度は乳首を唇で挟み、ちうと吸い上げればビクリと抱いていた腰が跳ねた。

「あっ、あぁ…!吸っちゃいや、」
「じゃあこれは?」

首を振る彼女を上目で堪能しつつ、今度は唇で挟んだ乳首に歯を立て甘噛みすれば彼女の背がぐんと反る。

「あぁ…!」

身悶える彼女の何と美しく、厭らしいことか。
俺の腕で、舌で、ここまで色づき艶やかになる彼女に俺の息は既に上がっている。
それでもやはりまだこの肌を味わいたくて舌と指で彼女の胸を責め抜けば、ついに彼女の目尻から真珠のような雫が落ちていく。

「あっ…んんぅ…!」

最後に軽く吸ってから彼女の胸から顔を上げれば、そこは俺の唾液で厭らしく濡れ、彼女の肌も顔もすっかり上気し息も絶え絶えになっていた。

「サクラ…」

俺と同じように吐息を荒げる彼女に思わず精を放ちそうになったが、俺はそれを堪えて彼女の下腹に手を馳せた。
男を天国へと連れ込む楽園は、この下にあった。



prev / next


[ back to top ]