小説
- ナノ -






あれから二人はすぐさま宿に戻り、我愛羅の部屋に戻るやいなや再び互いに唇を求めあう。

「ん…が、らく…んっ、」
「サクラ、」

もたつく指で互いに浴衣の帯を緩め、伊達締めを外し浴衣を開く。

「あ…我愛羅くん…障子…」

庭園側の障子が僅かに開いており、それに気づいたサクラが呟くと、我愛羅はサクラから身体を離し外の世界から遮断するようにそこを締め切る。
完全に外と部屋との空間が分かれると、我愛羅は浴衣を脱ぎ捨てその上にサクラを寝かせる。

「布団がないから、すまんがこれで我慢してくれ」
「うん…でも、浴衣ダメになっちゃう」
「いい。買い取る」

我愛羅は再びサクラの唇を塞ぐと、僅かに閉じていたサクラの浴衣を広げ直接肌に口付ていく。

「んっ、あ…」

僅かな刺激でもサクラは小さく喘ぎ、我愛羅の裸の皮膚を撫でていく。
既に汗ばんでいる互いの体を抱き合うように重ね、熱を帯びた掌がサクラの肌を愛撫していく。

「我愛羅くん、焦らさないで…」
「そういうわけじゃないが…」

サクラの変わらぬ慎ましい胸を揉みしだきながら、我愛羅は初めてサクラを抱いた時のように宥めるような愛撫を繰り返す。
あの日から随分と経験を積んだサクラからしてみればそれはもどかしく、もっと触ってほしいと我愛羅の身体を自分から愛撫していく。
ねぇ、ねぇ、と甘えた声音で我愛羅を呼ぶ声に劣情が煽られ、思わずサクラの肌に歯を立てる。

「あぁ!」

求めていた確かな刺激が与えられ、サクラは顎を反らし白い喉元を晒す。
煽情的なその光景に我愛羅はその喉元に舌を這わせ、味わうように皮膚を食み吸い付く。
痕は残すまいと思っていた我愛羅だが、我愛羅を煽るサクラの色気の前では脆くもそれは崩れ去っていく。

初めてサクラを抱いた時はすぐさま色の任務があるからと自分を抑えることができたが、互いに男女の体を知ってからでは誘い方が違う。
サクラの体からは男を誘い込む女のかぐわしい香りがし、肌は我愛羅の手に馴染むように柔く形を変えていく。
いっそ初めての時の方が余裕があったその衝動的な求め方に、我愛羅は自分の理性のなさに驚く。

けれどそれはサクラとて同じで、我愛羅の手にあれ以来触れられていないと言うのにまるで我愛羅の手の感触を覚えているかのように肌が反応していく。
あれから何度も色の任務をこなしてきたサクラであったが、我愛羅以上にサクラを悦ばせることができた男はいなかった。
いつだってサクラは任務で男と褥に入る時は、我愛羅の手を思いだし自分を高めてきたのだった。
そして今サクラを愛撫する手は、あの頃よりかさつき、硬い。
けれど撫でる指の優しさや、耳を打つ吐息の熱さ、乱れる呼吸の音も、重なり合う熱の心地よさも、変わらない。
泣きたくなるほどのもどかしさも、吠えるように暴れまわる欲求も、サクラは我愛羅以外に覚えたことはなかった。

互いの肌を撫であい口付け合えば、それだけでサクラの秘所は潤い、子宮が甘く疼く。
そして我愛羅の欲望も、ドクドクと強く脈打ち硬く勃ち上がる。

「我愛羅くん…あぅ、んんっ」

我愛羅の手が腿を撫で、ショーツの上から秘所を撫で擦れば更に愛液が溢れショーツの色を変える。
その香り立つ女の匂いに我愛羅が喉を鳴らし、剥ぎとるかのようにショーツに指をかければサクラは腰を浮かしそれを手伝う。

「サクラ、」
「あうっ」

ふっ、と我愛羅が濡れそぼる秘所に冷たい風を送れば、サクラはその刺激に背を反らす。
本当なら今すぐにでも欲望を突き入れたいところだが、我愛羅は懐かしいその花園を味わいたくなり、そろりと舌先を伸ばし淡い茂みを撫でていく。

「あぁっ…!やだ、焦らさないで…」

サクラが厭らしく腰を揺らせば、花弁の間からつぅ、と愛液が滴り、我愛羅の男としての欲を刺激する。
堪えきれず我愛羅は渇いた唇を舐めた後、垂れる愛液ごと花弁の中に舌を潜り込ませ舐め啜る。
途端にサクラの全身を襲う快楽の荒波に、耐え切れず高く喘ぎ我愛羅の頭を掴む。
抑え付けるような、離そうとするような。我愛羅の髪を掻き乱し身悶えるサクラの、膨れて甘皮から顔を出した突起を舌で嬲れば、サクラの指は戦慄き我愛羅の頭を強く抱く。

「あっ!いやっ!ああ…!!」

腰をくねらせ我愛羅の頭から離れた指は敷かれた浴衣を掴み、快楽に張りつめる足は浴衣の上をもどかしく泳ぎ、爪先は丸くなる。
初めて触れた時は未だ男を知らず、淡い色をした幼い花であった秘所も、今ではしっとりと、しかし鮮やかに花開き我愛羅の目を楽しませる。
そうさせたのは己ではないとはいえ、それでも我愛羅は美しいとうっとりしながらサクラの秘所を舌で愛撫し、ひくつく花弁の奥、息づく膣口に愛液で濡らした指を挿入する。

「んんっ」

我愛羅の指をキツク締め付けた膣内は、すぐさまその指を飲み込むように淫猥に蠢き貪欲に吸い付いてくる。
随分と厭らしい体になったな。
思わず笑えば、その吐息がサクラの膨れた突起にあたり、そのもどかしい刺激に甘く啼く。
徐々に部屋が橙に染まる中、花開いた花弁は厭らしく濡れ光り男を誘う。
我愛羅はまるでその香りに酔わされたかのように熱い吐息を零すと、サクラの膣に埋め込んだ指を回転させ、あの弱い場所を軽く引っ掻く。

「あああ!!」

途端サクラはぐっ、と背を大きく弓なりに反らし、真珠のような汗を浮かべた肢体を淫猥にくねらせる。

「ここ、だっただろう?」
「いやっ!だめぇっそこ、ああっ!!」

指の腹で何度も引っ掻かれ、突起を舌で包まれ唇で食まれ、サクラは全身を震わせ泣き叫ぶ。
ぐちゅぐちゅと音を立て、泡立つ愛液はサクラの腿だけでなく我愛羅の手首まで濡らし、敷かれた黒い浴衣の上にぽたぽたと雫を落としていく。

「すごいなサクラ、びしょびしょだ」
「いわない、でぇっ…!!」

指先が白くなるほど浴衣を握りしめたサクラの太ももが引きつるように痙攣し、我愛羅はそろそろかと指を休めず弱いところを虐めてやれば、サクラは高く啼いて頂に達する。

「あ…あぁ…」

ガクガクと余韻に震えるサクラの秘所から指を抜けば、我愛羅の掌から腕にかけ、サクラの愛液が滴り厭らしく光る。
もったいない。
我愛羅がそれを舐めとれば、鼻腔を抜ける女の匂いに下腹が熱く疼く。
そんな我愛羅に気づいたサクラがいや、と小さく声をあげるが、我愛羅は見せつけるように濡れた自身の手を音を立てて舐めしゃぶる。
己の手を舐められているわけでもない、ましてや秘所をいじられたわけでもないのに、サクラは視覚からの刺激だけで再び下腹を疼かせ、腿を擦り合わせる。

「ん…我愛羅くん、」
「欲しいか?サクラ」

下着を脱いだ我愛羅のそそり立つ欲望を見つめ、サクラはちょうだい。と手を伸ばす。
触れればそれは熱く脈打ち、強い雄の匂いを漂わせる。
無意識にこくり、と喉を鳴らしつつその欲望に手を添えると、優しく包みながら上下に擦りだす。

「っ、く、」

息を詰める我愛羅を見やりながら、サクラは気だるい上体を起こし我愛羅の欲望を口に含む。

「随分、積極的になったな」
「ん…んんっ、んぐぅ」

口の中で更に質量を増し、苦い先走りがあふれ出す亀頭を舌先でつつけば、我愛羅は低く呻き目を閉じる。
正直サクラは男の欲望を口に含んで愛撫するのが嫌いであったが、どうしてか我愛羅の欲望には自然と口を開き、口内に招き入れていた。
美味いとは思わないが、愛しいとは思う。サクラは口全体で欲望を扱き、舌でやわらかく包んでくすぐっては唇で食み吐息を当てる。
気付けば我愛羅の息はすっかり上がりきり、獣のような荒い呼吸がサクラの耳に届く。
このまま口の中で果ててくれも構わない、とサクラが愛しさを込めて掌で睾丸を転がせば、我愛羅はぐっ、とサクラの頭を掴み眉間に皺を寄せる。

「サクラっ」

切羽詰まったような我愛羅の声にサクラは視線を上げ、深く欲望を飲み込み強く吸い上げる。

「ぐぅっ…!」

腕を噛み声を押し殺すようにして果てた我愛羅の青臭い白濁が、口内に溢れ端から滴り落ちていく。
常ならばその粘つく気持ちの悪い白濁を吐きだすサクラだが、気づけばごくりと音を鳴らし飲み下していた。
それにはさすがの我愛羅も驚いたようで、荒い息を整えながら見開いた眼でサクラを見下ろす。

「はぁ…少し、垂れちゃった…」
「…バカ」

サクラの口の端から垂れる残骸を我愛羅は呆れながら指先で拭き、ちり紙で拭き去るとサクラの口元も拭ってやる。

「ゆすいでこい。気持ち悪いだろう」
「えぇ、普通そこは喜ぶところでしょう?」
「…口付けしづらいだろう」

我愛羅の言葉にサクラはきょとりと目を見張った後、くすりと笑う。

「自分の味確かめてみる?」
「結構だ」

互いに一度吐きだしたことで余裕ができたのか、戯れのような言葉を紡ぎあいながらサクラは湯を取りそれを飲み下す。

「まだ匂いする?」
「俺に聞くな」

いたずらっ子のような笑みを浮かべ我愛羅の唇を舐めたサクラに、我愛羅は渋い顔をする。

「そう言えばあの時我愛羅くん教えてくれなかったわよね」
「何をだ?」

今度は我愛羅を下にサクラがその体に乗り上げれば、我愛羅は下からサクラの肌をゆっくり愛撫していく。
それは性急なものではなく、サクラの肌を味わうように全身を撫で擦っていく。

「んっ…男の人が、どうしたら…悦ぶのか…わ、たし…聞きそびれちゃった、からっ」
「上手かったぞ。正直驚いた」
「あ、ん!ほんと!は、きらい、なんだけど、んんっ」

我愛羅の手がサクラの乳房のまわりをくすぐり、そっと指先で下から揉んでいく。
その微弱な刺激にサクラが腰を揺らし、潤ったままの秘所で萎えた我愛羅の欲望を挟むと、そのまま腰を揺らし花弁全体で愛撫する。

「あっ!ひっ、ああ!!」
「っ、本当、厭らしい女だな、サクラは…!」

徐々に頭を擡げてきた我愛羅の欲望が、一度果てたせいで再び隠れた突起に当たり、サクラの体が我愛羅の腰の上で跳ねる。
サクラから溢れた愛液はいつしか我愛羅の腹を汚し、絡まり合う茂みは互いにぐっしょりと濡れ光り、動くたびに淫猥な音を奏でる。

「うん…だって、我愛羅くんの、きもちいい…」
「…くそ、」

どこかうっとりと、甘えるような声で吐息交じり告げるサクラに我愛羅は舌打ちすると、サクラの腰を掴み背を抱き、再び浴衣の上に押し倒す。

「あぅ!」
「チッ、また避妊具がない…」

サクラの足を広げ、濡れそぼる花弁に欲望を押し付けたが、またも避妊具がないことに気づき再度舌打ちする。
いつになく荒々しい我愛羅の粗野な態度にサクラの胸は疼き、サクラの足を掴む我愛羅の腕に手を伸ばし握りしめ、このままでいいと告げる。

「サクラ、」
「いいの…このままで」
「…本当にいいのか?」

気遣うような瞳でサクラを見つめる我愛羅に、サクラはうん、と頷き微笑む。

「欲しいの。私、我愛羅くんが欲しいのよ」

だからちょうだい。
そう言って我愛羅の腕を撫でれば、我愛羅は再度舌打ちすると猛る欲望をサクラの貪欲な膣内に押し入れる。

「あっ!ああっ!」

ずん、と膣の奥深く、子宮の入り口にまで届くような欲望を全身で受け止め、身悶える。
短いストロークで優しく子宮を叩かれ、サクラは耐え切れず呻くような声を上げ涙を零す。

「奥は痛いか?」
「う、んん…へ、いき…ああっ!」

首を左右に振れば、今度はずるりとサクラの膣から欲望が消え、待ってと膣が叫ぶより早く再び入り込んでくる。
かと思えばまた引き抜かれ、今度は浅い場所を一番太い部分で擦られ腰を揺すられ、サクラはたまらず泣き叫ぶ。

「あああっ!だめ、そこは、いやあ!!」
「嘘つけ、すごい、締め付けてくる…!」

サクラの弱いところを断続的に擦られ、サクラは背を反らせ浴衣を握り、白い喉元を惜しげもなく晒す。

「ああ!あ、ああ!!いやあ!だめっ、だめぇえ!!」

弱いところを突かれながら、我愛羅の指が悪戯に膨らむ突起を挟み小刻みに振動を与えてくる。
その衝撃にサクラの膣は力強く我愛羅の欲望に吸い付きむしゃぶりつく。

「すまん、もう…むりだっ」
「あああっ!」

我愛羅は滴る汗をサクラの肌の上に落としながら、汗ばむ手でサクラの腰を痕が残りそうなほどに強く掴み、腰を深く打ち付けてくる。
いや、だめ、とサクラが髪を振り乱し、全身を震わせながらも我愛羅の動きに合わせて腰を揺らし、互いの肌が強くぶつかる。

「ああああやだ!だめっ、イく、イっちゃう!!」
「っあ、ぐっ…!」

先に絶頂に達したのはサクラで、全身を痙攣させながら果て我愛羅の欲望に強く吸い付く。
そして我愛羅もその刺激ですぐ達し、サクラの膣奥に精を放つ。

「あっ…あぁ…」
「はあっ…はっ、」

サクラの太ももがその刺激に再び痙攣し、絶えず膣は蠢き我愛羅の欲望のすべてを吸い取るように収縮する。
そこから我愛羅が欲望を引き抜けば、膣の奥から白濁が溢れ花弁を濡らし、黒い浴衣に流れていく。
部屋の中は橙から緋色に染まり、まるで遊郭の褥のようだと我愛羅は冷めていく意識の中思う。
ともすればサクラは遊女で、己は女に貢ぐ無様な男だ。今まで散々そう言った男たちを内心でバカにしてきたが、今ではその気持ちがよく理解できる。
魅惑の女とはこういものらしい。

「サクラ、平気か?」
「ん…やっぱり…我愛羅くんすごい…」

何が。とは恥ずかしくて聞けず、我愛羅は代わりにサクラの汗ばんだ額に口付け、水を飲ませてやる。
もっと、と甘えた声で強請るサクラは本当に遊女のようで、サクラが本当に遊女であったなら既に破綻しているな。
そんなことを考えつつ我愛羅はサクラに口移しで水をやった。


それからも結局何度か体を重ね、存分に啼かされたサクラはぐったりと浴衣の上に体を投げ出していた。
荒い呼吸を整えながら我愛羅のいたわるような愛撫と口付にとろとろと瞼を上げれば、緋色に染まっていた部屋も今では真っ暗な闇に包まれている。

随分長いこと事に乗じていたようだと我愛羅に視線をやれば、気づいた我愛羅がサクラの背に腕を差し込み抱き上げる。

「先に風呂に入るか」
「ん…」
「備え付けがあるからそっちでいいだろう?」
「うん…」

我愛羅はぐしゃぐしゃに皺が寄り、汗やら何やらで汚れた浴衣を足で隅に追いやると、サクラを抱きかかえ浴室の扉を開ける。

「こういう時は金に物を言わせておくと便利だな」
「やらしー言い方ね…」

喋るのも億劫だという体のサクラを、浴室の熱気が生温く包み込む。
檜風呂を満たす湯は露天と同じ温泉の湯で、浴槽自体も大きく広い。
我愛羅は軽く桶に湯を掬うと熱さを確かめ、サクラの足にかけてやる。

「寝るなよ」
「うん…我愛羅くん、その、暫く後ろ向いててくれないかな…」

サクラの言葉に我愛羅は首を傾けるが、いいから、と弱々しく背を押され仕方なく自身の体を流すと先に湯に浸かる。
全身を包む心地よさに、思わずほうと息をつく。

「絶対にこっち見ちゃダメだからね」
「分かった」

何をするのだろうか。
気になりつつもサクラに背を向け目を閉じていると、すぐさまぐちゅりと濡れた音と共にサクラの押し殺したような声が聞こえハッとする。
当たり前だがナカに出したものは出さねばならない。そんなことを今更に理解した我愛羅の顔に一気に朱が昇る。
自分はバカかと湯に潜れば、サクラの秘めやかな音は聞こえなくなる。
暫く反省の意味も込めてこうしておこう。
そう考えると我愛羅は潜り込んだ湯の中で暫く目を閉じた。



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