小説
- ナノ -






「ん…んん…ぁ、ん…」

結局、仲居が膳を下げた後二人はどちらからともなく唇を重ね合わせ体を掻き抱く。

「ねえ…今日は私がしていい?」

サクラは我愛羅の上に乗っかると、甘えるように強請りながら口付ていく。

「構わんが…できるのか?」

少しからかうような声にバカにしないでよ。と唇を尖らせてから肌に口付け舌を這わせていく。

「っふ…」

僅かに零れる吐息に、上目で我愛羅の反応を伺いながら留め金を外し服を開いていく。
徐々に露わになって行く引き締められた体にこくりと喉を鳴らし、熱い肌を撫でながら口付ていく。

「気持ちいい…?」
「ああ…」

啄むような口付を胸板に贈りながら、伸ばした舌先で乳首を撫でればぴくりと我愛羅の腹が跳ねる。
それに気をよくしながらサクラが自分がされるように口に含み舌先で転がせば、声を噛み殺す吐息が頭上から聞こえ徐々に楽しくなる。

我愛羅くんも私のことを抱く時こんな気持ちなのかしら。
そんなことを思いながら舌で、指で、立ち上がった乳首を撫で擦り、肌を撫でていれば我愛羅の手が背や臀部に這わされ浴衣の上から撫でてくる。

「んん…だめ、今日は私がするんだからっ」

悪戯な指先をぴしゃりと叩けば、浴衣から滑り落ちた手が布団の上に投げ出される。
素直な我愛羅にいい子。と頭を撫でながら口付け、再び服を剥ぎながら肌に口付ていく。

露わになった腹筋の割れ目に指を這わせ、綺麗、と呟きながら舌を這わせればひくりと震える。
それが楽しくて何度も繰り返していれば、我愛羅の下腹、未だ衣服の下に隠れる欲望が硬く立ち上がってくる。

「んふふ…気持ちいい?」
「…ああ」

一体どこで覚えてきたんだ。
そう視線だけで問うてくるのをさらりと受け流し、ズボンの上から膨らんだ欲望を撫で擦り下腹に口付る。

「んー…んふふ、何か楽しくなってきちゃった」
「お前な…」

くすくすと喉の奥から零れてくる笑い声に、我愛羅が呆れたような視線を寄越し上体を起こす。

「だめよ起きちゃ」
「見るだけだ」

それはそれでどうなのだろうか。
思わないではなかったが、まぁいいか。と気にせずズボンの上から膨らんだ欲望に口付る。
途端、我愛羅の押し殺す吐息が聞こえるが、無視して何度も口づけ撫で続ける。

(我愛羅くんが私のこと虐めたくなるのもちょっと分かるかも…)

自分の手で相手が反応してくれるのがこんなに嬉しいとは。
そんなことを思いながら上目で我愛羅を伺えば、目を閉じ少し浅い呼吸を繰り返す我愛羅が目に入りきゅん、と子宮が疼く。

(…ダメ、かも)

疼く躰に腿を擦り合わせながら、震えそうになる指先で我愛羅のズボンの留め具を外し、手をかける。
ズボンだけ先に下せば、先程よりも明確な形が分かる欲望にこくりと喉が上下し、漂ってくる雄の匂いに体が熱くなる。

(私ってこんなに厭らしかったっけ…幻滅されたり、しないよね…?)

恐る恐る見上げれば、今度は目を開いていた我愛羅がサクラの頭を撫でる。
それが嬉しくて頬を緩めながら再び欲望に口付け、徐々に硬度を増していく欲望を絶えず愛でていく。

そろそろいいかな、と再び我愛羅を見上げながら下着に手をかけると、我愛羅の手が重ねられ降ろしていく。

「ふぁ…」

途端に顔を出した赤黒い性器に思わず顔が赤くなるが、それでも自分から言い出したのだから、とそっと握りこみ愛撫していく。

「くっ…!」

やはり直接触られると違うのだろう。
呻く我愛羅の眉間に皺が寄り、目が細められる。
いつの間にかサクラの吐息も熱く荒くなっており、愛液が溢れてきた秘所に手を伸ばし、自らの手で花弁を撫でながら熱く滾った欲望を口に含む。

「んむっ…んんっ」

途端に口内で膨らむ欲望に目を細め、裏筋を舌の表面で嬲り、苦い先走りを流す亀頭を舌先で突けば我愛羅の手がサクラの頭を掴みぐっと押し付けてくる。

「んんっ!ぐっ、ぅうん、」

喉の奥まで届く欲望に苦しくなり呻くが、我愛羅の手に動かされるよりも早く自ら頭を動かし口全体で欲望を愛撫する。

「ぐっ…!」
「んんっ!んぐっ、んんっ…!」

我愛羅の呼吸が早くなり、途切れ途切れに呻くような喘ぎ声が漏れてくる。
顔を動かすたびに揺れる髪を耳にかけ、眉根を寄せる我愛羅の顔を見上げながら口淫を施していれば、我愛羅の手がサクラの頭を掴み口の中から欲望を取り出す。

「ぁ…」

糸を引く欲望に名残惜しげな声が漏れる。
何で、と見上げれば、我愛羅の手がサクラの腰帯を解き浴衣を剥ぐと口付てくる。

「んんっ…ん、ふっ、ぁん…」

深い口付に熱い吐息を零し、首の裏に手を回し肌を撫でれば我愛羅が布団の上に寝転がる。
何かと思って見下ろせば、我愛羅の濡れた瞳がサクラを見上げ、指先が尻を掴みこっち、と軽く叩く。

「…恥ずかしいよ」
「今更だろう」

我愛羅の意図する体制が分かり顔に朱が昇るが、楽しそうな声音に渋々体を反転させ、我愛羅の顔を跨ぐように足を広げる。

「絶景だな」
「バカっ」

我愛羅の指先が花弁の淵をなぞれば、膣の奥からとろりと愛液が溢れてくる。
確かに我愛羅に秘所を見られるのは初めてではないが、こうした体制で見られるのではまた恥ずかしさが別だ。
けれどそれを振り払うように、再び我愛羅の欲望に手を伸ばし口に含む。

「んっ、んんっ…!っ!」

だが先程より集中できないのは、我愛羅の指や舌が花弁をなぞり、突起を撫でるせいだ。
びくりびくりと震え、跳ねる身体では上手く愛撫できず、更には快楽に震える腰がかくりと落ちそうになり慌てて踏ん張る。

「どうした?手が止まってるぞサクラ」
「だ、ってぇ…あっ!いやっ…!」

からかう我愛羅の声に反論しようと口を開いたが、すぐさま我愛羅の舌が秘所に潜り込み舐められ腰が揺れる。
がくがくと震える足から徐々に力が抜けていき、必死に腰を高く上げれば喉の奥で笑われる。

「ほら、もういいだろう」
「うぅ…我愛羅くんのばかぁ…いじわる、すけこましぃ…」

出来る限りの悪態をつきながら我愛羅の上から退けば、はいはい。と流され四つん這いにされる。
何をするのかと枕を抱きしめ顔を巡らせれば、指が一本深く入り込んできてああ、と声が漏れる。

「あ…あぁっ!ん、んんっ…ぁ、んっ」

濡れた音を立てて膣の中を愛撫され、首を振る代わりに腰を揺らせば掌で尻を撫でられ舌を這わされる。
いやっ、と思わず逃げ腰をうつが、すぐに腰を抱かれ引き戻され、今度は指だけでなく舌先も一緒に潜り込まされ体が震える。

「は、あぁあああっ…!あっ、だめっ、だめだめぇ…それ、やだぁあ!」

指の腹でイイ所を引っ掻くように擦られ溢れる愛液を舌で舐めとられ、枕に顔を押し付け嬌声を押し殺す。
けれどすぐさま四つん這いから横に寝かされ、足を開かされたと思ったら片足を肩に担がれる。
大きく開かされた足の真ん中、濡れる秘所に中指を膣の中に潜り込ませ、親指で膨れた突起を撫でまわされる。

「ああぁああ!!や、いやぁあああ…!」

器用な指先の動きに絶えず乱され、シーツの海でもがくが嬲る指先は止まらない。
今までにないぐらい執拗な指先にイイ所ばかり責められ、目の奥でチカチカと火花が散る。
もうダメっ…!と思えば、膣の中からではなく別の場所から勢いよく熱い何かがはじけ、思わず強く閉じていた目を開く。

「…え…?」

自らの下腹と、その下にあるシーツを濡らす愛液とは違うさらりとした透明な液体にまさか、と目を見張り我愛羅を見上げる。

「ね、え…いまの…」
「ああ」

皆まで言わないが、きっとそうだ。神妙に頷きながらもどこかやり切った感のある顔の我愛羅の表情で理解した。
尿とは違う、透明で少量のそれが何なのかはっきり分かると、サクラの顔に一気に朱が昇り枕に顔を押し付ける。

「な、なんで…?!今までなかったのにっ…!」

自分で慰めても、我愛羅に抱かれていても、任務の時でさえ潮など吹いたことなどなかった。
それが何故今になって、と羞恥に震えていると、勉強した。と声が返ってきて思わず枕を投げつける。

「バカじゃないの?!バカなの?!」
「勤勉だと言え」

スムーズにできただろう。
どこか誇らしげの我愛羅にうるさいバカあああ!
と叫びながら抱えられた足で必死で背を蹴るが、痛い痛い。とさほど痛くもなさそうな声で返され羞恥で死にそうになる。

ひんひんと泣きながら枕の代わりにシーツを掴むが、すぐさま腰を抱かれそのまま抱き起される。
何かと思えば我愛羅は寝転がると、今日はお前がするんだろう?とにやりと口の端を上げ指先で軽く秘所を撫でる。
その刺激に軽く啼き、いつの間に付けたのか避妊具を被せた欲望を掴むと、自ら腰を落としていく。

「っ、きょ、うは…ぜったい、先に…イか、せて、やるんだ、からぁっ…!」
「そうか。頑張れ」
「こ、のっ、ふぁあああっ?!」

ゆっくりと腰を落としつつ宣戦布告してみるが、我愛羅の手が内腿を掴み大きく広げ、重力に従うまま欲望を深くまで飲み込んでしまい目の前に火花が飛ぶ。
きゅうぅ、とその刺激に強く子宮が戦慄き欲望を締め付けるが、我愛羅は呻き声を上げただけで果てはしない。
突然の刺激に四肢を震わせながら、必死に快感をやり過ごしていると、先に回復した我愛羅から腰を突き上げられ思わず高く啼く。

「あ、あぁああ!やだ、あっ!だめぇ…!」

突き上げられるうちに、自然と腰が揺れだし、目の前の我愛羅の腹に手を突きながら無我夢中で腰を振る。
その動きに合わせるように下から手を這わされ、胸を包まれ愛撫される。

閉じることを忘れた口からはひっきりなしに喘ぎ声が溢れ、濡れた音を立てる秘所は深く欲望を飲み込み蠢く。
肌のぶつかり合う音と、嬌声と、粟立つ水音に全身が熱を帯び頂へと駆け足で上っていく。

ダメっ…!
叫ぶように零し、必死に高みへ上り詰めるのを堪える。
先に我愛羅を果てさせるのが目標なのだから、自分が先に高みへ上り詰めるわけにはいかない。

荒い呼吸を零しながら滲む視界で我愛羅を見下ろせば、途端下から突き上げられ嬌声が溢れてくる。
それでも必死に腰を動かし膣内を締め付ければ、我愛羅の眉間に皺がより微かに呻く。

もう少し、と思ったところで腰をがっしりと掴まれ、驚く暇もなく腰を深く落とされ一瞬で飛ぶ。

「あ…あぁあ…」

チカチカと光が舞い、びくり、と体が震える。
膣内で感じる震えは我愛羅の欲望の動きで、そこでようやく互いに果てたのが分かる。

白んでいた意識が戻り、荒い呼吸を零しながら我愛羅の上に覆いかぶさるように倒れれば、ずるりと秘所から欲望が抜けていく。
そのまま横に寝転がり目を閉じると、びくつく体と疼く子宮の余韻にしばし浸る。

「くそ…」

隣で小さく呟かれた声に、どうやら我愛羅が先に果てたことが分かり頬が緩む。
いつも啼かされてばかりなので意趣返しができて嬉しかったが、結局は我愛羅の手で自分も果てたのだと思うと少々悔しい。
だが荒い呼吸を繰り返すたびに微かに動く喉仏や、汗が光る額を荒っぽい仕草で拭う様を見ていれば、何だかどうでもいい気持にもなってくる。

「お前…あんなのどこで覚えてきたんだ…」
「勉強したの…あなたと同じよ」

と言っても色の任務に就く前の話なのだが、それは口にしないでおいた。
気だるい腕を伸ばし汗ばむ肌を撫で、体を寄せれば抱きしめ口付られる。

何度も啄むような口付を繰り返し、くすぐったさに笑えば我愛羅の目が細められ額に口付られる。
そこでふと思い出す。

聞くなら、今しかないのかな。と。

閉じていた目を開ければ、こつりと額同士がぶつかる。
ピントが合わずぼやける視界を一度閉じれば、瞼に優しく口付られる。

「我愛羅くん、」
「ん?」

少し上目で見上げれば、翡翠の瞳が優しく見つめ返してくる。
穏やかで、あたたかな翡翠の色はまるで凪いだ海の如く静かで美しい。

思わずその瞳に魅入っていれば、どこか別の世界に連れて行かれそうな気持ちになる。
綺麗。
思わず呟けば、我愛羅は何がだ?と問うてくる。

「我愛羅くんの目…すごく綺麗…」

しっとりと濡れ光る瞳は宝石のようで、しかし感じる景色は穏やかな水面だ。
二つの瞳の中にこれだけの世界があるのなら、この人から見える世界はどんな色なのだろう。

ねえ、と口を開けば、何だ?と答えてくれる。
その声は優しく耳を滑り、穏やかな気持ちにさせてくれる。

「あのね…」


私のこと、本当はどう思ってるの?


聞きたくて口を開いても、ぎゅっと喉を絞められたかのように言葉が出ない。
けれど、見つめられているうちに悲しくなって、私ね、と言葉を続ける。

「…逢いたかったよ」

代わりに出てきた言葉は本音の一つ。
苦しいくらいの思いを一つだけ、零した。

見つめる翡翠の瞳が数度瞬いた後、力強くぎゅうと抱きしめられ髪を梳かれる。

「そうか」
「うん」
「…そうか…」
「うん…」

逢いたかった。ずっとずっと、逢いたかったよ。

零せば零すほどに切なくて、裸の背中に腕を這わして縋りつく。
気付けばほろほろと涙が溢れてきて、体の水分が全部涙となって出ていきそうだと思った。
溢れる雫は我愛羅の指に払われ唇に舐めとられ、それでも零れる雫は止まらぬままに我愛羅の体に縋りつく。

逢いたかった、逢いたかったの。ずっと、本当よ。本当に、逢いたかったんだよ。

何度も何度も呟くうちに意識がぼんやりと霞みがかって行き、ついには感覚まで鈍ってくる。
頬を撫でる仕草は優しく、髪を梳く指先は穏やかで、まるで幼子を宥めるような仕草に何故だか寂しくなる。
もっともっと、と無意識にすり寄ってぎゅうとしがみつけば、それより強く抱き返されようやく安堵する。

この腕の中がいい。
この腕の中で、この先ずっと、いつまでも、愛されたい。

叶わぬ願いを思いながら、再びサクラは眠りに落ちる。
今度の夢では、結ばれる夢がいいなと思いながら。



prev / next


[ back to top ]