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サクラver



夫婦な我サクちゃんがお互いの魅力について考える話。サクラちゃん視点







私が思うに、我愛羅くんは意外とエッチだ。

いや、こういうとまるで彼がむっつりスケベみたいに聞こえてしまうか。
では言い方を変えよう。

彼はエロい。

いやダメだ。これはでまるでケダモノだ。彼はそこまで分別のない人ではない。
それに何だか私が彼をそう言う風にみているようにも聞こえてしまう。
私はそんなにガツガツしていない。
ええと、他には…ああそうだ。

とても“色っぽい”のだ。




*セクシャルな話*



色っぽい。
そう形容しておいてなんだが、彼のセックスはとても情熱的だ。
一体何を言っているのかと思うかもしれないが、ちょっとだけ吐きださせてほしいのだ。
いや、こういうとまるで私が彼との生活に不満があるように聞こえてしまう。
不満はないのだ。不満は。
ただ何と言うか、こういうことに不慣れな私は彼の動作や行動、仕草にいちいち胸が高鳴ってどうにも対処に困るのだ。
サスケくんにでさえ、ときめき以外の感情などそう抱いたこともないのに。

話の軌道がずれたので元に戻そう。
彼のセックスはとても情熱的だという話だが、まず彼はとても愛情深い。
出逢った時に比べればまるで別人レベルだ。
勿論彼にもいろいろあったからそういう風に変わったのだろうが、なんというか、本当に惜しげもなく捧げられるのだ。
彼の愛情が。


まず彼はベッドに入るまでの時間がとても自然だ。
自然というか、私をそういう気分にさせてくれるのだ。
今日はいやとか面倒だとか、そういう風に思うことがない。
多少体が疲れていても彼がそういう雰囲気を作ってくると、私はしょうがないなぁ、という気持ちを抱きながらも許してしまう。
それに彼は私の状態を見て行為の熱加減を変えてくるのだから侮れない。

まず彼は私が嫌がらない程度にスキンシップを取ってくる。
頭を撫でてくれたり髪を梳いてくれたりと色々だ。
そこで私が甘えに行くと彼は必ず抱きしめてくれる。
実はこの瞬間が結構好きだったりする。
あまり口数の多くない彼だからこそ体で表現してくる愛情がとても愛らしいのだ。


それから徐々に私の体に手を這わせていく彼の愛撫はとても丁寧だ。
ゆっくりゆっくり、まるで私の体をマッサージするかのように微妙なタッチで体をなぞる。初めはくすぐったいという感覚と、気持ちいいという感覚が半々ぐらいだったのだが、今ではそう言う風にさわられただけで私の体は熱をもってしまう。
あの手は反則だ。まるで神の手だ。私以外の女に発揮することは許さないけど。
決して私を傷つけない、あの手入れされた丸い爪先も彼の気遣いが見れてとても嬉しい。

それと彼の口付だが、いったいどこで覚えたというのかとても上手い。
小鳥が啄むような軽いものから、本当に食べられてしまうんじゃないかと思うほど激しいものまで。
その時々によって差をつけてけしかけてくる。そのうえ私の体の至る所に痕を残すのだから質が悪い。
時には私の目の前で見せつけるかのようにキスマークや噛み痕を残すこともある。
まるで少年の悪戯だと侮っているところに、成熟した大人の男の色気や手管を駆使してくるのだから油断ならない。

そんな彼は事が終わった後でもとても優しい。
大抵男の人は終われば理性が戻るため、本能的に女性に背を向けることが多くなる傾向があるが、彼は私に手を伸ばし抱きしめてくれる。
その時の私は大概余韻に浸っているから、彼がくれる口付や髪を梳いてくれるという行為がとても嬉しく、満たされた気持ちになる。
彼の優しい口づけは、与えてもらうたびにクセになってしまうのだ。

こう改めて振り返ってみると、彼は本当に私のことを大事にしてくれていると実感する。
我が家に彼が挨拶にきた時、母が彼の目を盗んで私に小声で“彼はいい旦那になるよ”と自信満々に言ってきたのにも頷ける。
本当にいい男だ。
夫としても、里長としても。
自慢の旦那だ。

さりとてそんな彼に対し何故私がこうまで劣情を煽られるのかというと、彼は時々ちょっとやらしいイタズラをけしかけてくるのだ。

例えば、私が仕事中邪魔だからと髪をあげていると、彼は何の気なしに近づいてきてそのままがぶりと私の首筋に噛みついてくる。
ぎゃあ、と私が悲鳴を上げれば彼は顔を背けて少し笑う。そして時にはそのまま舌まで這わせてくるのだから質が悪い。
私が何するのよ、と怒れば、彼は首を傾けて美味そうだと思った。などとのたまう。
嫌味でお味はどうでした?などと聞けば、彼は余計に腹が減ったと心底真面目な顔で言うものだからほとほと呆れる。
彼は意外と食欲旺盛だ。

食欲旺盛と言えば私の記憶の中で最も輝くのがチョウジだが、彼はチョウジとは少し違う。
何と言うか、チョウジは見ているこっちがお腹いっぱいになる食べ方をするが、彼は作った側が見てとても気持ちのいい食べ方をする。
チョウジが次から次へと料理を口に運び消化していくのに対し、彼はきちんと味わってからすべての料理を消化してくれる。
けれど時々空腹が限界になっている時は、がぶりと大口を開けて料理に噛みつき平らげる。
その時の彼は頬が丸くなっていて結構可愛らしい。
まるで大食いなリスのようだと笑みが零れてしまうのだ。

そんな大食いリスの彼は、時折私たちの前でのみ食事の作法が悪くなる。
悪いといっても手についたものを拭くより先に舐めたり、横からひょいと料理をつまみ食いしたりするというものなのだが。
ナルトがするならまだしも、彼がするにはあまりにも意外で初めは驚いたが、まぁこれも彼の性格がいい方向へと進んだものだと前向きに解釈しておこう。
そう思う中、どうしても私が目で追ってしまうのは彼の赤い舌だ。

彼は私より身長が高いし、そもそもあまり大きく口を開けることがない。
だから彼の舌を見る時なんて“あの時”ぐらいなのだから余計に反応してしまうに違いない。
そうだ、私が悪いんじゃない。彼が性的すぎるのが悪いのだ。


そんな彼も男の子だ。
時には食い気が勝る時もある。そう、空腹時の時だ。
その時の彼はまるで任務の時のようにそろりと気配を消して台所に忍び込み、用意をしている私たちの隙を伺い虎視眈々と料理を狙う。
その目つきはまさしく腹ペコの野獣だ。
もしそれに気づかねば最後。
皿の上から料理が消えてしまうので、料理中の私とテマリさんはある意味任務時並みに気を張っている時がある。
けれども流石は風影か。こんなことで彼を褒めたくはないが時に猫騙しのような手で料理をくすねていくのだから手におえない。
アンタは子供かと睨んでもどこ吹く風だ。
ひょいと視線を反らして素知らぬ顔をする時もあれば、しまったという顔をしてすごすご退散する日もある。
何と言うか、知れば知るほど彼は見た目にそぐわぬ人なのだ。


話がずれたが、私が彼に最も劣情を覚えてしまうのは彼が服を着崩している時だ。
着崩しているのだから当たり前だろう、と思うかもしれないが、医療忍者として人肌を見慣れている私が言うのだから結構なものだと思ってほしい。
何せ普段の彼はきっちりかっちり、首元から足先までほとんど隙間なく皮膚を覆っている。
砂隠の里は日差しが強いから仕方ないのかもしれないが、里の人は肌を覆う服装が多い。
だからこそ、そんな彼が時折首元を緩め風を通している姿を見ると、どうしようもなくドギマギしてしまい目のやり場に困る。
しかもそういう時に限って彼の首筋に汗とか浮かんでたりするものだから正直堪らない。
あの首元を緩める仕草も指先も、そこから見える首筋から鎖骨までの曲線を未だに一度もまともに見れた試しがない。
そのくらい格好よくて色っぽいのだ。彼は。


夫婦なのになぜ私がそんな不慣れな劣情を抱いてしまうのかというと、実は私は彼の素肌にあまり免疫がないのだ。
何故なら彼は普段から露出が少ないのは当然のこと、風呂上りでさえもきっちりと服を着込んでから脱衣所から出てくるのだ。
その都度逐一服を着ろと注意しなくていい分ありがたいところでもあるが、それ故か私は未だに彼の裸体に慣れない。
いつだって彼の肌を間近で見るのは行為の時だけなのだ。
だからこそ、彼が無意識でそういう姿になると私はすぐに余計な思考に陥り赤面してしまうのだ。


そういえば、彼は時に任務でやってくるリーさんやガイ先生にもっと鍛えて筋肉をつけてはどうだ等と言われているが、見た目が華奢なだけで彼は結構筋肉質だ。
筋肉質と言っても、無駄に隆々とついているわけではなく、忍として男として、必要な分はきっちり体についている。
華奢に見えるのは彼の筋肉が無駄に肥大せず、ちゃんと引き締っているからそう見えるだけなのだ。
大人は勿論、同年代と比べても彼の体は存外逞しい。
本人曰く砂が存外重いらしいから、そう言う風に自然と鍛えられてきたのだろう。
それ故か皮膚を直接なぞらなくても見て取れる筋肉の動きは獣のようにしなやかで美しい。
だからこそ、寝台の上で惜しげもなくさらされる肉体から迸るフェロモンが半端ないのだ。
まるで捕食者のようだと考えたところでああそうか。と気づく。
何故今になってようやく彼に対してこんなにも劣情を抱くのか、考えてみればなんてことはない。

彼が私を求める時、その眼差しはまさしく捕食者で
彼を受け入れる私はきっと被食者の瞳をしている。

結局のところ食物連鎖なのだ。
肉体的なものとしても精神的なものとしても。
だからきっと私はそういう眼差しで見つめられるとダメで、そういう目線で見てしまうからダメなのだ。
けれど今更どうにかなるものでもないし。
しょうがないから今夜は私からお誘いすることにしよう。と、ちょっとやらしいことを考えながら私は彼の好物を用意する。
例えるならばそう、この料理は美しき野獣に捧げるお供え物のようなものだと思いながら。


end


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